ピーマンさん。
「暑いねぇ」
「夏だからな」
「ねぇ、タカシ?」
「かき氷食べたい。」
「ヤだ!」
「なんでっ?」
「利益いっぱいでるから」
「元は氷だからね」
「元は水だろ?」
「話し変わるけど、シロップって高いよね。」
「変わってねえよ」
「イチゴとか乗ってるやつ食べたい」
「イチゴもびっくりだな」
「なにが?」
「子孫残すために実をつけたのに、氷の上乗せられてさ」
「ロマンチックだね」
「そうか?」
「そうだよ。」
「必死だろ?イチゴも」
「弱肉強食」
「だな。」
「ちっちゃい子にスプーンで潰されるより氷の上の方がイチゴも幸せなんじゃない?」
「やだろ?」
「そうかなぁ」
「ITの社長さんに潰されるなら嬉しいかもしんないけど」
「かもねっ」
「子どもはやだろ?」
「ピーマンって可愛そう」
「なんで?」
「子どもに嫌われて。」
「あぁ。そうだな。」
「子どもはみんな嫌いでしょ?」
「苦いからな」
「緑だし。」
「ピーマン好きって子どもは絶対無理して言ってるからな。」
「ピーマン可愛そう。」
「楽しい晩ご飯で、ピーマン残しちゃだめっ!って波乱が起きるからな」
「ピーマン気使っちゃうね」
「嫌われても、気まずくなっても、譲り合いされても、食卓に並ぶよな」
「強いね。ピーマン。」
「ピーマンさんだな。」
「ピーマンさん?」
「憧れだから。」
「強いから?」
「ピーマンみたいな精神力のある男になりたい」
「緑の?」
「すっとんきょなこと言うな」
「私も」
「緑の?」
「コケにしないで!緑だけに。」
「よし!これからはピーマンになろう。」
「うん。ピーマンになる」
「ピーマンさんだろ?」