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授業

うーん、次は授業の前、5分間~を描いてみました。

玲は僅かながら恋心に気付いています。

凛は無自覚。

歩はどうでしょう・・・。



林檎の登場はまだ先ですかね。






 楓がメガネを換えると一人の男子が話しかけてきた。


「やっぱり楓じゃん。懐かしいなぁ、オイ」


「お前は相変わらずだな、雅」


 細身の体なのに四六時中、菓子を持っている男子。

 『天王寺雅』だ。

 彼の家は代々、宮司を務めているのだが、彼にそれを継ぐ意思があるかは定かではない。

 雅が話しかけてきたことにより、楓は三人から離れ、雅のグループへ挨拶に行った。

 知り合いも居たらしく、この分ではすぐに友人が出来そうだ。

 

「懐かしいわね」


「うん、懐かしい」


「そうね」


 楓が居て。

 男の子たちと遊ぶけど、しっかりと自分たちの存在を意識していてくれる。

 今の彼も時折、自分たちの方を向いて笑いかけてくれる。

 彼が引っ越してからは感じなかった暖かな気持ち。

 それが確実に各々の心の内にある。


 キーンコーンカーンコーン。

 

 授業開始三分前を告げる予鈴が鳴る。

 それを聞いたクラスの全員は慌てだす。


「あれ?どうかした?」


 楓は雅に訊ねた。


「悪い!今答えてる場合じゃねぇんだ。そこにいる委員長たちに聞いてくれ」


 雅は確かに忙しそうだ。

 カバンから教科書を取り出し、必死に問題を解こうとしている様子だ。


「凛、何だ?どうしたんだ、この慌てようは」


 恐らく宿題なのだろうが、この慌てよう。

 何かしらの理由があると推測する。


「えっとね、今から数学の授業なんだけど、ちょっと難しいの。だから予習ってわけ」


「なるほど」と楓は頷いた。


 授業でやる問題を先に解いておこうというわけか。

 そうすれば――――否、そうしなければ間に合わないのかもしれない。

 そこまで考えて、楓はふと疑問に思う。


「歩は?歩は大丈夫なのか?」


 その問いに歩はムッとする。


「部活の前に凛と玲に教えてもらってるから分かるもーん」


 その子供じみた言い方に楓は少し笑う。凛と玲もそれにつられて小さく笑った。

 雅は未だに問題が解けないらしく、「うーうー」と唸っていた。 

 雅の様子を見かねて、楓が近づく。


「どこが分かんないんだよ、三平方の定理の応用な。これはな――――――」


 一つ一つ丁寧に教えていく楓。うんうんと頷く雅。

 凛は楓と同じように周りの生徒に問題のとき方を教え。

 玲はうつ伏せて寝ており。

 歩は授業のノートの復習をしていた。


 

「と、まぁこうなるわけだ」


「やっぱお前は変わってないのな。相変わらずの優秀さだ。ホイ、お礼」


 差し出されたのは飴の袋一袋。

 いらないと言っても押し付けてくるので、楓はそれを受け取り、自分の席に戻っていった。

 するとうつ伏せで寝ていた玲がボソリと言った。


「ホント、頭ばっか良いんだから」


「そうだな、玲みたいに運動出来るわけでもないしな。そう考えると玲って凄いよな」


「・・・・アンタ、罪な男ね」


 前より小さく呟いたそれは、楓の耳には入らなかった。

 もちろん聞かれるわけにはいかないのだけれど。



 キーンコーンカーンコーンと本鈴が鳴る。

 チャイム終了と同時に入ってきたのは初老の男。


「それじゃあ、授業を始めるかね」


 それだけ言うと男は問題を黒板に書き始めた。

 楓としてはちょっと困った状況だ。

 名前を知らないとまずいかも知れない。

 ここで「あ、転校生が来てたのかね。それじゃあ自己紹介でもしよう」となれば良かった訳だが。

 楓は隣に座っている歩に囁き掛けた。


「歩、あの人なんていう名前?」


「あの人って・・。河野先生よ」


 河野は一通り問題を写し終え、次にこれを解く人物の名前を書き記していく。

 それは主に河野の気まぐれで決定されるため、一回の授業で複数回当たる可能性だってある。

 

 歩も当てられたらしい。

 どうやらそこは二人に教えられていなかった所らしく、頭を抱えている。

 頼みの綱の二人はといえば、そんな彼女のうろたえた様子を見て、ニンマリ笑っている。

 そこで歩は楓に話しかけた。


「ねぇ、楓。これ教えてくれない?」


「凛と玲に教わってるんじゃなかったのか?」


 悪戯心で訊ねれば、押し黙る。

 そして、目をパチパチさせると再びこちらを向いた。


「ねぇ、教えて」


 さすがは幼馴染というべきか。

 楓の弱みを突いてくる。

 彼は幼馴染三人に涙目でお願いされればお願いを聞いてしまうのだ。

 それは彼の過去に理由があるのだが、今は割愛する。


「ったく、分かったよ。それはな―――」


「(あれ、楓ってこんなに・・・・・いやそれはないわね)」


 近くで問題の解き方を教えてくれる楓の横顔を見て、歩は思う。

 どうして私は彼のことばかり見てしまうのか。

 その時は懐かしさという言葉で片付けた、その想い。

 彼女が自覚するのはそう遠くないかもしれない。


























どうでしたでしょうか。

至らない部分のご指摘お願いいたします。


大まかな流れとしては宿泊学習なんて入れたいと思ってます。

宿泊学習編に入るまであと少しかかるかもしれませんが。


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