第十四話 今日は記念日となりました!
第十四話 今日は記念日となりました!
☆
フロア11から01に転移魔方陣に戻るとブレアがMagicBOX14の前でコソコソしている。
『あいつもしや』
俺はそっと背後から近寄ると「……ブレア…何してるんだ…」と声を掛けた。
「ひゃあ! ひゃい!」
飛び上がって驚くブレアはどうやらエレノアさんの私物に興味津々の様だ。恐らく俺と同じモノに…….
「よし、探求心は生きる上で必要なものだ。心ゆくまで「やめて下さい!」そうだ、やめなさいブレア、ダメだよ、人のモノを勝手に見てわ」
「…ごめんなさいマスター」
「…椎葉さん……」
「…椎葉…最低……」
誤魔化せ無かったか。
♢
「カトリーヌ、では入り口にゲートを設置してくれ。隠蔽出来るヤツをな」
「……わかった…」
「その後は食事にしよう」
「……んっ…」
そして次はブレアだ。エレノアさんは私物のMagicBOXに張り付いている。やれやれだ。
「ブレア、周囲の状況を説明してくれ」
「は、はいですう! 周囲にいるのはコボルトとグレイウルフが主でした。小川の上流にある渓谷には複数種類のスライム類が生息しています。かなり奥にいくと強力な個体も存在していますが今日は確認は取れませんでした。あと、どうやらこの一帯は薬草の採集に適しているらしくエルフさん達の結界の周りで数名の採集者も目撃しました。動物もかなりの生息数を目撃しまた〜」
もってこいだな。これで最初から強力な個体ばかりだと浅い階層に取り込みずらくなるからな。気になるのは採集者だ。
俺は頭を撫でながら「よし、ブレア良くやったぞ」と褒めてやる。人は褒めて伸ばすのが俺流だ。すると〈ポスッ〉とカトリーヌが脇にしがみついて来た。右側が好きな様だ。
「カトリーヌ、終わったのか?」
「……んっ…終わった…今日は…疲れたから…お休みタイム…」
「…………そうか」
その顔には全く疲労の色は見えない。カテゴリー5の潜在能力から言えば5%位の仕事量の筈なんだが。まあいい。
「よし、飯にしよう!」
「……んっ…食事に…する」
「やったあ! お腹空きました!」
「……あ、あの!」
「どうしました? エレノアさん?」
「……そ、その」
「はて、なんですか? 何か?」
「……無いんですけど」
「月のモノが?」
「ち、ちがいます! な、ないんですよ! 椎葉さん!なにバカな事を言ってるんですか!」
「えっ? 何がです?」
「そそ、その、と、トイレが無いんです!」
「ありませんよ」
「ええええっ!」
驚愕の表情を浮かべ青ざめるエレノアさんを堪能して俺はカトリーヌに指示を出し個室を作らせ、MagicBOX3から浄水セットの一つを設置して簡易トイレを作らせた。うっかり忘れてた事にしておこう。
「……椎葉…最低…」
「…………」
「ま、マスター! そ、そんな方向性ばダメなんです!」
「…………」
冗談なのに
しかし
エレノアさんはマジだった。俺は命の危険を感じ流石にこれ以上のセクハラは止めようと心に誓う。
まあ、これから一つ屋根の下で一緒に眠る仲間なのだ。機会は幾らでもあるだろう。エレノアさんが逃げ出さなければだが。
そしてMagicBOX3からMRE(MealReadyToEat)を選ぶ。いわゆる戦闘糧食コロナ社版だが、メニューは108種類もある。さて、どれにするかたが、今日は記念すべきゼロデイだから
「七面鳥とかどうかな?」
「「「…………」」」
しばしの沈黙の後
「……美味しそう」
好き嫌いはあるんだろうか?
「豪華そうです!」
君はチョロそうだな
「……おまかせします」
なんだか疲れてますね。
「よし! これから毎年記念すべき今日は七面鳥と決まった!」
「ユグドラシルには七面鳥は居ませんよ」
「「「…………」」」
「……残念…」
「食べれたらなんでも良いです!」
「……まあ暫定という事でいいんじゃ無いですか?」
「…………」
さあ、食事にしようじゃないか!
後はどうやって寝ぼけてエレノアさんのベッドに潜り込むかだな。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
◎MRENo.087
・七面鳥丸焼き(四分割)
・ポテトサラダ
・トマトスープ
・黒パン(五枚)
・炭酸水
・ブルーベリーゼリー
加熱キットがあるから取り敢えず熱々が食べられるのは有難い。七面鳥丸焼きは甘いソースで食べる。日本人的にはイマイチだ。ポテトは胡椒が効いてゴロゴロ感は中々だった。トマトスープは具沢山でナイスだがタマネギのカットが大き過ぎるんでは無いだろうか?黒パンは酸味の効いたドイツ風らしいがこんなの本当に食べるのだろうか? 違う意味の酸味で無い事を祈る。ブルーベリーゼリーは身が残っていて贅沢な感じがするな。目が良くなるらしいからダンジョン関係者には必須では無いだろうか?
【☆☆☆】
こんなもんだろ。でも肉に甘いソースは外国っぽいよね。
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その日の深夜
ダンジョンに悲鳴が一つと打撃音が一つ木霊したという。
間違いは誰にでもあるモノだ。
「……椎葉のバカ…」
「……マスター〜ダメですよ〜ムニャムニャ〜」
子供は早く寝なさい!




