第五十話 ミスリルマイン
第五十話 ミスリルマイン
☆迷宮カトリーヌ
ジト目で俺のノームの腕輪を睨むエレノアさんを振り切り、俺は集まったノーム達を連れてフロア12にあるフリールームdに向かう。セントラルターミナルを通過する時にノームに地質を探らせていたのだがまだ反応は無い。
ここは魔素が濃いい。つまり聖銀や神鉄、金剛、黒鋼が取れてもなんらおかしくは無いのだ。
まあ既に枯れた迷宮からは無理だろうが。
この辺りでは地脈と龍脈が余りにも深すぎで普通のダンジョンコアでは辿り着けないだけなのだ。
(でもいきなりノームが大量に現れるとは思わなかったがな)
さてどこから掘り進めようかと思案していたらノーム達が部屋に入ると騒ぎ始めた。
「このフロア12からか?」
う〜む
悪くは無いんだが
もっと浅い階層の方が良いかも知れんが、ここはノームに従う事にするか。
低層階は混雑する事が予想されるからな。フロア12迄は楽に行き来できる様にして冒険者からの滞在による吸収を狙っても良いだろう。
余りにも楽に採らせるのも考え物だからな。
試しにエレノアにフロア13、フロア14、フロア15に一部屋づつ造らせて、そこからノームの判断に委ねてみるのも面白い。
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迷宮カトリーヌ目録
01エントランスホール
02?????
03ーーーー
04ーーーー
05ーーーー
06ーーーー
07ーーーー
08ーーーー
09ーーーー
10ーーーー
11ライフスペース
12ゴーレムキャンプ(仮)
13?????
14?????
15ミスリルマイン(仮)
〜
100
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カトリーヌは今第8工程か
終わってからでいいかな?
先ずはコボルト達の巣穴を用意させそれからでいいだろう。
引き上げるエルフの穴埋めになれば良いんだが。
でも時間が勿体無いかな
「…読んだ?」
「のわあっ! て、カトリーヌのドッペルゲンガーか」
コクコクと頷く。
う〜む、流石にダンジョンコアメンタルだ。寸分違わぬ完璧な分身体だ。まあ、自分のダンジョン領域内でしか創り出せ無い合わせ鏡見たいなもんらしいが。
てか気配を消して後ろに現れるんじゃねえ。
「じゃあ、フロア13、14、15の試し掘りしてみたいんだけど」
「…了解…それ位なら分身体でも出来る。あと、アラクネが動き回り始めた。見つけても驚かしちゃだめ」
「ありゃ、早いな」
「…エレノアの魔法のおかげ」
「脚は再生したのか?」
「…それでもまだかなり弱ってるから…まだ二三日かかる…かな?」
「分かった。見掛けたら気をつける」
コクリとカトリーヌBは頷くとあっという間に仮設のフロア13、14、15迄を完成させた。
そしてそそくさと戻って行く。
いかな分身体とは言え限界はある様だ。当然本体の様な出力は無理らしい。あくまてもオマケ要素と言った所だろうか?
♢
ノームの代表を連れて各階層をチェックして行くと反応はフロア15に出た様だ。ヤケにテンションが高い。
「よし、それでは皆を呼び寄せよう」
『ookee!!!lkkowoholimakulndana?』
「ああ、今日から此処がお前達の城だ」
カサッ
「んっ?」
ふと振り返ると──アラクネがジッと此方を伺っている。
どうやら自分のいる迷宮を確かめて回っているようだ。
知性もかなり高いらしいからな、油断はし無いと言う事なんだろうか?
