表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女性が少ない世界でVTuberやります!  作者: ブル(犬川)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/17

閑話 〜伊沢時雨・紫苑〜



   〜〜伊沢時雨(いざわしぐれ)〜〜



「なぁ知ってる?VTuberのメイって女!」

「誰それ?」

「知ってる!新人VTuberのメイちゃんでしょ!昔飼ってたオカメインコがモデルだとか言う!」

「そうそれ!めちゃ可愛よね!有名なミイクラだけじゃなくホラゲーとかもやってくれるから純粋に面白いし!」

「なんだ、また女とか嘘つくやつが現れたのか」

「違うよ!僕も最初信じてなかったんだけど、解析した人が女性の声だって言ってたもん!」

「そんなの嘘だって」



隣の席の奴らがメイのことを話している。

身近な人間も彼女のことを知っていると最初は嬉しかったのに、なんでか最近はムカムカする。

俺が最初に見付けたのに!って。

学校に行かず暇だった俺がテキトーに流した生放送、それがメイの初めての放送だった。

高過ぎない落ち着いた声に男に媚びない自然なキャラ。いつの間にか夢中で見て終わってた。

ただの偶然なのに運命を感じたなんて、バカじゃないかと思われる。

VTuberなんて出会えるはずもない遠い存在なのにな。

どこの誰なのか、何歳なのかも分からない彼女に焦がれている俺はなんて愚かなんだろう。



「やっぱり、メイちゃんのこと話してる人多いね。まだ結構マイナーなのに。

 最近のみんなの話題は三浦由麻(みうらゆま)とYTuberの東雲梓(しののめあずさ)、それと新人VTuberのメイちゃんの3人だね」

「そうだな」



目の前の男が話しかけてきて気が削がれる。

俺の双子の兄、伊沢紫苑(いざわしおん)。何をやっても完璧な優等生の男で、俺にとって嫉妬と劣等感を感じる相手だ。

正直関わりたくないのに最近なぜか話しかけてくるようになった。

…まぁ、メイに言われてちゃんと朝から学校行くようになったからってのもあるかもな。

今までは昼近くまで寝て起きたら外出して夜遅くまで帰らないようにしてたから。

こいつが言う通り、男が話す話題は女のことばかりだ。

三浦由麻(みうらゆま)は数人しかいない本物の女のアイドルで、女みたいな格好で人気の男アイドルは多いがやはり本物の女には敵わないみたいだ。

そこまで顔が良いわけじゃないし態度は悪いし、俺は嫌いだけど一般受けはいい。

東雲梓(しののめあずさ)はYTubeでの顔出しで美人だったのと、自称女ということで一時期大人気になったが実は男と暴露され炎上中。

よくあることなのに騒いでる連中はアホだと思う。

……そして最近デビューしたばかりの新人VTuberのメイ。

男に金使わせる為の媚びた配信をするわけじゃなく、逆に男だというのが隠しきれず地が出てしまう配信者とも違う、本物の女の子。

高過ぎず落ち着いた可愛らしい声に媚びた可愛さや色気に走らない普通に可愛い見た目のキャラ。

オカメインコの着ぐるみ着てるなんて発想、よく思い付いたなと思う。色気なんか全然なく純粋に可愛い。

最初は数人しかいない配信からじわじわ伸びて、スレで本物の女だと取り上げられてからは一気に登録者が6万人超えた。

……最初は嬉しかったのにな。みんながメイの話しをするようになってイラつくようになった。

これじゃいけねーよな。素直にメイの人気を喜んでやらねーと。



「ムカつくな」

「っ」



そう思っているとき聞こえた低く暗い声に驚く。

慌てて目の前の男を見れば笑顔なのに空気がひりつく。



「僕が最初に見付けたのに、みんな自分のモノみたいに話してるから」

「お前…」

「ごめんごめん、女の子はみんなのモノだよね?独占はだめ」



そう言って微笑っているが目の奥は笑ってない。

少なくなった女は独占できない。昔のように女を巡って争うことは禁止され犯罪者から守る為にもみんなで共有するのが普通だ。

それが今のスタンダードだから独占なんて考えは許されない。

だが、頭では分かっていても独占したいと思ってしまう。

