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カイン。

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 皇帝の怒りは頂点に達していた。パレスシップは尋常でないほどの負のエネルギーに包まれていた。


それは未知領域の天候にも影響を及ぼしたらしく雷鳴は一層大きく轟き、赤色の閃光が混じっていた。


皇帝の鎮座する玉座の左右に仁王立ちしている七人の右腕達にもそのオーラは伝わってきているようで萎縮している者もいたように見えた。


丁度真ん中に立っているベリアルはそんな小者ではなかったから皇帝の怒りを理解していた。だが一体何が起こったのか、そこまでは把握しかねていた。


錬金術の宿る両手を何度も組み直しながらアーマーの繋ぎ目をひしめきあわせた。


恐らくはアミネスを呼び出しているはずだ。そして怒りの声と手を上げるだろう。


ジフィター級が近づいている。


直感的にそうわかった。これからどのような修羅場を自分達に見せてくれるのだろうか。冷酷な鉄面皮に貼り付けた笑みはそんなことも期待していた。


 



 アミネスは心臓の鼓動を抑えるのに必死だった。皇帝から連絡を受けた瞬間にそれを理解した。これから自分は罰せられる。ともすれば死が与えられるかもしれない。


何せ連邦政府のコンピューターがハッキングされ、情報が全て漏洩したのだ。しかもその漏洩先は他ならぬ反乱軍のデータベースだった。


誰の仕業かは一目瞭然、石原春だ。


皇帝の根城である未知領域に近づきつつあるインペリアルシャトルシップの中でそう考えた。「パレスシップのハンガーへ入ります。」そういうと操縦士はシャトルを直行させた。


タラップを降りてエレベータの最上階まで一気に登ると真紅の廊下を越えて皇帝の部屋の扉を眼前にした。ごくりと唾を飲んだ。恐らく遺言を言うことになると覚悟しながらパネルを操作した。


重苦しい雰囲気の中七人の右腕たちは相変わらず腕を組んで立っていた。この銅像のような男達を前に動揺の色一つ見せないと言うのは至難の業だ。


相変わらず玉座の後ろ面を向ける皇帝だったがいつものように相手を跪かせて待たせるようなことはせずにすぐに開口した。


「友よ‥‥‥‥」


アミネスは皇帝の気配が変わるのを感じとった。その気配には殺意、やり場のない怒り、激しい慟哭、怨嗟などの負のエネルギーが混濁していた。アミネスは心の中でできるだけ楽な死に方を望んだ。


「余は貴様を責めるつもりはさらさらない‥‥」


アミネスは顔を上げた。


七人の右腕達も予想が外れたように困惑した様子を見せた。


「ただ‥‥」


ゴゴゴゴゴという衝撃音が平坦な床をうねらせた。皇帝は徐に玉座から立つ。巨大な落雷が映る様子が後方の窓に映っていた。アミネスは背筋を小刻みに震わせた。


「愚かなサトリアーニ軍曹には死が降って当然だ‥‥石原を逃した上に刑務所が破壊され、ギャラクシーディサスターも破壊された‥‥‥‥その上コンピューターの情報も奪われ、帝国の社会敵立場は潰えた‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥」アミネスは余りの気迫に声が出なかった。


皇帝は勿体ぶりながら拳を握り、玉座の肘掛けへ振り下ろした。肘掛けは青い色の爆発を起こしてチリと化した。


パレスシップは大きな地震に包まれた。無論アミネスは膝から崩れ落ちた。七人の右腕達は当然のように落ち着き払って立っていた。


「石原春を再び捕まえるのだ‥‥‥いや‥‥再び投降するような状況を仕組まねばならない‥‥‥」


「‥‥‥同感です‥‥‥」


「奴を完膚なきまでに叩き潰すのは不可能だ。屈辱ながら認めざるを得ない‥‥‥ベリアル、ユダ、カイン‥‥」


皇帝は七人の右腕達の中から三人の弟子の名前を読んだ。


すると三角形と逆三角形が頂点で交わったマークが赤で顔のマスクに現れているアーマーローブの男とマークのネックレスをつけた黒ローブに身を包んだのっぺらぼうの男、マークの首輪をつけた鎧の男が前へ歩み出た。


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