始まりの終わり
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石原達は天の川の向こう側のアレスト星系の惑星ノキアに輸送船を停めると外に出た。
特に自然が美しいというわけでもなく、何か目立った地形があるというわけでもなく、ただ普通の惑星だった。
石原が何故この惑星を選んだかは分からなかった。だが今ここにいるということは何か意図があるはずだとレオリコは思った。石原は
徐に歩き出す。「輸送船の中で待っていてくれ。何かないか探してくる。必ず戻るから。」
レオリコは小さく頷いて船内に戻った。まだあの連絡の内容を話すべきか迷っていた。
話してみても良い気がする。だが話したところでどうなるかといわれるとそれはレオリコにも分からなかった。
衝動的な行動を起こすかもしれない。もしかしたらこんなチンケな輸送船で帝国艦隊へ突っ込んだりするかもしれない。そう考えていると心配事は留まる所を知らなかった。
アミネスが変更した報道が行われてから三時間ほど経った時、反乱軍副総裁プレーン・クルートエルスからジフィター級へ通信が入った。アミネスは満足げな表情を浮かべながら自室でコムリンクをONにした。
「アミネス大宰相。皇帝とお話しさせてください。」クルートエルスの声が雑音に混じる。
「それは許可しかねます。皇帝は今元老院との会議中でして。」
「・・・そうですか・・・ならアミネス大宰相。あなたにお話しします。」
アミネスは玉座に深くもたれた。
「和平条約を結んでいただきたい・・・・」
「そんな必要はありません。我々は石原春さえ投降すれば良いと思っている。もし石原が自主するようだったら今後一切の攻撃を取りやめる。それだけのことです。」
「そうではなくて・・・・・石原春の逮捕に協力していただきたいのです。」
「・・・・というと?」
「正直なところ・・・我々の同盟国の意見はこうなんです・・・・すぐに石原春に投降させてほしい。もう帝国の攻撃や侵攻に耐えきれない。もし石原春一人だけ投降して終わることならすぐにでも終わらせてほしい・・・・と。」
アミネスはすぐに状況を理解した。そして唇に弧を描いた。
「・・・条約は成立しました。すぐに兵士を数百人程度送って捜索させましょう。」
「ありがたい限りでございます・・・・」
クルートエルスは通信を切った。
石原はとにかく歩いていた。体力の全てをただ歩くことに浪費していた。何も考えていなかった。何も考えたくなかった。
背筋が丸くなっているのがわかった。ため息も多くなっていた。目頭を押さえる。
海を眺めた。別段綺麗というわけでもないのに今の石原の目には澄んで写った。
帰ろう。どうせ何もない。こんな惑星に降りたのが間違いだった。燃料を補給出来る鉱石が見つかれば幸いだと思ったがそれも望めなそうだ。
レオリコは船内のコックピットチェアーにもたれ、先ほど起きたことについて考えていた。
———やることもなく輸送船内をぶらぶら歩いているとバックルに付けたコムリンクが反応した。
すぐにコムリンクのスイッチを押して「こちらレオリコ総裁です。応答してください。」といった。
「レオリコ総裁・・・副本部長メーリー・マクレーソンですが・・・少々面倒なことになりまして・・・」
「どうしたのですか?」
「それが・・・クルートエルス副総裁が帝国のアミネスと接触して同盟条約を結びました・・・」
「条約!?」
「はい・・・・石原春の逮捕に協力してほしいと・・・」
「・・・・は?・・・」
「私も最初は耳を疑いました・・・けど・・・事実のようです・・・・」
「つまり・・・・今は帝国と反乱軍が協力して石原春を・・・捕まえようとしているということですか?」
「はい・・・・」
「なんてこと・・・・」
「あの・・・総裁・・・こんなの間違ってると思います。私は彼らには加担しません。ですから総裁。石原将軍をできるだけ遠くに逃してはどうでしょうか?」
「私もそう思っています・・・ですが一度本人に聞いてみようと思います。」
「はい・・・総裁。希望はありますよ・・・」
「えぇ・・・・・・」
その会話を外で聞いている者がいた。それは紛れもなく石原春だった。
石原は輸送船の戸に手をかけた。少し迷ってから開けた。
———「ただいま・・・・」
「あ・・・・!おかえり・・・何かあった?」
「いいや。何も・・・なぁ。腹減ったろ。ちょっとグリムボルト星系にいってアイスをゲットしてくる。」
「アイス?」
「大丈夫だから・・・ちょっとそこの影で待っててくれ・・・」
「うん・・・」
石原は輸送船を発進させた。
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