石原の本質。
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「アルストロメリア計画。それは大古の昔に実行された身の毛もよ立つような恐ろしい計画だ。
闇の錬金術師達が力を合わせ、帝国の中心に位置するコンテナに負のエネルギーを送る。それから無数の帯に枝分かれして異次元への扉が開く。
その異次元には想像を絶するような強大な力が潜んでいる。それを手に入れんとして古代の闇の錬金術師達は苦労した。そしてそれを阻止しようとして光の錬金術師達も苦労した。」
レオリコはここまで読んでニータルダルストの「都市伝説」を閉じた。
石原の愛読書だったニータルダルストの三冊の著書を例のシャトルから持ってきたのだ。
その一冊が「都市伝説」だ。石原は熱心な宇宙探検家でもあった。自分で言っていたから半分冗談かもしれないが。
レオリコは立ち上がって窓際を歩いた。
今頃石原はどうしているのだろうか。
真っ白の大理石で作られている床を裸足で踏みしめながら考えていた。
刑務所。あの監獄の中にいて、反乱軍の情報や持ちうる技術について拷問されたり尋問されたりしているのだろうか。
そう考えているとこちら側の心まで苦しくなってくるようだった。
自分の愛した男性。今までここまで感情輸入し、心を隣に置いた男性はいない。
いても立ってもいられなくなってきた。口の中が乾いてきて口寂しくなってきた。舌で乾いた唇を舐めまわす。
心臓の動きが早さを増しているような気もした。帝国がこのまま大人しくしている訳がない。
もし、石原から何らかの情報が入れば必ず、アクションが起こるに決まっている。
誰の想像に難くないことだ。潰したい国があれば、その国の代表からできるだけ何をしてでも情報を抜き取り、侵攻を始めるだろう。
喉が渇いてきて台所の方へ自然と足が向いた。
棚からインスタントのコーヒーを取り出した。石原が好きだったライムの炭酸が冷蔵庫の収納に何本か収まっていた。
その隣に自分のマグカップがある。
それを取り出してコーヒーの粉末を入れる。事前に沸かしていたお湯を入れてコーヒーを作った。
コーヒーを作る過程で色々なものを落としてしまった。
落ち着きがなくなって早足になって、がさつな部分が出てきているのが分かった。
コーヒーのマグカップを落とさないように両手で押さえてテーブルへ運ぶ。
テーブルの端に積んでいた本にぶつかった。
それに気づいたのは本が何冊か音を立てて床に落ちた時だった。
テーブルの真ん中にマグカップを置いて、本を拾い上げた。一冊、「陰謀」という本がページが開かれた状態で落ちていた。
ふと錬金術師という単語が目に止まった。
「最近になって撲滅されてきた光の錬金術師が復興しつつあった。その光の錬金術師の育成の修行において一人の生徒が闇落ちした。
その生徒は非常に強い霊力と錬金術の持ち主だった。天賦のもの、そんな言葉でも到底表せない程強力な罪深い力が宿っていた。
闇に足を踏み入れると二度と抜くことができない。その生徒は闇の錬金術師の生き残りに弟子入りした。
その後この銀河の数兆もの生命を脅かし、数億もの生命を奪った。ついには時と平行世界の移動すらも可能になっていた。
しかし、彼は傲慢なことに全ての生命の破壊を試みた。それを危惧した師匠は彼の錬金術を封印した。
その後過去の遺物として彼の命を処理した。
そして永遠の泉に落としたのだった。」レオリコはここまで読んで本を閉じた。
石原の言葉を思い出した。——最近悪夢や幻覚を見る。それはとにかく命を奪う場面だった。
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