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ダンジョンコアメンタルは恋をしない  作者: 菜王
第一章 迷宮を作ろう!
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第二十話 次の一手

第二十話 次の一手


☆岩の迷宮


ジュール大森林の暗い闇の中を飛ぶ一つの影


「ついたーー!」


森の中を突破したブレアは慌てて入り口を目指す。転移魔法陣の術式を仕込んだ魔石を[岩の迷宮]に仕掛けるのが任務だが、一刻の猶予もない状況にブレアは焦っている。


そしてそっと周囲を伺い「……まだ誰も来て無いよね…」闇に紛れ近づいていった。


この時、騎士団が派遣した斥候部隊はまだ10キロほど距離があった。ブレアは[岩の迷宮]の奥に進んで行く。事前の調査ではこの迷宮は既にコアを破壊され打ち捨てられたもので、既に数十年放棄されていた。一階層しかない洞穴程度の迷宮である。


ブレアは椎葉よりなるべく奥に仕掛ける様に言われていた。何故なら転移させるモンスターはあくまでも陽動であり、眷属支配にしている訳では無いので、すぐに離散する可能性が高い。さすがのカトリーヌもその力は自らの領域において最大限の効力を発揮するものであり、その外には及ばない。


「ええっと、奥に進めばいいんだよね?」


恐る恐るブレアは[岩の迷宮]の最奥部を目指す。それは直ぐに辿り着けるはずだった。



♢迷宮カトリーヌ


三人の偵察部隊は、エントランスを抜け最奥部を目指している。入り口には人の生活跡があり、それほど危険は無いと判断していた三人ではあるが、それでも一応は盗賊であるタニヤを先頭にして探索をしつつ通路を確認していた。


「なんだい、ほとんど一本道だね」


「脇道も殆ど無いのは助かるけど、お宝はなさそうだね。ロビンは何処まで入りこんだの?」


「そうですね、30mほどでしょうか、シルバも何も感じ無いみたいですね」


獣使いでもあるスピカは複数の野ネズミを感知していたがそれより大型の生き物の気配は感じ取れなかった。


カトリーヌはこの時200mほど迷宮を掘り進めていたが、その後直ぐに幾つかの通路を閉鎖して構造を単純化していた。今はやり過ごす時たと判断した椎葉は隠蔽効果のあるゲートですら破棄してしまったのだ。そしてジッと息を潜めている。


この後、さらに一時間近く探索は続けられたが、三人は何も見つけられずに元のエントランスホールに戻ることになった。


「……収穫は無しね」


「う〜ん、カボチャパンツは使えるんじゃ無い? スピカどう?」


「!!! いっ、いりませんよ! それにカボチャパンツは卒業しましたから!」


「まあ、へんな迷宮に当たらなかっただけましよ、さあ、食事にでもしよう。ミア、野ネズミ捌いてくれない? 火をおこすわ」


「了解〜!」


「じゃ、じゃあ一応周囲の探索にロビンとシルバを放ちますね」


「頼むよスピカ。さあ、明日には村に向けて早朝から動くからね。今日は早めに休みましょ」


そう言って三人は夜営の準備を始める。


そして、外に獣を放つスピカをエルフレンジャーが監視していた。


(夜営の準備を始めたか…ならひとまず安心だな)


そしてその影は椎葉の待つアスラガルド転移魔法陣に向かって行く。


♢アスラガルド南端転送魔法陣


「椎葉、無事に浸入者を騙し仰せたようです。三人は夜営の準備をはじめましたね」


椎葉はTABLETを開きジュール大森林で監視についているエルフレンジャーからの情報を整理していた。今の騎士団の戦力にはエルフレンジャーを森の中で捕捉できる手駒は無いだろうと判断している。それは移動力の観点から導き出されていた。狩人にしてもレンジャーにしても獣使いにしても森の中で索敵能力を発揮するジョブは当然のようにみな移動力が高い。出なければ立ち往生になり少しばかりの索敵能力などなんの役にも立た無いのだ。そして斥候に放たれた騎士団の正規部隊はみな速度が遅い。それも半端無い遅さだった。


「……これは少し妙だな」


エレノアは椎葉の呟きに思わず聞き返した。そう、現在も事態は逼迫しており、一瞬の判断の誤りが命取りになりかね無い。

「椎葉、何か疑問でも?」

「いえ、蒼天騎士団はこの迷宮探索の為に乗り込んで来たはずなのに、送り込まれて来たのは普通のジョブばかり、本来なら迷宮探索と魔境探索に特化した編成をまず送り込み、情報収集に当たってからそれに応じた編成を送り込むのかと思ったら、来たのは軽装とはいえ普通の騎士団ばかり、それに村の冒険者を総動員して魔境探索を行うとは、いささか手落ち気味だと思ったんですよね? 異世界の軍隊とはこんなものなのかな?」

「……そうですね、さすがに少し違和感は感じますが、私にも判断しかねます。が、何らかの政治的要因が絡んでいる可能性はあり得ますね」

「……政治的要因…ですか……」


そして二人は沈黙する。今はそれを確かめるすべは無いのだから。


そこへエルフレンジャーから新たなる報告が入った。

「騎士団の正規部隊が二つの迷宮に辿り着きました! [沼地の迷宮][水晶の迷宮]に騎士団が到達し、キャンプを設営し攻略準備を進めています」

「……ブレアは間に合わなかったか」

「後一つはどうなりました?」

「はい、最後の[岩の迷宮]は二つよりも森が濃かったのか遅れているようです。監視しているエルフレンジャーからはブレアは何とか先行できそうだとの事です!」


椎葉はここで思案する。


用意したモンスターはどうせしばらくカトリーヌには放せ無い。ならばーー全てを[岩の迷宮]に投入して撹乱では無く混乱させるべく集中するべきでは無いのか?


しばらくの沈黙の後、椎葉は決断した。


「今ある戦力は全て[岩の迷宮]に送り込みます! 悪いがそこの部隊には少し混乱して貰いましょう!」


「……椎葉、では残りの二つは放置すると?」


「そうですね、取り敢えず一箇所でも混乱があれば目を惹き付けることは可能なはずですから。後は直接開拓村に対して行いましょう」


エレノアさんは少しだけ考え込んでいるようだったが

「分かりました。椎葉さんの判断を信頼します。ここは先ずカトリーヌから目を逸らさなければなりませんからね」


「助かります。あと、一つお願いしたいんですが」


椎葉は悪戯にニヤリと笑い、森の中で拾った大きなドングリをポケットから取り出してエレノアさんに見せる。


「少しエルフの禁忌事項に触れてみましょうか」


「……それはどう言う意味ですか?」


訝しげにエレノアさんは目の前のダンジョンマスターを見てあからさまに困惑の表情を浮かべていた。

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