天才の逆転
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銀と黒で縁取られた扉の奥にあったのは今まで押収されていた反乱軍の機体だった。
そこには捨てざるを得なかったコクリコ号や、先ほどまで乗っていた石原のシャトルや輸送船や貨物船などとにかく大量の反乱軍機体が格納されていた。
呆気に取られて見つめるレオリコを置いて男は石原のシャトルが格納してある場所まで赴く。レオリコは慌てて後をついていくが男の目的がなんなのか見当もつかない。
男はタラップを登って帝国がつけたロックを削除すると降りてきてレオリコの顔を見た。
「良いか。お前と石原春以外に捕まった反乱軍は全員処刑された。ペガサス、ラクター、ジン、マリッサ、全員だ。もう死体すら残っていないかもしれない。
残されたのはお前と石原春だけだ。理由は大体わかるだろうが一応説明しておく。まず帝国は反乱軍の情報がどんなものであれ欲しくて欲しくて堪らない。だからお前を生かした。
そして石原春に関してだが、あいつは今帝国に指名手配中だ。その賞金は今10000にも膨れ上がっている。理由はわからないが皇帝が石原を捕らえるよう命令しているらしい。
そして俺はお前と石原を逃す。俺は味方だから安心しろ。ただ余計な詮索はするな。しつこく聞かれると俺もつい銃を抜いちまう性格だからな。」
「そんなことより、石原が指名手配?」
「詳しくはわからんが皇帝に目をつけられてる。いつパレスへ輸送されるかわからない。とにかく急がねば」
そう言うと男はシャトルをゴミ捨て場へ移動させた。
レオリコにはその行動の意味が全くわからなかったが味方というのだから黙っておくしかない。まだスパイという可能性も捨てきれないがこんな極秘情報まで教えてきたのだから信用はある。
最も、自分がこの後で処刑されてしまえば何の意味もないものだが・・・・・・
ゴミ捨て場には生ごみや粗大ゴミというようなゴミが捨てられているわけでもなく使えなくなったファイターやジアントの部品、機械や拷問器具などが大量に放置されていた。
男はそこに石原のシャトルを停止させると「帝国は二十分後にここのゴミを宇宙空間に捨てる。それに紛れて逃げるんだ。」とゴミ捨て用のハッチを見た。
二人はエレベーターを登って再びブリッジに戻ってきた。カーペンターの姿は見えなかった。十中八九拷問室に戻って発狂しているところだろうが、それにしてはやけにブリッジが落ち着いているからまだ希望が見えた。
何食わぬ顔で拷問室に続く通路とは違う通路を通り、独房ゾーンへと続くエレベーターに乗り込む。
それから男が口を開くことはなかった。
独房ゾーンに到着すると管理人が二人と兵士が四人ほど独房を護っていた。
先に進もうとすると、管理人の一人が「おい。この先を通れるのは許可があるものだけだ。」と忠告した。
男は少し黙ってから管理人の方を向き、「ジェフリー。俺のいうことが聞けないのか?」と少し脅しを効かしているが叱責のようなにも聞こえる。
ジェフリーと呼ばれた管理人は先ほどの強い態度を失くし、「ああ・・・君だったか・・・・それは悪かったね・・・そうそう。ジェフリーなんて呼ぶの君ぐらいしかいないんだもんね・・・悪い悪い。最近許可なく通るものが多くてね。
参っちゃうよね。本当に・・・さあ、通ってくれ!何時間でも・・・・」と腰抜け丸出しの発言をした。
レオリコは心底呆然としたが通れたことは幸いだった。
男はオレンジの光が黒の直線で遮られて不気味な色差を生み出す廊下を延々と歩く。
独房のタグが緑から赤に変わったところでピタリと足を止めた。レオリコは思わずつまづきかけてしまった。男はくるりと独房の方へと回転して、自分のIDを独房にかざした。すると扉が煙と音を立てて上に開いた。