脅かさ無い様に視線を向けずにいるとまたカサカサッと去って行った。
そのうち慣れたら撫で回してやろう。
カサッ
「んっ? また来たのか?」
今度は少し中に入り込もうとしている様だ。
カサカサッ
あれ? また消えた。
すると今度はノーム達が現れる。
『ola.omeeela.kokoogasenjodaa!!!』『yoshaa!!!yataruedee!!!』『majaselloo』
「……よく分からんが大分気に入ってくれた様だな」
なんだかテンションが上がってるのだけはノームの腕輪を通じて理解出来る。
俺はTABLETを取り出し幾つかの坑道を指し示す。後は掘りながらノーム達に探させれば良いだろう。失敗してもそのまま迷宮に再利用すれば良いんだからな。
だが、この判断が後にダンジョンマスターすら道に迷うとすら言われる複雑怪奇な坑道を産み出してしまう引き金になるのだが、希少金属に目が眩んだ今の俺には想像もつか無い事だった。
ノームリーダーの指示の元一斉に壁に取り付きバキバキと掘り進んで行く速度はエレノアよりも遅いのだが、ノームは掘り出した石や土を集めて何やら創り出せる様だった。元の数十分の一にまで圧縮されて行く石はノームタイルと呼ばれ、まるで大理石の様だ。
洞窟の補強に使ったりしているらしい。
人生が穴掘りなのはどうなのかと思うがそれが精霊であり地精霊と言うものだろう。
エレノアさん曰く分かっている事はほんの僅かでしか無く、ただ触れ合っていると言う結果だけが積み重なって精霊魔術は徐々に進化し深化しているらしい。
実にファンタジーだな。
TABLETによりノームリーダーに指示を出した俺は進捗を伺っている。
するとそこへブレアがやって来る。
「マスター! またリクルートして来ました!」
相変わらず的確に俺の位置を把握しているな。
「どうした? 次は何だ?」
「粘菌さん達です〜☆」
ふむ、三大迷宮モンスターの一角か。
迷宮の掃除屋でもある彼等は環境保全の為にも必要だからな。有難い事だ。
「で、何匹位来るんだ?」
「はい☆ 恐らく五十匹位です〜」
「……結構多いな」
「まだ迷ってる粘菌もいらっしゃいましたが、基本的に皆んな移動を考えてたそうなんで、渡りに船だそうですよ」
確か乾燥した場所には住め無いんだったな。
何箇所かに泉を創って置かなきゃならんかもしれん。
そろそろダンジョンオブジェクトの配置も必要だろう。
「分かった。で? いつ来るんだ?」
「移動に時間が掛かるんで三日ほどは☆ 転移させると目立つかもしれませんからね〜」
丁度良いかな?
その隙にカトリーヌにフロア05まで完成させてその後考え様か?
やはりコロニー化して大量増殖させるのが手っ取り早いだろうからな。
それに奴等は勝手に進化して行くし、侮れん戦力になる筈だ。
「ではでは☆ またリクルートしてきま〜す」
「んんっ! まて? ブレア、そのポケットの膨らみは何だ?」
その細長い形状はどうやらフルーツバーの様だ。
「!!! ああっ! あの! こ、これは〜そ、そう! リクルートの時に仲良くなるのに必要なんです〜」
「ふ〜ん、そうなんだ(滅茶苦茶怪しいな)」
まあ、悪さするのは契約の関係で出来んのだからな、オヤツ位は多目にみてやるか。
「まあ、無駄にはするなよ。まだ次の転移を受け入れる予定は無いからな」
そう、万一に備え今の所受け入れを自粛しているのだ。準備が整う前に何者かに察知されたくは無かった。結界に護られているとは言え、油断は禁物だ。こないだの女勇者のようなチート持ちがいつ入り込むか分からないのだから。
ここは慎重の上にも慎重を期するべきだろう。
「は、は〜い☆ では行ってきま〜す」
そう言ってブレアはまた迷宮の中を飛び去って行く。
しかし、実はコレがジュール大森林西部での事件の始まりである事に気付く者はまだ居ない。
このジュール大森林に入り込んだ多くの意思が紡ぎ出す様々な事態はまだ変化を始めたばかりなのだから。
それでも確実に変化は進行していた。
ゆっくり
ゆっくりと
それでも確実に
事態は悪化して行く。
まるでそれが必然だとでも言わんばかりに




