第四十八話 呪術士の修行
第四十ハ話 呪術士の修行
☆迷宮カトリーヌ
カトリーヌがフロア02で第7工程を開始したのを確認し、俺は再度、呪術師の修行を始める事にした。
因みにエレノアさんは森に魔法茸と人面草の採集に向かっている。恐ろしい事にこれらの魔力を保有する薬草は育てばマナの回収も出来ると言う。
さすがジュール大森林だな。
ブレアは──何やらゴソゴソしている様だ。一応はモンスターのリクルートは順調な様だから取り敢えずスルーしておいてやろう。
なお、エレノアさんによれば、トロルとグレイウルフも様子を見に現れているらしいから、ここ数日で何らかの動きがありそうだ。
少しトロルはデカすぎる気がするが、まあ来るものは拒まずだな。
充分な戦力になるだろうし。
TABLETで確認すると、大ネズミは着実に増加している。ブレアがどんどん連れて来ているからだが、コロニーでの繁殖ももう暫くすれば始まるはずだ。昆虫や小動物も順調に増え続けているので、既に迷宮における最底辺の環境整備は整いつつあると言って良いだろう。
さて、次は俺の準備
かなりハマりつつある土偶創造だ。
予定では中型ゴーレムとしてナイツシリーズ、それと大型ゴーレムとしてアトラスシリーズを開発する予定だ。
まあ、まだ当分先にはなりそうだが。
何せまだ土偶創造ランク1だからな。
地球で言うところのゴーレムとは人型を指すさがこの世界では違う。
虫型がスタートになっているのだ。地球で米軍が開発した自立型ロボットに近い。
俺は練習がてらTABLETからランク1グレムを選び出した。
それはミミズの形をしたゴーレム、素材は土
「[ウォームグレム]!」
〈ポヒュン〉
うん、毎回実に気の抜ける音だ。
さすがランク1だな。
たが、ウネウネと蠢く姿は中々キモい。嫌がらせ用かな?
と思ってTABLETで確認してみると意外や意外の高性能グレムだった。
その特徴とは──
「土を耕せる?」
──そうか、ダンジョンマスターの為だけにあるジョブじゃ無いんだからな。だれが使うのか創造がつか無いが。
一応、十個程造って洞窟ウサギコロニーに放ってみた。土が柔らかい方が良いだろうからな。
因みにダンジョンの外でゴーレムを稼働させるなら魔石や魔核と呼ばれる物が必要になるのだが、ダンジョンマスターが造る場合、ダンジョンマナを流用出来るから必要無い。そして使わ無い時はスリープモードで待機する事が出来るので無駄が無い。
またあらかじめ魔石や水晶に呪術士のスキルの一つ、魔力封入しておく事によりダンジョンマナを使わずに緊急稼働させる事も出来る。
あんびりかるけーぶる切断後の内部電源みたいなイメージで運用してみようか……時々暴走とかも悪く無い。
浪漫……だな
ダンジョンマスター的にかなりイケてるんじゃないか。
暴走すると変形するとかどうかな? かなり盛り上がるんじゃない?
うむ、ボス用に一つは導入してみよう。
各フロアの階段を護るゲートキーパー的に配置するのも乙かもしれんな。
自分で選んで言うのは面映ゆいが土偶創造は有効なスキルだ。
一応今日は偵察用スパイダーグレムと作業用アントグレムを百体づつ造ってみよう。
ポヒュン
ポヒュン
ポヒュン
──以下略
そして二時間後
[スキル:土偶創造ランク2を取得しました]
「……やったな…」
ランク1から2へは意外と早かった。
エントリースキルから入門編だからそんなモノかもしれ無いが。
たが、ここからはゴーレム──いや、まだ小型だからグレムか。
ここからは違う。
一番の特徴は飛行型と戦闘型が造れる用になる事だ。
だが、素材が土の場合、包護などで補強してやら無いと弱いけど。
因みに再生を掛けておくと幾らでも復活させる事が出来る嫌がらせも可能だ。まあ、大量に魔力を供給し続ける必要はあるのだが。
「どれどれ、便利そうなのはあるかな?」
大きさはランク1の掌サイズから小型犬から中型犬位になっていて結構幅広い。
「……これかな?」
俺がTABLETから選択したのは[ラットグレム]だ。牙を持ち攻撃にも使えるのだが、やはりネズミなので集団で使う必要がある。
因みに素材は土、砂、石、鉄と消費魔力が増えるとともに攻撃力や防御力も増大していく。
応用で液体である水、氷、溶岩などもあるがこれはランク5以上が必要だ。
チラと見かけた砂鉄に浪漫を感じるな。
自衛用に使えないだろうか?
