王都からの書簡3
書簡をもう一度見直して、視察の内容を確認する。
「日程は……三日後じゃないの」
書かれている日付は、そこまで日数の余裕が無かった。
急いで準備しないと間に合わないかもしれない。
「そうですね。ただ、王都から送った日数経過分を考えても、短めではあったと思います」
確かにね。
王都からずっと馬車に載せて送ったとしても、二日くらい。
考慮していたとしても、短めな気がする。
「わざとじゃないよね……」
でも今日や明日って言われなくて良かったんだけれども。
「さて、どこに行くのかしらね。殿下は」
視察に来るんだったら、予定場所があるはず。
それを取り繕わないと。
「農村、港町、港湾帳簿が指定されています」
「げっ」
セシリアが確認した内容は、均しに関わった場所を直撃するようなコースだった。
明らかにそれを狙っている。
「やっぱり、絶対わざとでしょ……」
そう呟く私。
するとセシリアは、何かを考えている様子だった。
「これ、もしかして……」
彼女は何か心当たりがあるような……。
どうしたんだろう。
処理されている古い書類を確認していくセシリア。
そしていくつか見ていった後に、口を開いた。
「メリッサ様、このコースは前領主時代の資料が基準になっているかと」
送った資料……均しをやっているタイミングのもので判断しているのね。
「これは昔の成功モデルを見ようとしているのかと思われます」
「そうかもしれないけれどね」
均しの成功を見ようとしている。
だからこそ、今回のコースにになっている。
「王都では均しは続いていると思っているのに、もうやめましたなんて言ったら……」
「衝突することは確実かと」
殿下にとって、私は悪役令嬢そのもの。
それに加えてだから……。
何言われるのでしょうね。
「……それにこの日程、妙です」
さらにセシリアが気になることを言ってきた。
「また、どうしたの?」
結構短いけれども、セシリアは気になっている部分があるのね。
「事前に通達はされていますが、日数はもっとあるんです」
「数週間とか一ヶ月とか?」
「そうです」
別のタイミングでは、そんなに余裕があるんだ。
なのに、今回は三日。
「短すぎるって言いたいの?」
「はい」
そう返事をするセシリア。
短すぎるのは、わざとってことなのね。
「しかも……農村が最初だから」
さらに修羅場になるのは確定。
「準備をしましょうか」
「そうね」
あれこれ言ったって、視察が行われるのは確定だから・
「はぁ……」
私は一瞬だけ、この状況から頭を整理させたくなって窓を見てみた。
「あっ……」
窓から見える場所でピクニックをしているかのように、マドレーヌがパンを食べていた。美味しそうに。
「…………」
目が合ってしまった。
彼女は頷いている。
ただ、少しするといなくなってしまった。
(……絶対、面倒になる)
そう思いながら、準備をしていくのだった。




