書類仕事2
「セシリアって、万能感があるのに?」
肯定していた事を、気になっちゃって。
彼女も書類瞬殺のスキルが欲しいなんてね。
「万能ではありません。効率よく諦めているだけです」
はっきりと私が感じた事を否定していた。
「それ、才能じゃない?」
効率よく諦めているって、そんな事私は出来ないって。
諦めが悪い方だから。
「メリッサ様も習得可能です」
微笑みながら、私を見つめている。
「遠慮するわ」
セシリアのようにはなれないから。
本当に彼女の才能だし。
「さて、お昼を食べましょうか」
「そうですね」
昼過ぎになっているから、お腹が空いている。
一旦、書斎を出ていって昼食を食べることに。
パンとスープと、魚を使ったソテーだった。
そこそこ美味しいわね。
「続きね」
書類をめくっていって、内容を確認する。
色々とあるわね。
港湾申請に、市場価格、猫の餌代の請求。
処理していきたいけれど。
「第三桟橋の猫、誰が責任者なの?」
野良猫だろうけれど、餌代を請求しているってことは、責任者がいるでしょ。
「猫です」
セシリアは平然と答えた。
はっきりとしているって、どういうこと。
「終わってるわね」
誰が申請しているのよ。
猫が記入なんてできないでしょ。
まあ、いいか。
「正式な申請なのね?」
セシリアに確認する。
冗談の類で無いことを。
「はい。被害報告付きです」
申請書には報告書も添付されていた。
魚が盗まれたり、作業員が転倒したり、ネズミが減ったり。
猫がいるために起こっているのね。
「餌代は公共なのかしら?」
でも野良猫、管理していない。
誰かの所有じゃないから。
「出すべきかな。でも……」
「誰も決めないと、現場が困ります」
迷っていると、セシリアが変な圧をかけてきた。
決めないといけないのね。
「分かったわ。暫定的に承認するから」
私は申請書に署名をする。
「ただし、港のネズミ対策として」
「はい」
「それに猫の数は記録しなさい。猫がネズミ算みたくなるのは、問題だから」
条件として、それらを申請書に付け加えた。
これでこの書類は完了。
(帳簿に書けないものを見ろって言われたけれど……猫は普通に帳簿へ載るのね)
書類を片付けながら心の中で呟いていた。
「……他国航路・契約確認」
さて、さっき飛ばした書類。
紙の色が他の書類と違った。
厚く、古く、何度も開かれた痕跡がある。
(猫の餌代の次が、これ?)
明らかにギャップがある。
「これ……後回しにしたやつだけど」
答える前にセシリアは、書類から目を離した。
そしてすぐに答えず、少し間が流れていく。
「はい」
少しして返事が聞こえてくる。
何か彼女の雰囲気が変わったような。
「……本来なら、最初に確認すべき案件です」
言葉を選ぶように、セシリアはタイミングが遅れて話していった。
何か重要な事を隠しているような。
「じゃあ、なんで?」
「……誰も、開きたがらなかったからです」
また沈黙が流れた後に、口を開いていった。