具現術なら魔力で剣や鎧を創り出すマジック系が使えるが、呪術にはそこまでの呪文は無い。魔力を使って武具を操る操作能力者みたいなのは才能がモノを言うから、呪術士が真似をしても難しそうだ。
まあ、いずれは何とかせねばなるまい。
俺は冒険者(侵入者は全て含む)と直接対峙する事があると睨んでいる。
俺は土塊に手を当て「[ラットグレム]!」と唱える。
すると「ポヒュン」と音がして大きめのネズミが現れた。正式にはクレイラットグレム一号だ。
ネズミ型か
ランク3を取得したら耳付きネコ型二足歩行マジックポケット付きも秘書用に造ってみたいな。
グレムを大量に仕込んでおいてマジックポケットから大放出なんてのも痺れるわ。色んな所から突っ込まれるかもしれんがな。
……やって見るか
♢
何事か呟きながら嬉々としてグレムを造り続ける椎葉
「…………」
それをジッとカトリーヌが部屋の入り口から顔を出して見ている。
そこへブレアがお昼御飯を食べに帰って来た。なんと正確な腹時計だろうか。
そして、部屋の中でブツブツ言っている椎葉を見ているカトリーヌを見つける。
「??? カトリン☆ 何してるです〜?」
「!!! しっ! 静かに…」
「……えっ?」
「……椎葉が変…元から…変だけど…今日は特別…」
「何かしてるですか〜?」
二人の視線の先には、数百匹のグレムに囲まれ、ブツブツと何かを呪文の様に呟く椎葉がいた。
カトリーヌとブレアにも全く気が付く様子が無い。
そこへ、同じく正確な腹時計を持っていると推察されるエレノアが帰ってくる。
持っているバックには恐らく魔法茸と人面草か満杯なはずだ。
「あれ? カトリーヌ、ブレア、部屋の中を覗き込んで何してるの」
「…………」
「!!! あ、あのですね〜」
エレノアは迷う事なく椎葉を呼びに部屋に入って行った。
(何してたのかしら? 悪戯?)
「あっ! 椎葉、薬草が大量に──ひぃうっ! き、気持ち悪い!」
「えっ! ああっ、エレノアさん──て、気持ち悪い? ど、どう言う意味ですか! 俺は赤裸々スケベですが決して粘着質になら無いように気を使ってるんですからね!」
「ち、違います! てか先ずは赤裸々スケベの方をどうにかして下さい! いやそうじゃなくてそこにあるウネウネ動いてる奴が気持ち悪いんです!」
「へっ⁈ この僕のグレム軍団が!」
そう、そこには命令を待って蠢く数百匹のグレム達
その昔一斉を風靡して規制まで掛かった蓮の実コラージュに匹敵する気持ち悪さだった。
所々に混じっているミミズ型クレイウォームグレムがさらにマイナスのアクセントとなり、中央でグレムに囲まれブツブツと独り言を呟く椎葉が止めになっていた。
そこへやっとカトリーヌとブレアが入って来る。
開口一番
「…椎葉…何処のマッドサイエンティストかと思った…」
「マ、マスター! その方向性はサキュバスとしてオススメできません〜☆」
「な、何言ってるんだ! こんなに可愛い俺のグレム軍団になんて事を!」
そう言って掌の上でウネウネと蠢くミミズ型グレムを差し出すと、三人の表情がサッと曇る。
椎葉の反論こそが正しい。
ダンジョンマスターとしての務めを実直に果たしている。
いるのだが──
「……椎葉、そ、その、必要なのは分かりますが──出来れば人目につか無い場所でお願いします」
エレノアの口調は優しいがその目はマジだった。
そしてカトリーヌとブレアもブンブンと頷く。
「くっ! 異世界では触手や軟体生物は一大ジャンルなのに!」
「…椎葉、欲望がだだもれてる」
「マ、マスターがお望みならブレアは何時でも!」
「……時々、異世界から来た人の中にいらっしゃるんですよね。割に詳しい人にそんな方が多い気がします」
そして
椎葉は視線で全てを察した。
その時室温が五度近く下がった気がしたと言う。
お昼御飯の後、ライフスペースからさらに一階層下に秘密のフリースペースかカトリーヌの手によって造られ、グレム軍団が強制転移させられたのは言うまでも無い。
フロア12
後にゴーレムキャンプと呼ばれる迷宮カトリーヌの序盤最大の難関はこうして産声を上げる事になった。
潰しても潰しても再生して来るゴーレム軍団と突然現れるミミズ型グレム、そして後に開発された触手型グレム、テンタクルズとコープスは冒険者の──特に女冒険者に忌み嫌われる事になる。
椎葉の修練は続く。
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ダンジョンマスター
Level01
椎葉 真 21才 ♂
LIFE
♡♡♡♡♡♡♡♡
HP056/056
SP260/260
MP00100/52680
・ジョブ
・呪術士LV01
・スキル
・土偶創造ランク2
・付与魔法ランク1
・魔力封入ランク1
*コロナ社土地建物管理開発部員
*ハイエルフの加護
*ゴーレムマッドサイエンティスト
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