闘争
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シャトルはしばしその場に止まっていた。レオリコと南森の「おい!石原!早く出せ!!!・・おいこれどうやって動かすんだ・・・・」という怒鳴り声が石原に届くことはなかった。
チェアーに力なく倒れ込み、背筋を折り曲げて顎を出し、茶色の目が白くなって虚になって何を言ってもいくら体を揺らしても反応が返ってくることはなかった。
石原の頭に一つの光景がスライドショーのように流れていた。
秋の匂いのする街並み。季節は夏から抜けて冬へ向かう。一年の始まりから中間へ、そして終わりへ。物事には必ず始まりと終わりがある。
そしてその終わりはいつも寂しく、悲しく、悔しいものだ。それは仕方のないというもの。自然の摂理である。
この銀河系、次元の生命に終わりをもたらす権利を持つ者は存在しない。終わりを促すことは誰にも許されていないのだ。生命というのは儚くて脆いものだ。そんな弱々しいものを握りつぶすことは容易い。誰だって実行に移すことはできるのだ。
しかし悪の世界においてそれはどれだけ残酷に成すことができるか。できるだけ多くの生命を奪うことができるかということだ。
自分の両掌を見つめるその男は顔が真っ黒で誰なのか皆目見当がつかない。
男は街を到底言い表しようのない力で地獄へと変える。そして浮かび上がり、その惑星を破壊する。
次に目についた惑星の寿命を操るかの如く手をかざし、巨大な鈍器で貫く。
惑星は破壊される。男の視点に切り替わる。
男はシャワーのように数億の小惑星を浴びて、それらを一つにまとめて後方の惑星にそれを投げる。
惑星は隕石と化したその小惑星の餌食となり、爆発した。
男は狂ったように笑い出す。その笑い声は宇宙に響く。その残響は石原の頭に鋭く響く。拳でこめかみを殴られている時のようにキーンという音が鳴る。
石原はその場に倒れこんだ。
ギャラクシーディサスターはすぐそこに迫っている。浮いているシャトルを撃ち落とすことなど小指を動かすよりも簡単なはずなのにそうしない。
レオリコはそんな点に不信感を抱きながらも石原の体をゆすった。
狭いコックピットで両手を広げて瞳を開いたまま倒れている石原はまるでこちらの置かれている状況や危機感などお構いなしというように呑気な顔をしている。
シャトルが動き出す。南森は肩を殴る。「はやく起きろ!!!なんでいきなり倒れ込むんだ!!」
「トラクタービームよ・・・!!」レオリコは激しく動揺する。
「起きろよ!!!!!」
南森は頭を掻きむしってコックピットに座る。「ちょっと何をしてるの!!??」
「捕まるより・・・こうした方が良いだろうが・・・・」
ぼそっと呟いたと思ったら、がむしゃらに操縦桿を捻った。
しかしトラクタービームの性能には逆らえない。シャトルはギャラクシーディサスターのハンガーへ近づいていく。南森は「ああああーーーー!!!」と狼狽しながら計器をぶったたいた。
すると天井からスコープが降りてくる。南森は困惑しながらそれを目に当てる。そこにはシャトルのエンジンから見たギャラクシーディサスターが移っていた。
南森は勘でわかった。エンジンからミサイルを発射するためのターゲッターだ。南森は静かに照準を合わせた。ハンガーの中だ。
石原を起こそうと奮闘するレオリコを横目に微笑するとミサイルのボタンに手をかけた。
コンピューターは尚照準を合わせている。
もうすぐハンガーに入ってしまう。早くしろ・・・・
照準が点滅する。「ここだ!!!!」親指でボタンに力を込めるとハンガーから爆風が舞う。南森はゆっくりと唇に弧を描いた。
トラクタービームから解放されたシャトルは南森の”闇雲な操縦”によってギャラクシーディサスターから離れていった。
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