二回目
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体が宙に浮いている。いや水中で彷徨っているというべきか。水素爆発が起こった後石原は朦朧とする意識の中でようやく白の視界から抜け出した。
「うぅ…」まだ自分の意識が巡っていない指先を動かしてみる。思うように動かない。動きが重く、初めて体を動かすことを覚えた赤ん坊のように、しばらくその場で浮遊していた。
記憶が戻ってきた。
ベリアル、ユダ、カイン、錬金術師の三人。皇帝の差金で自分を消しにきた刺客達との対峙中。やむなく水爆を発射したのだった。
狭い洞窟空間は一瞬にしてチリとなって海底に積もった。核を覆っていた岩が崩壊したということは核が丸見えになったということだ。
そもそも何故自分はこんなところにいるんだ?……そうだ。戦争で核に被害が及ばないようにシールドを張ろうとしたのだ。
しかし洞窟の穴が小さすぎて反乱軍の偵察隊の船体が入らなかった。そこで自分がいくことになったのだ。だが招かれざる客達はそれを予期していたかのように、悠然と洞窟の中で身構えていた。
全ての力を過信したような傲慢な態度に苛立ったことを覚えている。だが結局は自分も奴らと同じ土俵に立っていたのだ。
科学の力を過信しすぎていた。
追い詰められたぐらいで容易に水爆のスイッチを押しているようでは人間としても、科学者としても、戦士としてもまた未熟と言わざるを得ないだろう。
思索すればいくらでも他の解決策が浮かんだはずなのにそうしなかった。水中で息を止めていたわけでもない。
パワードスーツにこの体が包まれている以上、身体的な被害が及ぶことは皆無だ。水爆をまともに受けてもびくともしていないことがそれの証明だ。
しかし片や錬金術師の槍攻撃、片や科学者かぶれの錬金術師という矛盾した輩の拳で、装甲が簡単に破られた時は狼狽した。
少なくとも奴らの戦闘的技術は今の石原に勝る。それは揺るぎない事実だろう。
つまりだ。
奴らは今もどこで息を潜めている。石原が放った水爆の威力は二百万メガトン。東西は鋭利な岩が蔓延っていたから威力が届くのは半径六千万キロメートルというところだ。
だが南北は液状化しつつある粗末な岩ばかりだった。
容易に破壊できた。威力は半径九千万キロメートルにも及ぶ。石原がそれを耐え抜いたということは石原のアーマーの装甲を破壊した奴らはこれをものともしていないはず。
どこかでチャンスを窺っているはずだ。石原の首を取るチャンスを。
視力も回復してきた。
淡い光が目を刺激する。完全に見開いた時、石原は再三狼狽した。核がどこにもない。
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