第一話 新就職の春
欲望に負けてまた投稿してしまった……こちらはマッタリ投稿で不定期でございます。( ̄◇ ̄;)
第一話 新就職の春
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記憶の中の少女
遠い…遠い…本当に遠い記憶の中に、一人の少女の思い出がある。
今となってはそれが夢なのか現実なのか定かでは無い思い出の中にその少女はいる。
あれは
ある夏の日
後ろから少女が俺を呼ぶ声がする。
夏の盛りーー帰省した俺がよく遊んでいた少女が居た。
その少女は俺の後をよく着いて来ていた。チョロチョロ、チョロチョロと。たまに帰省する俺は他に友達も居なかったせいで、よくその少女と走り回っていたと思う。
あれは街に戻る日の朝だった。
いつも通り俺とその少女は森に出かけていたが、仕掛けた罠に狙いの虫が入っておらず、がっかりして帰っていた。
いつもチョロチョロと後ろをついて来る少女は時に鬱陶しいほど纏わり付いて来るので、俺は時々ワザとはぐれたり、置いて行ったりして悪戯する事があった。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」と、必死になって追い縋って来るのが面白くて、俺は時々それをやった。
他愛の無い子供の悪戯なので、大概泣きそうになったら辞めていた。
いつもの事だった。
そう……それはいつもの事
後は仲直りしてお終いで、翌日にはまた遊んでいた筈だった。
しかし、その日は違った。
俺は今日が最後の機会だったのに獲物が得られなかった事に腹を立てていた。本当に子供だったと今でも思う。
だから、この日は泣いても辞めなかった。必死で追い縋って来る少女を放置して歩き続けるとーー流石に距離が開いてきたのか鳴き声が段々と小さくなって来た。
流石にコレはやり過ぎたかと思ったその時ーー背後で眩しい光が起こった。
「お兄ちゃん! お……に…ちゃ……」
途切れ途切れになる声に驚いて振り返るとーーもう少女の姿は何処にも無かった。
暫く探し回ったが少女の姿は見当たら無い。怖くなった俺は慌ててお爺ちゃんの家に走った。息も止まるほど走った。
慌てて家まで帰った。俺は両親に女の子が居なくった事を伝えると、驚いた母親が人を集めて探し始めた。
近所の人から近くの村の人や、村役場や消防団や警察まで繰り出したが少女は見つからなかった。
いや
正確には
居なくなった少女が居なかったのだ。近隣の村々でも居なくなった子供は誰一人として確認出来なかった。
そして母親曰く
「近くにそんな年の女の子や子供は居ない」
そう言われた。
家族からは都会に帰りたく無かったのだろうと言う事になり、お爺ちゃんは孫に好かれて幸せ者だとうやむやにケリがついたのを覚えている。
本当にあの少女は居なかったのか?
そんなはずは無い。
俺の中には確かなあの少女の記憶がある。肩まで伸びる黒髪をたたえたどこか儚げな少女……
しかし
そんな少女はどこにも存在して居なかった。
その少女は……俺の記憶の中にしか居なかった。
あれは俺が八歳の頃
遠い夏の日の記憶
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あの記憶の中の少女ら月日は流れーー俺は大学を卒業し、新興の不動産管理会社に就職する事が出来た。そして春の入社式を終え新社会人となった俺は就職先の新人研修に来ていた。
目の前には
あの記憶の中の少女と同じ背格好の少女がーー乱舞していた。
俺はあまりの混乱の中、呆然と立ち尽くしていた。
「椎葉君! なにぼうっとしてるのよ!」
同じく新人の須藤の声で俺は現実に引き戻された。
「ねえねえ! お兄ちゃんは独身なの?」「ええ、モテないんだね!」「ええっ〜じゃあ真里亞がお嫁さんになってあげるね♡」「うそ〜全然カッコ良くないのに」
女の子共に取り囲まれ俺は飛びつかれ肩に乗られ髪の毛を引っ張りまわされプロポーズされディスられていた。
「は…ははは….」
苦笑いしか思い付かない。目の前の惨状は凄まじいものだった。三十程の同じ新入社員とそれを数倍する幼い少女達の群れ。
大人びた口ぶりをするかと思えば気に入った新入社員を見つけると飛び付く抱き着く体当たりをかます。色んなカボチャパンツが百花繚乱の如く咲き乱れめいるが一向に欲情しない自分にホッとする。のも束の間……〈ドスン〉正面から鳩尾に直撃を喰らった。
「ぐっ……かっ…」
(し、しまった…油断してしまった)
「お兄ちゃんお兄ちゃん! どんな女の子が好きなの!」
「……ず、頭突きしない子…が好きかな」
「ええー! 変な趣味だね〜!」
「……はっ…ははは…はぁ…」
それにしても色んな女の子がここには集められている。髪の毛も目の色も肌の色も様々だ。
(帰国子女とか海外からの移住者とかのご子息のかかな?)
髪の毛の色も金銀茶緑に赤に……緑に赤? そんな人種いたか? コスプレ……な訳は無いよな。ここは専門の幼稚園とかじゃ無いからな。
そう、大体は想像のつく髪の毛だが、中に何人か特徴的な子供がいるのだ。
白、赤、緑、橙、青、しかもみんな染めてる感じじゃ無いんだよな。
そしてその特別な髪の毛の女の子はーーみな大人しい。と言うか大人びた感じだ。
「?????」
そして俺はその内の一人
赤い髪の毛の女の子に気が付いた。




