第三十七話 温泉カトリーヌ
第三十七話 温泉カトリーヌ
☆迷宮カトリーヌ
「さあ、晩飯にするぞ」
フリールームAではカトリーヌとブレアがアラクネの面倒を看ているが、コッソリ行って見ると、どうやらスヤスヤと寝ている様だ。
心配気な二人だが、落ち着いたアラクネに安堵している。元々、昆虫型のモンスターは高い回復力を持っているから、完全回復と迄はいかなくてもある程度は治癒するのだ。峠は越したと言えるだろう。
ブレアの魅了と精神魔法のクリアマインドやメンタルケアの効果も有り、錯乱する事も無さそうだ。
気になるのは何者が傷付けたのかという事だが、それを確かめる術は今の俺には無い。
「…うん、落ち着いたから大丈夫」
「はい! 取り敢えずこのまま此処で安静です〜☆」
二人も安心したのか表情は明るい。なるべく食事は皆で摂る事にしているから丁度良かったな。
キッチンに戻るとエレノアさんがお風呂の準備を終えて戻って来た所だった。と言っても循環型なのでスイッチを入れておくだけだけど。
「温泉カトリーヌーー凄いですね」
「ふふふっ、単調になりがちな迷宮運営には必須なのですよ。因みにコロナ日本支社では温泉ですが、中にはジェラートマシンを導入する支社もありますからね〜」
驚くエレノアさんだがこれらの装備は流石に最近の事らしい。しかもカテゴリー3以上のマナ総量が無ければ設置は不可能なんだそうだ。
何にせよカトリーヌは規格外だと言う事にしておこう。
さて、今日はMRENo'16[イタリアンハンバーグ]にしてみよう。
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MRENo'16[イタリアンハンバーグ]
・イタリアンハンバーグ(トマトソースにチーズトッピング)
・ハードビスケット(10枚)
・マカロニサラダ
・アサリのクラムチャウダー
・サングリア(ノンアルコール)
・ティラミス
イタリアンハンバーグは単にトマトソースが乗ってチーズが降りかかっているだけだった。ソースのトマトゴロゴロ感は中々だ。
ハードビスケットは少し多い気がするが少し塩気が効いていて飽きない味かも知れない。
マカロニサラダは普通のマカロニだ。絡めるバジルソースみたいなのは大人味でカトリーヌとブレアには不評だったが、エレノアさんは静々と食べていた。うーむ? 見栄っ張りなのか?
アサリのクラムチャウダーは中々のお味。魚貝類独特の風味が口の中に広がるのは日本人には応えられん。反面エレノアさんは森の民なので複雑な顔をしていた。文化の差だな。
サングリアは本物を知らないのでこんなもんか? としか思えん。カトリーヌとブレアは普通に飲んでたな。
そして締めはティラミスだ! 数少ない本格デザートの一つである! てか本物を食べ事が無いので良く分からん。これはカトリーヌ、ブレア、エレノアさんがご満悦だった。やはり甘い物は重要だな。
【☆☆☆☆】
デザートで星一つ!
やはり甘い物を定常的に手に入れ無ければなるまい。
必須のメニューとなった!
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食後、チラリと覗きに行くとアラクネはやっぱり寝ていた。俺が部屋に入っても動きが無いのは落ち着いて寝ているからなのだろう。
心配気に見に来たブレアの頭を撫でて俺は「もう大丈夫だろう。明日まで時々様子を見に来てやれ」と言ってダイニングに戻る。コクリと頷くと俺の背中に飛び乗って来るがそのまま放置だ。
そしてダイニングの扉を開け、俺はこう宣言した。
「それでは温泉カトリーヌで鋭気を養おう!」
するとーーカトリーヌは自分の荷物からいそいそと入浴グッズを取り出し頭に手拭いを乗せた。どこのテレビで見たんだろうか?
