ファーマー山田
土地活用か。アパート経営とかかなり憧れ。が、話を聞いたら簡単じゃなかった。
土地を造成するのにベラボーに金がかかる。農地は安いけど、宅地は高い。その差は宅地造成費。登録とかさ。
じゃ、駐車場とか思ったわけ。造成してなくても車くらい駐められる。これもNG。農地として登録したら農地として使用しなけりゃダメ。でもって、駐車場は税金が高いと分かった。
地主さん方があれやこれをできるのは、親から受け継いだ土地があったから。オレとはスタート地点が違う。
オレとしては、せっかく土地持ってるのに、家賃払って別んとこに住んでるのが残念でならない。
1ヘクタールの畑が広くて、隣に小屋がある三角の土地についてはオマケ感覚だった。よくよく考えたら広い。約50坪。何もできず小屋と畑だけ。
ちなみに、小屋はオレの住んでる部屋より広い。小屋もなー。壊れたトラクターとか入ってるし。田植え機とか。処分に金かかりそ。と思ってたら、直った。田植え機は素人のオレが直せた。トラクターは大学時代自動車部だったって友達が直した。
直ったトラクターで畑耕して、さつまいもの種を蒔いた。葉っぱがわっさわさになって期待大。だったのに、育ってたのは葉っぱだけだった。下の芋は、、、冬虫夏草ですかってくらいの太さ。
「これって、収穫にはちょっと早いんですか?」
プロの大家さんは「あ”ー」という顔。
「つるぼけだよ。あるんだよねー。土に栄養がありすぎたんだね」
凹んだ。50アール=1500坪の葉っぱを虚しい気持ちで引っこ抜いた。別の仕事で生計を立ててるから凹むだけで済まされる。今まで、ちょこちょこと、いろんな野菜を作ってそれなりに収穫できてうぬぼれてた。大反省。
引っこ抜いた葉っぱは大量。何日間かほっぽっといて枯れてから焼いた。
初めて50アールで1種類の本格的な畑だったから、立ち直るのにややあった。「土地持ってるってかっこいい」くらいで手を出しちゃいけなかったんだな。隣の小屋のある方でも、いろいろ作ってて、金も手間もかかりまくってる。元を取りたいって気持ちが大きすぎた。
「山田さん、次は何植える。冬が来るな。それ過ぎたら、また税金」
立ち直らせてくれたのは、税金という言葉。玉ねぎを作った。結果、大成功。
大家さんは働き者。老体にムチ打って早朝から田んぼや畑でなんかかんかやってる。
最初は、あの人よく見かけるなーくらいだった。今は理由が分かる。大家さんは、たぶんオレの10倍田畑がある。側溝の泥さらいも10倍、雑草も10倍、田畑の世話も10倍、自治会とのつき合いも神世の昔からあるわけで、おまけにマンション。常に動いていないと、農政から注意され、税金が上がってしまい、近所&親戚つき合いに響く。
畑で作った野菜は結構売れた。いろいろ試している段階。個人販売は限界があり、農協に入った。結構、自分の中ではハードルがあった。農協入っちゃったら、完璧にファーマー山田。入ったし。現在作っているのは小麦。
仕事の片手間にできる感じ。
「次、パプリカやろっかな」
ふとハウス栽培に手を染めそうになって踏みとどまった。出張もバンバンにあるのにムリ。老後にしよう。まだアラサーだけど。そのときはメロンだ。
祭の手伝いをした。文化祭のノリ。自治会の執行部ら辺は大変だったと思う。朝5時に市場とかさ。
で、祭で焼きそば焼いてたら、大家さんの孫が隣でビール売ってた。医者か商社マンの娘。きっと、庶民のオレとはぜんぜんちげーんだろーな。金銭感覚とか。
「焼きそば焼くのって、力仕事ですよね。腕、大丈夫ですか?」
笑いながら話しかけてきた。笑顔が可愛い。たぶん、それが分かってるんだな。地顔が笑顔。ってか、きりっとした正統派美人だから、笑ってないとちょっと怖い。
「腕、ヤバいです」
「あははは」
祭は大した規模じゃないが、自治会費でやってるから安い。近隣住民が安いビール、枝豆、焼きそばを求めてやってくる。ついでに新鮮で中間マージン0な安い野菜を買っていく。




