1話 全てが動き出す
初投稿なので駄文ですが、温かい目でお読み下さい m(__)m
オレは持ち主のいない畑の案山子ジャックだ。
オレの仕事はただ一つ、その場にいるだけ。
カラスにつつかれ、雨風に晒され、それはもうどんな仕事よりも辛いだろう。
しかも体は木の十字架に貼り付けられ、藁の体にボロっちい洋服。おまけにカボチャの頭。
どうせならヒトがちゃんと管理してる畑の案山子になりたかったし、見た目ももっとマシなのが良かったよ。
生きてる意味あんのかな…………生きてないけど。
オレもヒトが良かったよ。
ヒトだったら自由な所に行けて、自由に過ごせて、愛ってヤツを手に入れられるんだろなきっと。
もしも願いが叶うならオレもヒトになりたい。
ヒトになればオレも生きてる意味が分かるのかもな。
そう思いながらまた一日が終わる。
つまんないなァ………………
【夜】
ジャックはいつものように畑に立っていた。
いつものようにヒトになりたいと祈り続けていた。
変わらない景色に飽き飽きしていた。
動くことのできない自分に嫌気が差していた。
(ヒトになりたい。届かぬ願いだってコトは分かってる。だけど、誰か……この声が聞こえているのなら願いを叶えてほしい…………頼む………………)
「願いを叶えてほしいかね?ココロを持つカカシ君」
その声は初めて聞いた声だった。畑の持ち主でも、カラスでもない、初めてこちらの声に答えた声だった。
その声には妙な安心感があると同時にどこか歪な感じがした。
(オレの声が聞こえているのか?なら姿を………………姿を見せてくれ!)
「外で話すこともないだろう。私の部屋へ招待しよう」
声の主がそう言うと、辺り一面麦畑だったはずの景色が黒と赤の部屋へと変わっていた。
真ん中に円卓があり、上座に声の主と思われる者が玉座のような椅子に座っており、その横にはメイドと思われる白髪に赤い目の少女が一人立っていた。
声の主の姿はお伽話の妖精などではなく、魔女のような高い鼻、耳まで裂けているように見える口に不敵な笑みを浮かべ、紳士服に身を包んだ老人でまさに"人を騙す事に特化した悪魔"と言うに相応しい姿だった。
「さて、取引を始めよう。ヒトになりたいカカシ君」