表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金食い畑を買いました  作者: summer_afternoon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/5

嫁を収穫しました

祭後。大家さんの孫娘は大家さん()に泊まっているらしく、帰路の最後、隣に住むオレと2人になった。バリバリに働いてそうだよな。年収もエグそう。なので仕事の話を回避して畑の話。

送り届けると、大家さんが玄関に出てきた。


「おお、山田さん。娘がお世話になったね」

「いえ、こちらこそです」

「しばらくいるってゆーから、またよろしく」


しばらくいるって? 実は無職の実家暮らしかも。いや、幼稚園の先生とか学校の先生で夏休みとか。いやいや、そんな雰囲気はないな。どっちかってーと、海外企業勤務でバケーション。


小麦を収穫した後の畑に、ぼーっと大豆の種を蒔いてた、ら。

隣の田んぼで大家さんの孫が雑草を抜いてた。つばの広い帽子。それには首を覆う布付き。農協で売ってるやつじゃん。美女とのギャップがすごい。こーゆー姿を嫌がったりしないんだ? 意外。


「よかったら、飲みますか?」


オレは、自販機で買ったお茶のペットボトルを手渡した。


「あ、いいんですか? いただきます。いくらですか」

「はは。そんな、いーですよ」


2人で休憩。小屋でできたちょっとした日陰。あまり景色はよろしくない。田んぼ、畑、道路、工場。


「山田さん、若いのに畑買うって、めずらしいですよね?」

「自分でも意外です。マンションが先だろって友達に言われました」

「祖父がとってもお世話になってるって話してました」

「こちらこそです。1から教えてもらってます」


そんな感じで、お互い、探るように仕事の話に浸食していく。


「外資の投資銀行にいたんです。心折れて離脱しました」

「ブラックなんですか?」

「能力主義なんです。能力ないと時間がかかるんです。時間かけても結果が出ればいいんですけど、ね。出ないんですよ。これが」

「結果の目標が高すぎだんじゃないんですか?」


現在、彼女は無職だった。とりあえず日本に帰った後、世界一周でもしようかと考えていたらしい。


「じゃ、このあと、世界一周ですか? 船?」

「いえ。帰ってきたら、日本がいーなーって。でも、実家に居づらくて祖父んとこにいます」

「居づらい?」

「かっこ悪いじゃないですか」


そーゆーもんだろうか。妹は、会社を辞めたとき、金がないと言って実家で親のスネをかじりまくっていた。んーー。外資の投資銀行にいたんだったら、スネをかじる必要はないだろーな。


「親にはちゃんとして見せたいんですね」

「そうかもしれません」

「孫に頼りにされるお祖父ちゃんってかっこいいですね」

「頼りにしてるってゆーか、されてるってゆーか。会計処理をさせられるんです」

「あー、なるほど」


さすが土地持ち。



最近仕事はいーかんじ。合コンはジジイになって呼ばれなくなった。アラサーの数年は大きい。同期はガキまでいたりする。気づいたら、同期は辞めていって減っていた。


オレは相変わらず。

着の身着のまま気の向くまンま。

キャンプ、海、旅行、スノボ。

ときどき大家さんの孫を誘う。なんというか、どこへ出しても恥ずかしくない人。

大家さんの孫は、オレと同じアパートの別の部屋に住み始めた。仕事も始めた。


オレは畑に気を病むことが少なくなった。柵があっても畑泥棒は出た。慣れ。小麦畑にしてからなくなった。とうもろこしとさつまいもはハクビシンにやられた。畑の世話は常にしてる感じ。

転勤になったら畑、どーすっかな。


「祖父と私がするよ。種まきと雑草取りと害虫駆除と収穫のときに帰ってきて」

「それって、隔週くらいじゃん。ははは」

「それくらいは会おうよ」


あ、れ? そーいえば、毎週どころか、もっと会ってる。最近は平日も一緒に飯食ってるかも。会社帰りだったり、大家さん()だったり、どっちかの部屋だったり。これって、一歩踏み出してもいーんじゃないか? むしろ、礼儀として手ぇ出さないとマズいんじゃないか?

気づいたら、一緒に住んでた。で、大家さんに言われた。


「見た目はこんなだが、気だてはえーんだ。山田さん、頼むからもらってくれ」




読んでくださってありがとうございます。

実は隔世相続をしている家で、大家さんから孫に田畑が相続され、30年後くらいに全部の田畑を世話することになるーーーというオチの予定でした。美しくないので、嫁ENDにしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