お太鼓を簡単に結ぶのだ
私は、いわゆる教材枕のやりかたでお太鼓を結んでいる。
お太鼓山に枕と帯あげをセットして背中に背負って枕の紐を前で結び、帯の手を身体に二回巻いてクリップで仮留めしてから仮紐で帯のたれをお太鼓にし、仮留めしていた帯の手をお太鼓の中に返してから帯締めをして、帯揚げを整えるやり方だ。
文字だけだと何がなんだか分からない人は、動画が沢山あるから見て欲しい。とても簡単であるとわかるだろう。
お太鼓柄のある帯だと少しコツがあるが、教材枕の説明書に書いてあるからチャレンジするとよい。
慣れたら教材枕が無くてもできる。その場合はひこうきと呼ばれるお太鼓どめを使うか、タオルハンカチを巻いて背中に挟むとお太鼓の高さが保てる。夏は教材枕が暑いので、普通の枕でも結べるようになっておいたほうが良いかもしれない。
このやり方は非常に早くて簡単で、作り帯と大差ないくらい楽にできる。
結んだり捻ったりしないから帯も痛みにくい。
しかし。
教材枕方式で簡単に結べるのは、名古屋帯だからではなかろうか。
二重太鼓を結ぶとなると途端に、どうしてよいかわからなくなるだろう。
勿論、附属の説明書どおりにすれば袋帯も改良枕で結べはする。しかし私の目的は教材枕を使いこなす事ではなくて帯を楽に早く結ぶ事だ。涙ぐましく工夫してまで教材枕で袋帯を結んで、従来より大変になってしまったら本末転倒だ。
そこで考えた。
正礼装にも名古屋帯を結べば解決だと。
幸い、正装にも結べる名古屋帯はある。
金銀を使った綴帯だ。これなら一重太鼓で留袖にだって締められる。
金銀を使った組帯も、名古屋帯だが訪問着にも締められる。
幸い組帯は滅多に見ないが、綴帯ならリサイクル屋さんに結構ある。早速黒留袖用の金地のものと、訪問着用の落ち着いたお太鼓柄のものをリサイクルで揃えた。
私が購入した訪問着用の綴帯はシミがあったので格安だったが、幸い綴帯は裏も同柄だ。これは裏返しに仕立て直す事で解決した。
さあ、どんな席でも大丈夫!
残りの生涯で身体がきく限り、礼を尽くした装いができるわけだ。これで安心。