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転生特典なし悪役令嬢、辺境でなんとか暮らしてます 神様、便利スキルはいつ届きますか?  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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視察前日2

 時間が経っても、状況は変わっていない。

 猫はずっと穀物倉庫の前で座り続けていた。


「なんか……会議しているみたいね」


 それにしても、倉庫の前で大量の猫が座っている。

 静かに鳴きもしないで。

 これって、よく公園に猫が集まっている光景とかあるけれど、そんな感じの。


「確かにそう見えますね」


 セシリアが周囲を観察しながら、同調していた。

 落ち着いた感じで。


「流石にこれは、何と言いますか……」


 村長モルガンが、そうつぶやいていた。

 少々引いている様子だった。


「可愛さもありますけれど、怖さも感じます」


 村人がため息を吐きながら、そう言葉にする。

 猫達の視線は、扉ではなく倉庫の側面へ向いていた。


「ちょっと中を見ても良いかしら?」


「どうぞ」


 私は許可を貰って、倉庫の中を見てみることにした。

 すると、とあるものを見つけた。


「あっ……」


 穀物を入れている袋の一部が破れていた。

 それも人為的ではなくて、動物的な何かによるもの。

 明らかに食べられている。


「あるわね……」


 倉庫の中には黒いぽつぽつとしたものが。

 もしかしたら、生き物のアレかしらね。

 染みも見えるし。


「ネズミが入ってきているじゃない」


 私は思わず大きめの声を出してしまった。

 ただ、倉庫の中にネズミは見かけない。今のところは、痕跡こんせきだけ。

 どうしてこの倉庫に入っているのかしら。

 しかも、ちゃんとネズミ返しの対策はされているんだけど。


「対策はしていても、入ってくるものはいますのじゃ」


 絶対的に防ぐっていうのは、難しいかもしれない。

 よく見てみると、倉庫の中には穀物の袋がいくつも置いてある。


「前より増えているような」


 集中させたから、ネズミが増えたのかしら。

 えさがあるって。


「そうかもしれませんね」


 ルシアがうなづいた。


ならしをやめてから、ここに入れる量を増やしたのじゃが……」


「それでネズミが増えている……」


 対策していても入ってしまうのが出てきた。

 ここで私は気がついた。


「もしかして、私のせい?」


 いや、もしかしてなくてもそう。

 私が均しをやめさせたから、こんなことになっているんだ。


「そうかもしれませんね」


 セシリアがそう頷く。

 だからこそ、猫も増えているんだ。


「動物は変化に対して、先に反応しますから」


 確かに天変地異の際でも、動物が異常行動をしたって話は聞くからね。

 その時、遠くでまたマドレーヌを見かけた。

 まだパンを食べている。どれだけ好きなのかしら。


「世界は説明しないの。結果だけ置いていくのよ」


 私にだけ聞こえる声で。


「倉庫に出てくるネズミ、消しなさいよ!」


 思わずそう声を出してしまった。

 するとマドレーヌは首を振った。


「だから、あなたが意味を決めるの」


 そして、そう言ってきた


「メリッサ様、どうしましたか?」


「い、いえ。何でもないの」


 見えていないし、聞こえていないのね。

 これじゃあ、私が変人に見えるじゃない。


「どうするのよ」


 成功しているって王都は思っているのに。

 ネズミまで発生しているって。


「もし、殿下がここを最初に見たら……」


「終わりね」


 私もセシリアも頭を抱えていた。

 これが前日に起きているんだし。

 どうしようもないって。


「ただ、隠せないし、隠さないわ」


 臭い物にふたをしたって、いつかはバレる。

 それならば、見せてしまえばいい。


「出来る限りの事はしましょう」


 私は倉庫に保管している穀物のいくつかを、別の倉庫に移させる。

 こうすれば、多少なりともここを狙う可能性は減るのだから。


「猫はどうしましょうか?」


 ルシアが訊いてくる。


「そのままでいい。猫は問題じゃないから」


「分かりました」


 すると、一匹の猫がこっちを見た。


「やっと、見たわね」


 それと同時に、またマドレーヌの声が聞こえてきたのだった。

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