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転生特典なし悪役令嬢、辺境でなんとか暮らしてます 神様、便利スキルはいつ届きますか?  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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王宮の穀物

 倉庫を出て、歩いていくと頭の中で何かがひらめいた。


「……違う」


 私は立ち止まって、つぶやく。


「何がだ」


 殿下が問いかけた。


「買い占めじゃない」


「?」


 セシリアはまだ気づいていないようだった。


「でも」


 カメリアも同様。


「王都は半年も持たない」


 はっきりと私は言い放った。


「穀物は王都にある。でも市場に出ていない」


 それから、頭の中にある考えを伝えていく。


「ああ、それが問題だ」


「違う」


 私が少し強めの言葉を。

 すると全員が沈黙した。


「出してないの」


兵糧ひょうりょうか」


 私の言葉に対して、殿下も気がついた。


「軍でしょうか?」


 セシリアは問いかけた。


ならし制度は王都を余らせる制度」


 考えを整理していく。


「その余りは」


 一拍置いた。


「王宮に行く」


 私は王宮の方向に顔を向けた。


「王宮備蓄……」


 カメリアが呟く。


「王家非常備蓄庫」


 思い出したかのように、殿下は呟いた。


「そんなものが」


「ある」


 セシリアの問いかけに対して、頷いた殿下。


「均しは余剰を作る制度。だから王都は余っていた」


 軽く息を吸って、言葉を続ける。


「でも今は余らない」


「つまり」


「王宮が吸っている」


 私ははっきりと断言した。


「分かった、王宮へ行こう」


 という事で、馬車に乗り込んで王宮へと向かっていった。

 殿下と一緒だからすんなりと王宮へと入れた。

 私が婚約破棄された王宮。

 そこへ再びやってくるなんて。

 何の因果なのかしら。

 追放されるまでは、馬車で向かっていたけれど、同じように入れるなんて。

 ただ、ビュージンゲン公爵家の馬車じゃなくて、マドレーヌ辺境領の領主の馬車だけれども。


「王宮備蓄庫を開く」


 殿下は王宮にいる兵士にそう命じた。


「で、殿下……それは」


「命令だ」


 強い口調で言い放った。


「分かりました」


 兵士に連れられながら、王宮の地下へと降りていった。

 地下にある巨大な王宮の備蓄庫には、山のような穀物が。


「広いわね」


 思わず呟いてしまうくらいに。


「……これ」


「王都の穀物です」


 驚き混じりのカメリアの声に対して、セシリアは言葉を。


「帳簿を」


 セシリアが備蓄庫の机に置かれていた帳簿を開いた。

 ページをめくる音だけが地下に響く。


「……やはり」


「何が分かった?」


 殿下が訊く。


「ここ半年で、王宮備蓄が急増しています」


 セシリアが数字を指さした。


「王都倉庫から移された量と一致します」


「やはり穀物は消えていない。王宮が集めてる」


 考えは当たっていた。


「なぜだ」


 穀物庫には沈黙が流れていった。


「……戦備せんびか」


 殿下が低く呟いた。


「王宮備蓄は本来、戦時用だ」


「戦争?」


 カメリアが息を呑む。


「あるいは」


 殿下は穀物袋を見た。


「王都防衛備蓄」


「均しはね」


 私は穀物袋を見ながら言った。


「王都に余りを作る制度だった」


 息を吐きながら、言葉を続けていく。


「地方の余剰よじょうを王都へ集める。だから王宮の備蓄は、いつも満ちていたのね」



 王宮の屋根の上。

 マドレーヌが笑っていた。


「そこ」


 パンをかじりながら。


「やっと気づいた」


 美味しそうにパンを咀嚼そしゃくする。


「でもね」


 笑いながら。


「まだ終わってないわ」

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