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金食い畑を買いました  作者: summer_afternoon


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1/5

畑を購入

着のみ着のまま気の向くまンま。

そーやって生きてきた。

ふらふらと。


思えば、大家のじーさん、何年も前から仕込んでたんだな。

大家のじーさんは、よく野菜をくれた。

たぶん、それが始まりだった。


「ありがとうございます」

「見た目はこんなだが、味はえーんだ。山田さん、頼むからもらってくれ」


4日後にお返しのお菓子を持って行ったら「そんなことしなくていい」と言われた。

でもまあ、何もしないのは気が引ける。3回に1回くらいはお返しをした。


大家さんは地主。たまたまオレは、大家さんの家の隣のアパートの1階に住んでいた。会社から帰ってくると、ときどきドアノブに野菜入りのビニール袋がぶら下げられている。それはアパート全部の部屋に。人の良さが(にじ)み出てるななんて思った。


ときにはベランダから畑仕事中の大家さんに「畑があるっていいですね」と社交辞令。


「畑なぁ。野菜が育っていくのは楽しいぞ」

「楽しそうですね。何作ってるんですか?」

「配っとる野菜、トマト、きゅうり、ナス、ピーマン。農協へ持ってくのはピーナツ、枝豆、米、いろいろ」


月日が流れ、その手の会話を何回かしたあるとき、提案された。


「よかったらそこの畑、好きに使っていーよ。ほら、あの辺、空いてる」


指差されたのは4畳半くらいのスペース。初心者には広すぎる。遠慮して、その中の1畳くらいを使わせてもらった。トマトときゅうりとピーマン。意外にも上手く行った。楽しかった。新しいことはうきうきする。新しい女とか。合コンのネタにしたりした。都内の三つ星レストランに行きたい女の子にはウケないが、間はもつ。


「山田さん、上手いねぇ。よかったら、もっと畑使っていーよ」


大家さんにおだてられ、徐々に畑が広がった。土日に大家さんの手伝いをして、肉や酒を貰ったりした。

オレは土日だけだが、大家さんは気づくと田んぼや畑にいる。


「働き者ですね」


結構な歳なのに。70代だろう。現在朝6時。きっと5時台から働いている。


「田んぼや畑にしておかないと、税金が上がるからね」

「ははは。持たざる者からしたら、うらやましい悩みですよ」

「いってらっしゃい、山田さん」

「いってきます」


大家さんは一人暮らし。息子は東京とバンコクにいるらしい。東京にいる方は開業医、バンコクの方は商社マン。なんか、勝ち組じゃん。別に自分を卑下するわけじゃないけどさ。


ある日、年を取って、全部の田畑を世話できないから、少しずつ手放すと聞いた。もしよかったら畑を買わないかと。


「ほら、あそこ。道路に面した。あそこだったら、もしも売ることになったとき、高く売れる」


最初にオレが思ったのは「土地持ってるってかっけー」。

値段を聞けば、1坪1万5000円。


「ええっ、1坪1万5000円でいいんですか?!」

「山田さんだから」


ここは一応、神奈川県横浜市。小さな家が何千万って価格の場所。

えーっと、大家さんとこの田畑は1ヘクタールごとに区切られてるから、1ヘクタールはだいたい3000坪で4500万。オレが4500万か、ちょっと無理だなって頭の中で結論を出してたら、大家さんはもう一声。


「1坪1万3000円」

「……」

「1坪1万2000円」

「あ、いえ、計算してるだけで、値切っているわけでは」

「いーよ。言っちゃったから。1坪1万2000円で」

「え。」


決定。畑を手に入れた。すげっ。〜¥

それにしても、一瞬で4500円が3900万円になり、3300万円になった。その差額1200万円。ベンツ買えるじゃん。土地持ちの金銭感覚ヤバい。


「お世話んなってるし、本当はただで上げたいくらいなんだ」


その畑の半分は近所の施設に貸していて、その賃料で税金などが十分賄えると聞いた。

めちゃくちゃテンション上がった。不労所得! 一気に持ってる側んなったし。


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