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あの日の夜はあまりアルストロメリアが咲かなかった。  作者: 春日野道
To get begin of the peace.
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天才の技術

読んでくれてありがとうございます。

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ペガサスは聞いたこともないというようにレオリコと顔を見合わせた。


そして「地球?」と聞いた。


石原は「そう地球。地の球だ。変な名前だよな。おまけに同じ種族同士で差別や犯罪が蔓延ってるんだ。おまけに文明が発達して何百年も経ってるのに、今だに宇宙人との交信ができてない。」


ペガサスは「なんだ、ひどいな。君はそんな・・・古代文明のスラム惑星の出自なのか?」と言った。


石原は「そうだ。」と言って立ち上がった。


ペガサスは少し、首を傾げて「何故、君はこんな宇宙まで来ていたんだ?観光でもしてたのか?」


石原は少しシリアスな表情を作って窓の外を見つめた。


外には不気味な色のシャトルと倒れた雑木林を片付ける作業員がいそいそしく働いていた。


そして徐に口を開いた。「嫌になったんだよ・・・自分の周りの人間や家族が。」


ペガサスはそれを聞くと少し申し訳ないというような顔をしてからこう言った。


「君はギャラクシーディサスターを破壊したそうだね。」


石原は「何で知ってんだよ。」


ペガサスは冷淡に「あれに一度目をつけられたら破壊するしか逃れる手はないからな。」と言った。


彼らはそれができなかったから、家族や仲間を失ってきた、


そして目の前にいるこの石原と名乗る科学者でもある操縦士。


この男無くして今後、帝国と戦っていけるとは思えない。こんな才能溢れるパイロットを逃すわけにはいかない。


そして思い切って声をかける。「我々と反乱に参加してみるつもりはないか。」


レオリコはあんた正気か?と言わんばかりの痛い視線をペガサスに向ける。帝国に打撃を与え、自分達を救出してくれたとは言え脅迫し、大金を揺すり、基地まで特定してきた。


そんな男と一緒に働きたいとは思わない。ただ能力が高いのは確かだ。それとあのハンサムな顔・・・しかし腐っても無法者だ。高尚な理念に基づいて行動しているとは思えない。


だけど、もしかしたら、この男なら、帝国を倒せるかもしれない。この美しい銀河系に、ニータルダルストが生きた銀河系に平和を取り戻せるかもしれない。


若き反乱軍の女総裁レオリコは少しの期待を膨らませつつあった。


石原は少し考えるような素振りを見せてから一言、「嫌でし」


周囲は興醒めした。


そしてこう続けた。「お前らは馬鹿か?第一に金も払ってもらえてないんだぜ?それなのに追加で働けってのか?お前らはどこの詐欺師だ?」と自分達を軽蔑しきった目で語る石原に心底呆れてしまった。


ペガサスが何か言おうとした次の瞬間、惑星全体が大きな地震に見舞われた。


同じ部屋にいた三人はよろけ、外ではレッドアラートと同志達の混乱の声が鳴り響いていた。


レオリコは再び石原に倒れかかった。


石原はおいおいというような顔をしてレオリコを見た。


レオリコはひどく赤面し、飛び退いた。


さらに次の瞬間であった。


外が真っ暗闇に包まれた。ペガサスが外を見ると、驚くべきことに帝国の一個大隊が攻め寄せてきたではないか。


上空にはヴィクター級と思われる戦艦が四隻、小型有人攻撃機”ジアント”が視認できる範囲だけで百は飛び回っている。


どこから情報が漏れた?石原のせいか?いいやスパイがいたはずだ。色々な考えが錯綜しているうちにお次は爆弾がどんどん落とされて、緑豊かな第二トゥルー基地が炎に包まれていく。