ブレアはヒュンと飛んで行って食料庫から何やらクーラーボックスに入れて帰って来た。
そしてキョトンとしているエレノアさんに入浴グッズを手渡すと、しげしげと眺めている。
「カトリーヌ、ブレア、エレノアさんに温泉の入浴方法を教えて差し上げろ。俺は“後から入る”から」
「……分かった…“後から”ね」
「じゃあ、エレノアさん行きましょう〜☆」
「え、ええっ 私、温泉って初めてなんです」
「…大丈夫、教えてあげる」
そう言ってエレノアさんは二人に手を引かれて温泉カトリーヌに向かって行った。
その入口には温泉マークの暖簾と、その脇にひっそりと【混浴】の立て札が掛かっていた。
(まただわ……【混浴】って何かしら?)
♢温泉カトリーヌ
入口を入った所にはちゃんと脱衣スペースがある。そこで三人は着ていた服を脱ぎ洗濯カゴに入れて行く。
エルフ美女と紅眼紅髪美少女と美麗サキュバスは初めての温泉体験となるが、二人のカトリーヌとブレアには俺から入念な手解きがしてあるから完璧だ。ふふふ
流石にエルフの文化には温泉にみんなで浸かると言う文化は無いようで戸惑っているが、カトリーヌとブレアの二人が当たり前の様に服を脱いでしまうので拒否出来なかった様だ。
因みに三人とも大人パンツである。しかも上下揃いだ。何気に破壊力半端無いな。手は出し難いけどーーいや出さ無いけどな! まあ、エレノアさんなら……命あっての物種か
湯気の舞う温泉内でエレノアさんが「はぁっ」とため息を吐く。
「先ずは掛け湯をするの」
「そうです! マナーです〜☆」
「そ、そうなんだ」
カトリーヌが風呂桶でお湯を掬い先ずは身体の汚れを落とす。
普段は大量のお湯を使うなどは王侯貴族くらいしかやら無いのでエレノアさんも本当に嬉しそうだな。見よう見まねでエレノアさんも身体の汚れを落としていく。後でカメラアングルの調整が必要になるだろう。
そして三人は温泉に浸かる。
硬質ゴム製の丸い簡易プールを床に設置する構造なので乗り越えるのが一苦労だが、掃除やメンテナスを考えるとこの方式になったらしい。お湯に弱性の浄化魔法がかかる様にしてあり、掛け流ししながら掃除も出来る優れものだ。コレが付いてい無いと週に一度は大掃除となる。元々が自衛隊の災害出動用だったのをコロナ社が改良したものなので、メンテナスフリーになっている。
「…肩まで浸かるの」
「そ、そうなの?」
「そうです〜☆ ぬくぬくなのです〜」
身体の芯まであったまる温泉はまさに至福のひと時であろう。
「「「ふぅ〜〜」」」
この溜息も異世界共通の様だ。
「さて、そろそろ頃合いだな」
俺は皆の安全を確保する為にコントロールルームで監視体制に付いていたのを解除して、温泉カトリーヌに向かった。
何せーー【混浴】だからな!
さてと部屋を出ようとしたその時ーー警報が鳴った。
「!!!!!」
「!!!!!」
「!!!!!」
「????? まさか俺に反応したのか! いや、違う!」
その時、エントランスホールに侵入者の映像が映った。
一人だけで侵入して来たその影は
「剣士? いや、一人だけで魔境の、しかもこんな夜に?」
ただの剣士である訳が無い。
エルフレンジャーの監視網すら潜り抜けているのだから、並みの冒険者では無いはずだ。
俺はジッとモニターを見つめながら、その動向をつぶさにチェックしていった。
そこへ三人が走り込んで来る。
「何事ですか?」
「…侵入者なのね」
「女の人です〜☆」
「まずい相手かも知れませんね」
四人はモニターを注視する。
「……椎葉さん」
エレノアさんが深刻な顔で語りかけて来る。心当たりがあるのだろうか? 限りなく悪い方面の
「……はい…どうしました」
「……何で温泉の映像がモニターに映ってるんですか……」
「!!!!!」
「…………」
「…………」
「…………」
しまった
モニター切り替えるの忘れてた




