兄弟同時に召喚、何も特別な能力がないからと追放された兄のオレは自由に魔王と暮らす
追放された兄のオレは、魔王と自由なスローライフ。
「起きて、朝だよ」
「寒い。
今日は寒いから休む、とにかく色々と休む」
「弟は今日も魔物を倒すんだろうなー、勇者だもんなー、ぐうたらな兄とは違うなー」
「魔王がそれ言う?」
「わたしは生きてるだけで幸せ」
などと、やりとりをする。
オレはベッドの中に引きこもっている。
だって寒いもん。
てか、今日、寒すぎじゃね?
「なに? 冬将軍でもお邪魔してるの? 魔王だろ、説得して帰ってもらえ」
「そんなのファンタジーだよ」
いや、ファンタジーの世界だろ? 異世界だろ? 兄のオレと、弟のアイツが召喚された。
「雪が降ってるだけだよ」
雪…。
「ヒャッホイ!」
勢いよく毛布を取りベッドから出る。
「ビビったわ、魔王のわたしでもビビったわ」
「雪ダルマを作ろう!」
「マジで降ってるじゃねえか、最高だぜ」
ゴロゴロゴロ。
笑顔で雪の玉を転がす。
昨日は積もってなかったけど、なぜか起きたら積もりまくってる。吹雪じゃないから自由に作れる。
「わかんないなー、人って何だろう」
魔王の女の子は呆れた様子。
遠くから眺めている。
ゴロゴロゴロ、ゴロゴロゴロ。
『わあっ、お兄ちゃん凄い! 大きい雪だるまだ!』
懐かしいな、懐かしいな。
「大きい雪だるまを作るぞ、この世界で一番大きい雪だるま」
「いや、こっちの世界じゃそんなことする生き物いないから」
「好都合じゃねえか、もっと頑張らないと」
「本当に何なの?
てか、寒いの嫌いだったんじゃないの?」
「そんなのどうでもいいっ」
「できた」
オレくらいの高さ。
あのときよりも大きい。
18歳だからできた大きさ、身長は、170cmだったか? オレ。
そして、アイツに対する愛も、大きい。
「ワクワクするな! 勇者の弟が冒険して城に戻るとき、たまたまこれを見つけるんだ。そして、わあ、こんな大きな雪だるま、初めて見た! お兄ちゃん元気かなっ、て」
「だから、作るのお前しかいないって。
てか、ここ、人のいない所だし、誰も通らないだろ? 魔王のわたしが見つからないように、この静かな所で暮らしてるんだろ?」
「うん、何も聞こえない」
「あっそ」
「もっとこう、兄弟のドロドロした殺し合いとか、ないのかな」
「兄が弟を憎む訳がない」
兄弟召喚→兄、何も特別な能力なし→弟は最強の能力が→オレは追い出され、弟は魔王を倒すためと勇者にされる
そして、今は、魔王との自由な暮らし。
「寒いっ、家に戻るっ」
走って戻る。
「こんなはずじゃなかったんだけどなー」
魔王は歩きながら戻る。呆れた表情で。
弟があの雪だるまを見つけたのか、それはオレにはわからない。
あありがとうございました。