石原達は部屋から出た。


しかし、外に出て避難するには道が炎によって爛れすぎていて通ることができない。そして煙さえも三人の肺を蝕んでいく。


ペガサスが言う。「ゴホッゴホッゴホ・・・・どうするんだ・・出られないぞ。」


レオリコも同じような弱音を吐く。


だが、ただ一人この空間で唯一この状況を打開できると確信している人物がいた。


地球出身の男はポケットからワイヤレスイヤホンのケースを取り出しフタを開け、左耳につけるとイヤホンの側面をポンポンと二回タップした。


するとイヤホンからナノテクのスーツが派生し、たちまち石原をスタイリッシュなパワードスーツで覆ってしまった。


顔の部分では表情の変わりに黒のベースに緑に光る逆三角形と三角形が頂点同士で交わり、左右には半円が内側に現れている。


他の部分はほとんど黒か光った緑で統一されているが、腰には足を覆い隠すローブと肘には漆黒の布が垂れていて頭はフードで包んでいる。


言うならばハロウィンのアイアンマンという外見だ。


レオリコとペガサスが呆気に取られている数秒のうちに返信した石原はコンピューターサポートのようなものに指示を出し膝から酸素マスクを二つ出した。


それを背中のロボットアームで取り出し、レオリコとペガサスの口につけ、アームで二人をぐるぐる巻きにして、レッグエンジンで瞬間移動した。


科学の力で最も簡単に脱出を成し遂げた石原達は扉を突き破り、ついでに銀ヘルメットの兵隊四人を下敷きにした。


レッグエンジンを切ると、ケースにイヤホンをしまい、スーツをオフにすると石原のシャトルへ向かって走り出した。


雑木林の中ほどまで走ってくると銃口を向ける兵士が三人いた。


石原は雑にペガサスを木の裏へ蹴り隠し、レオリコを守りながら銃を抜き、応戦した。


数秒程度で二人を殺した。それを見たもう一人が危機を感じたのか、背中につけている電動スタッフで殴りかかってきた。


石原は後ろから頭を殴られ、倒れた。レオリコは咄嗟に飛び退いた。


石原は痛みに悶えながらも敵の猛追に応戦した。跳ね起きて頭を狙って銃を構える。


が、銀メッキのヘルメットの敵兵は腕を狙った一撃を繰り出した。その電撃は石原の左腕に直撃し、銃が吹っ飛んだ。


石原も負けてはいない。


足で兵士のすねを蹴って、衝撃を与え、体制が崩れたところで懐から電撃ステッキを取り出し脇腹を思い切り殴りつけた。


敵はうめき、千鳥脚になってひるんだ。その勢いで石原は頭と腕と腹に打撃を入れた。


そして葉と土が入り混じる地面に倒れたところでヘルメットをかち割り中の人を感電させ、死に至らしめた。


側で見ていたレオリコはこんな泥試合を見たことがなかったようで過呼吸になったような素振りを見せてから石原の手を取って、連れられてシャトルの元へ急いだ。


途中三人の敵兵に遭ったが、皆石原の早打ちの餌食となった。


 やっとの思いでシャトルへ辿り着くとシールドとロックを解除しタラップを駆け上り、コックピットへ座った。レオリコも隣に座った。


そして石原は「おらっ」と言う掛け声と共に発進させ、一瞬で宇宙空間へ躍り出て帝国の艦隊を避けながら別の星系へ向かおうとした。


するとレオリコは憤慨したように「ちょっと!何故戦わないの?」と怒鳴った。石原は表情一つ変えずに「もう逃げたら良いじゃねえか。あ、あのおっさん置いてきちゃった。」とわざとペガサスを置いてきたくせにうっかりしていた感じを出しつつ言った。


レオリコは石原に負けないくらいの暴論で「私をこんなシャトルの密室へ連れ込んでおいてよくそんなこと言うわね!」と叫んだ。石原は「何言ってんだ。お前」と反抗した。


レオリコは「なら私が操縦士します。」と言って操縦桿を奪おうとした。石原も抵抗したが、四回転ほどしてからヴィクター級の側面のガラス張りの格納庫へ突っ込んだ。


石原は「何やってんだよ!」と文句を言った。そして、敵兵の猛攻撃を受ける愛船を格納庫から退避させて「わかったよ!戦えば良いんだろ!」とレオリコの綺麗な顔の中に収まる宝石のような目を見て怒鳴った。


そして操縦桿を勢いよく右へ捻ってヴィクター級の腹あたりに船体の下部が接触するように突進して酸化手榴弾を大量に落とし込んで、ヴィクター級の船体を溶かした。


すると、穴の空いた船体から人や物が真空空間へ放り出されて大惨事となった。


石原は唖然とするレオリコを横目にコックピットの左部にくっついているコントロールパネルの液晶を操作して、回転型左右翼を高速回転させながらエンジンから大量の太陽ミサイルを発射させ、石原達の乗るシャトルを追うように爆発がひっきりなしに起こった。


石原は不敵な笑みを浮かべながら天井のつまみを捻り、自分の目あたりにコンピューター内蔵の双眼鏡のようなものを装着しタイミングを見計らって大惨事のヴィクター級の管制室辺りに重力ミサイルを一発打ち込んだ。


そしてレオリコに向かって「三、二、一」と言った。レオリコが反応するや否やくぐもった爆発音が辺りを支配した。レオリコは「キャッ!!」と動揺した。


その広大な宇宙空間には二体のヴィクター級が衝突し、”擬似超新星爆発”が発生していた。レオリコは石原に「ここまでする必要があったの?」と逆ギレも良いところの文句を言った。石原は「まあいいじゃねえか。ほらさっさと戻らねぇと、爆発に巻き込まれるぞー」と言って惑星に戻っていた。レオリコは「てことは、同志も巻き込まれるってこと!?」と狼狽した。


石原は「大丈夫大丈夫、反乱軍の船は破壊できないようにプログラムしてるから。」呑気に言った。レオリコは「そんなことできるの?」と聞いた。石原は「俺は天才だから。」とカッコつけた。


レオリコはあっそうと言う顔をしてから疑問をぶつけた。「え?反乱軍の船は破壊できないなら逃げる必要ないじゃないの?」と。石原は「俺反乱軍じゃねえもん」と吐き捨ててトゥルー基地へ帰っていった。


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