第4話 そんな僕にも希望が(1)
「マジで、仲頴の奴、コロコロ転げて、やんの、笑える」
「うん、張繡の言う通りで笑える。笑えるよ! あっ、ははは~」
「張繡~。先程上田の身体、転げた瞬間にボールみたいに跳ねなかった?」
「うん、跳ねた! 跳ねた! マジで仲頴の身体がボールみたいに跳ねる瞬間を、アーシは見たけど面白かった」
まあ、こんな感じだよ。今日もこいつ等はね……。
僕が丸々した可愛い身体をしているからと嘲笑い、侮りながら。僕の丸い身体を踏み、蹴りしてサンドバッグだよ。
でもこいつら……。グレー色の髪色した張繡達の僕を侮り、蔑む悪態はこれで終焉する訳では無いから。
「ああ、張繡~。うちも見た、見たよ!」
「張繡~、マジで受けるよね。上田の奴は!」
「うん、うける~! 仲穎の奴は~! 本当にキモイ、キモイんだけれどもこいつは~。あっ、はははははは」
グレーの髪色したヤンキーな張繍とその取り巻き達は更に僕の丸々、ポヨポヨした身体を踏み、蹴り続けるから。
僕の身体中は本当に痛くて仕方が無いので。
「──張繡さん! もう辞めてよ! 僕の身体を蹴るのはー! もう気が済んだだろうー? だから勘弁してよ! お願いだからー!」
僕は彼女達へと嘆願をする。
しかしこいつらは、僕の身体をおもちゃにすることを趣味にしているような悪者達ばかりだから。
「──このクソデブ~!」
「──本当に気持ち悪いんだよ~!」
「──仲穎~、お前の顔を見たらアーシの気分が悪くなり吐き気がするぐらい気持ち悪いんだよ! 仲頴~、お前は~!」
張繡達は更に僕の身体をおもちゃ……。
そうこいつらは完全に興奮し、僕を虐めることに酔い始めているようだから、更に歓喜しながら僕の体躯を踏み、蹴る、を続ける酷い仕打ちを続けるから。
「うっ、うっ、うっ、うぅ、ううう。痛い……」
僕の口から何度も呻り声が漏れる刹那状態が続く。
それでも彼女達は僕を虐める行為を辞めることはしないで、相変わらず歓喜、興奮しながら続けるので。
「い、痛い。痛いよ……。僕の身体中が痛いから許してよ。張繡さん……。お願いだから……。今日も何でも君の言うことを後で聞くから、もうこれ以上は酷いことをしないでお願いだよ。頼むよ……。」
僕は今日こそは、張繡に抗い、楯突いてやろうと思っていたけれど。
今日もまた張繡さんへと命乞い……。
後で彼女の丁稚……。下僕になるから許してと欲しい嘆願をする。
「……ん? 後で……。まあ、仕方がないね……。後でアーシに尽くすんだよ。デブ分かったかい?」
すると張繡も僕の元カノだから李儒ちゃんの御機嫌取りだけではなく。
自分の御機嫌取りも僕がおこなうとわかれば、張繡の奴は満身の笑みを浮かべながら機嫌がよくなる。
そんな御機嫌麗しくなった元カノへと。
「うん、わかったよ」
と返事を返せば。
僕は急に『クラリ~』と目眩が……。
そして僕の意識が急に薄れていくのだった。
◇◇◇