中には一見誰もいないように見えたが注視すると奥の方で寝そべっている男性が確認できた。男性はゆっくりと寝返りを打ち立ち上がった。
男は「囚人番号1234%”釈放だ。」とどすの利いた声で話しかけた。すると男性は明かりがあるところに顔を出した。
その男性の正体は紛れもなく石原春だった。レオリコは理由もなく感動した。
そして石原は男に近づき、見下ろした。「もういいぞ。南森。」
男はヘルメットを外した。そこにはマッシュの色黒の男が満面の笑みで立っていた。すると石原も笑みを浮かべて「よーーお!やてくれたなー流石はブラザーだ!!」
マッシュの男は「お前だってこんなところで何を四天王!!」と言って抱き合った。
レオリコの頭には?が渦巻いていたが「この人誰なの?石原!」と質問した。石原は「こいつは俺の親友!同じく地球出身の情報屋だ。」と言って南森の肩を叩いた。「僕は南森匠。どうぞよろしく。」
レオリコは「はぁ・・・」となんとか声を出して見せたがまだ頭の整理が追いついていなかった。
南森は石原の耳元で「おい、また新しい女か?一緒に地球を出た時にいた古湖はどうしたんだ?」
「ちょっとごたごたがあったんだよ。お前だって逮捕されちまったし・・・・」
「まあそうだけどよ・・・ていうか早く逃げねぇと。いつまでもこうしているわけにはいかないだろ?」
「そうだな。」
南森はもう一度ヘルメットを被り、石原に手錠をかけて外に出た。しかし石原は出口に向かおうとしない。「まだだ。右に行け。」
「おい、もう時間がないぞ。後十分だ。」
「大丈夫、絶対間に合う。」
三人はさらに奥の独房を進み、行き止まりのすぐ前で止まった。
石原は人差し指でくいくいと手招きして、「ここだ開けろ。」
「中に誰がいるんだ?」
「予想もできない人だ。とにかく開けろ。」石原は催促するように顎で独房を指した。
南森はIDをかざし、独房の扉を開けた。南森は中の人物に驚愕した。
「おい・・・・翔じゃねぇか・・・」
「そうだ。こいつも連れていくぞ。寝ているけど大丈夫だ。」
レオリコは最早理解しようとすらしなかった後でしっかりと石原に問い詰めるつもりだった。
南森は翔に手錠をはめて担ぎ、出口に近づいた。
南森は管理人を睨み、エレベーターを開けさせた。エレベーターの中で石原の手錠を外して道具を全て渡した。
四人はエレベーターでゴミ捨て場へ向かった。レベーターが開くとカーペンターが待ち構えていた。三人は狼狽した。レオリコはすぐにブラスターで撃ち殺そうとした。だが石原は「落ち着け」と静止した。
「くだらないことをするな。今なら終身刑に留めておいてやる。戻れ。」カーペンターは脅迫した。
しかし石原は「それよりさ。上に気をつけなよ。」と脅しを返すかのようなことを言った。
カーペンターは堪忍袋の尾が切れたかのように「いい加減にしろ!!」と叫び、銃を抜いた。
次の瞬間、カーペンターを上から落ちてきた赤のシールドが覆った。「うわ!!なんだこれ!動けないぞ・・・おい止まれ!!処刑するぞ・・・!!」
石原は銃を撃った。しかしカーペンターはシールドに覆われているため用をなさなかった。石原は首を傾げて、ゴミ捨て場へ急いだ。
三人はシャトルのタラップを駆け上がり、石原の操縦で浮遊した。石原はカーペンターを殺そうと思い立って魚雷を打ち込もうとしたが、レバーに手をかけたところでハッチが空いたから諦めて宇宙空間に出た
ゴミに紛れて超高速で逃げようとしたがジアントがすぐに追ってきた。
石原は「くそ!」と声を上げて魚雷を何発かエンジンから出し、適当に撃沈した。
こうしてまんまと逃げおおせた。
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