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地球からこんにちは

作者: 雉白書屋

「あ、どうもこんにちはぁ。わたくし、地球という星から来ました――」


 一家に一台。とまではいかなくとも、今や一定の水準に達している家庭なら一台は持っている小型宇宙船。夏休みに他のリゾート惑星へ宇宙旅行するだけでなく、地球内でもスイスイとエアカーよりも高い位置にある専用空路で然程、混雑を感じることなく走行可能。

 と、一般家庭がそうならば企業、それに属する営業マンもまた宇宙船を乗りこなし他の惑星へ営業に行くのは当然のこと。


「地球から来ました。オーラムテック社のマキノという者です。いやー、ポクル星人の皆様にお会いできて、大変光栄でございます!」


 未開の地の開拓というのは営業活動の定石。訪問先の惑星へ事前に小型無人機を飛ばし、彼らの会話つまり言語を収集、分析し翻訳機を介しスムーズな営業活動に入るのだ。


「と、いうわけでこちらのエアカー。皆さまに大変、おすすめでございます! これがあると運搬が楽に! 操作も簡単! 代金の方はこちらの惑星にある、ええ、そうです。今お持ちのそれ。ええ、そちらで大丈夫でございます! もっと集めていただくとしましてそれで、ぜひぜひ族長様には特別仕様のものを――」


 宇宙惑星連盟に属しておらず共通通貨もない星の場合、価値ある物と物々交換。

 しかし、過ぎたテクノロジーは時に争いを生み文明を滅ぼす。今、彼と取引した村も、やがて他の村に目をつけられ、奪いに来るだろう。だが、良心をいちいち痛めていては営業マンは務まらない。搾り取れるだけ搾り取り、危なくなったら退散。また他の星を見つければいいのだ。そういう考え。



「どうもこんにちはー! わたくし、地球から来ました、おや! ラクライク星の王様自らがお出迎えとはわたくし感激で涙涙が……とあらぁ? そのエアカー、ああ、なるほどよそで、ええ、ちょーっと見せていただいてもよろしいですかぁ?

いや、ね、ちょこーっとその会社には悪い噂がありまして……いや、問題なく使えているんですよね?

じゃあ、大丈夫です! でもぉ、念のために、ね? 点検のほうを無料でさせていただきまして、はいはいはい、失礼しまして、と、あらら! えー、これ、おかしいなぁ。あのー。最近ちょっと調子悪いって思ったことありません? まったく?

そうですよねぇ! ありますよねぇ! ほうら、ちょっとエネルギー炉がねぇ、これ、古いですねぇ、いやぁ、ひどい。どうです? え!? 動かなくなった!? それはもう、仕方ないというか当然というか、え? わたくし? いやいやいやいやとんでもない! 御客様の大切なお車に何かするわけないじゃないですかぁ! ううぅひどい……いや、いいんですよ、そんなに謝らなくて。で、このままだとエネルギー炉から人体に良くない物質が漏れ出して大変なことになってしまうんですねぇ。他にもうーん、良くないところが……よし! こうしましょう! このエアカーはうちで下取りして、新しいエアカーをお届けします! あ、もしかしたら他のも替えた方がいいかもしれませんねぇ……あっ、大丈夫、迅速に用意いたしますので! ええ、今後のメンテナンスもうちにお任せください! さ、では契約書はこちらになります。ええ、今後とも我がっと、あ……」


「ちょっと困りますよぉビックバンモーターさぁん。うちがお出しした車に妙な言いがかりつけちゃぁねぇ」


「ああ……これはこれはどうも、いらしたんですか。さすがは最大手のアストロバックスさん、でもね、言いがかりなんて、あっ」


「あ、どうもどうもぉ! 車の事なら、ユニバーステージです。いやぁ、お話が聞こえまして慌てて駆け付けに――」

「はいはいはいはい、お客様の大事なお車の査定ならぜひこのムーンラビットに」

「いやいやうち! ジュピターに!」

「カーヘヴン!」

 

 相手がいないところでは、その評判を貶め、妨害行為も当然。そしてかち合えば私が私がとがっつく姿勢。





 ……と今、映像でご覧になりましたような彼ら地球人の醜い営業競争、否、戦争に巻き込まれないためにも、ぜひ幅広い知識を有し、交渉にも強い我が社のロッパメア星人のアドバイザーをこちらの星にいかがでしょうか……

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