分かるよ、俺も同じだから。



時雨(しぐれ)なら我慢できるよ?僕達双子だし、生まれる子供はどちらかも分からないほど同じだから」



そう、俺とこいつは双子だ。

優等生のこいつとバカな俺は見た目が似てるからこそ周囲から比べられて、腹が立って喧嘩ばかりするようになっていた。

学校も殆どサボってばかりだったのに、メイに「頑張って」「行ってらっしゃい」と言われる為にほぼ毎日きちんと行くようになった。



「でも他の男はだめだよ。メイちゃんが他の男の精子を受け入れて、その遺伝子が混じった子供を産むなんて……

 絶対に許せない」



優等生と言われる品行方正なその顔から、いつも通りの人当たりのいい笑顔で語られるのは危険思想。

なんだ、こいつも中身は俺と同じだったのか。



「やっぱり俺達は双子だな」

「当たり前でしょう?双子なんだから」



お互いに微笑み合う。

俺の笑みは品行方正のこいつとは逆に、悪人顔と言われる笑顔だが。

俺達の考えてることは同じだった。










   〜〜伊沢紫苑(いざわしおん)〜〜




「はぁ、可愛いなメイちゃんは」



部屋に置かれた机に頬杖をつきながらノートPCに映るメイちゃんをうっとり見詰める。

僕達の出逢いは運命だ。

風邪を引いて学校を休んでいた日に偶然つけたYTube。表示された画面を間違ってクリックして入ってしまった番組。

「初めまして皆さん、今日から配信を始める新人VTuberのメイです。

 えっと、この子のモデルは昔飼っていたオカメインコのメイちゃんです」

ちょうど始まった生放送で、緊張からか少し辿々しく話す姿、声、仕草。

全てに僕の目は惹きつけられた。

その声を聞くだけで心臓がドキドキして痛み、姿を見ると抱き締めたくなる女の子。


可愛い。こんな子が本当に実在するなんて!

メイちゃんの配信は普通の人間が学校や働きに行っている午前や午後に配信していることが多い。

親や弟に内緒で配信してるからって言ってたけど。

そんな配信を風邪で休みだった日に偶然見付けたんだ。運命としか思えない!


一般ではシングルファザーも多い世の中だけど、うちはきちんと両親がいる。

だからこそ母親や、その関係で実際の女を何人も見て他の男とは違い女に夢を見ることなく育った。

まだ8歳ほどの僕に色目を使ってくる女や気持ち悪く身体を触ってくる女。

父や兄達は母親の命令であちこち連れ回されて本当に不憫だ。

あの人の悪趣味な友人と行う乱交とか全く理解できない。ほんと気持ち悪い。

そんな実際の女と接した僕だから分かる。メイちゃんが本物の女の子だって。

最初は信じられなかった。

男が女のふりをしてるんだ!…でもこれは本物の女の声!いやこんなまともな女が実在するわけない!!

暫く葛藤もあったけど、最初からずっと彼女に惹かれていたからそんなことどうでもよくなった。


だって女でも男でもメイちゃんはメイちゃんだ!

彼女は僕のものだからどちらでも構わない。

いや、むしろ男の方が都合がいいかも。

女の子だと誘拐して監禁なんてしたらすぐ警察が動いてあっという間に逮捕され2度と会えないけど、男だったら警察はすぐに動かずもしかしたらうちの親の力で捜査を止められるかもしれない。

そしたらそのまま毎日たっぷり可愛がってあげられる♥


でもメイちゃんは女の子。 可愛い。可愛い僕のメイちゃん♥

すぐにでも会いに行きたいけど、VTuberの彼女との出逢い方が分からない。

どうすればいい?

どうすれば僕のメイちゃんは手に入る?

悶々としていたとき気付いた時雨の変化。反抗期で荒れていたあいつが急に真面目に学校に通いだした。

ちょうどメイちゃんが配信を始めた次の日から。

ピンときたんだ。

あいつもメイちゃんに出逢ったんだって!

僕1人じゃいいアイデアが浮かばなくても2人なら何か方法が見付かるかもしれない。

そう思った僕は、反抗期以来僕との関わりを避けていたあいつに近付いた。

あいつと協力してメイちゃんを見付けるんだ。

だって僕達は双子で、メイちゃんとは運命なんだから。

必ず見付ける。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