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番外編 美乳と微乳の間には(R15) 1/2

R15部分です。

ここを読まなくても問題ないよう本編は進めます。

なお、番外編については、主人公以外を多く出演させるため、三人称で書かせていただきます。

     1


 ネクが追放される一年前。

 フィリス・ウェインが戦争に行くことになってから、数日が経過した頃。

 彼女は、父であるセオドア・ウェインと共に、アンダーウッド家を訪ねていた。

 表向きは、フィリスが戦争に行くことになったため、その挨拶をしに来たことになっている。


 今行われている戦争では、アンダーウッド家は目覚ましい活躍を見せていた。

 今でこそ領地にとどまっているが、戦場において、死霊術の使い手――そして、死してなお戦う戦士たちは重宝された。

 ゆえに、偉大な先人に対して挨拶に来たのだ。

 表向きは、そういうことになっている。


 その真の目的については、フィリス自身も知らなかった。

 ただ、言われるがまま、挨拶に来ただけだった。

 そのため、着ている服もドレスなどではなく、軍服だった。

 厚手のものであり、今後これを着て戦地に行くことになる。

 だが、そんな服を着ていてもなお、彼女の美貌は失われることはなかった。

 むしろ、武骨な服であるからこそ、そこから出ている顔の美しさが際立っている。


 そんな彼女の姿を、イヴは同じ貴賓室で見ていた。

 見つめていた。

 熱い視線を送っていた。

 そして、一通りの挨拶が終わってから、イヴはフィリスに声をかけた。


「フィリス・ウェイン様。お久しぶりです」

「イヴちゃん?」

「はい。イヴ・アンダーウッドです。この度は、態々こんな辺境までいらしていただき、ありがとうございます」

「いえ、そんなことはないわ。デレク・アンダーウッドさんは、戦争の英雄よ。会ってもらえただけでも、光栄だわ」

「それは何よりです。ところで、今日は泊っていかれるのだとか」

「ええ、その予定だけど――」


 フィリスは表情を曇らせる。

 この家には、ネクがいるはずなのだ。

 これまで、フィリスはネクに対して色々と酷いことをしてきた。

 会って気まずい思いをしたくはない。


「あの、ネクはどうしている?」

「お兄様でしたら、えっと、()()()()()()()()()()()()()()

「特訓……」

「フィリスお姉さまはお気になさらず。それよりも、一緒にお風呂に入りませんか? 旅の途中、汗もかかれたでしょう」

「それはありがたいけど……」


 フィリスは父親であるセオドアを見る。

 表向きは仲良くしているが、ウェイン家はアンダーウッド家をよく思っていない。

 裏では、常にアンダーウッド家を陥れようと画策していた。

 だから、仲良くすることは許されないのではないか。

 そう思っていたのだが――。


「折角のご厚意だ。行ってきなさい」


 意外なことに、セオドアは首肯しながらそう言った。

 その反応に驚きつつも、フィリスはイヴについて行った。


     2


 浴室に到着したフィリスは、自分の目を疑った。

 彼女にとっての浴室とは、白く明るい外壁に包まれた空間だった。

 この世界で唯一気を休めることが出来る場所。


 だが、連れてこられた場所は、それとは正反対のものだった。

 ()()()()()で、そこに()()()()()()()()()()()()()()()()()

 採光と換気のための窓はついているが、何故か塞がれてしまっている。


「ここは……」

「私専用の浴槽です。()()()調()()()()()()()も入っています」

「そ、そうなんだ。あの、暗くない?」

「それならご心配なく。ランプに火をつけますので。浴槽に身を浮かべながら、暗い部屋の中でランプを見る。結構、癒されますよ」

「へー」

「物は試しです。ぜひ入ってみてください」


 促されて、フィリスは浴槽の側に行く。

 その中には、緑色の液体が入っていた。

 これが、イヴが調合した入浴剤なのだろうか。

 触れてみると、少しヌルヌルしていた。


 ――これ、入りたくないなぁ。


 そう考えながらイヴのほうに目をやる。

 イヴは、蝋燭に火をともしていた。

 それも一つではない。

 いくつもの蝋燭に、次々と火をつけていく。


「あの、その蝋燭は……」

「リラックスするためのアロマキャンドルです」

「へ、へぇ。そうなんだ。何かの儀式で使うのかと思ったわ」

「ご安心ください。このアロマは、リラックス用ですから」


 イヴは愛想のよい笑顔を浮かべた。

 フィリスには、その笑顔が不気味なものに思えてしまった。

 それを誤魔化すかのように、フィリスは言葉を続ける。


「それにしても、いつも、豪華なお風呂に入っているんだね」

「いえ、いつもはもっと適当ですよ。今日は、フィリスお姉さまがいらっしゃるということで、特別に用意してみました。お湯加減はいかがでしたか?」

「……丁度いいわ」

「それはよかったです」


 そういうと、イヴはマッチを机の上に置く。

 部屋にあるすべての蝋燭に火がついていた。


「さて、これで準備は整いました。お風呂に入ってしまいましょうか。脱いだ服はこちらの籠に入れておいてください。使用人が洗濯した後、明日の朝までに綺麗にしておきます」

「え、ええ。そうね」


 フィリスは、服を脱ぐためにシャツに手をやる。

 だが、その手は中々動こうとはしなかった。


 何かが違うのだ。

 目の前にいるのは、十二歳の子供。そして同性である。

 その目の前で裸になることは、さほど恥ずかしいことではない。

 以前、女性軍人用施設で訓練を受けたときは、もっと大勢の前で服を脱いだ。

 あの時は、特になんとも思わなかった。


 だが、今は違う。

 服を脱ぎたくないと思わせるような何かをイヴから感じる。

 それはきっと羞恥心ではない。

 強いていうのであれば――()()だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな気がして仕方がないのだ。

 でも――。


「おや、フィリスさん。どうされました?」


 イヴは先に服を脱いでしまっていた。

 子供らしい、ごくありふれた動作で服を脱ぎ去っていた。

 その裸体は、年相応――あるいは、それよりも幼いもののように見えた。


 だが、それ以上に、その美しさに目を奪われた。

 魔法使いでありながら、傷一つない綺麗な肌をしている。

 顔のパーツのつくりや配置は、まさに神が与えた芸術品。

 まるで一流の職人が作り上げた人形のよう。

 否――人形をも超越した、神秘的な不気味さを醸し出している。


 それでいて、奇妙な色気も出ている。

 少しだけ膨らんだ胸や小さな尻。

 薄暗い中、ランプと蝋燭によって、その身体が照らされている。

 フィリスには、それらが、何故か自分の身体以上に色めいたものに見えた。


「フィリスさん? フィリスさん? どうされました?」

「え、ああ、何でもないわ」


 まさか、イヴの裸に見とれていたとは言えなかった。

 適当にごまかしながら、フィリスはどうするべきか考える。


 イヴはすでに服を脱いでいる。

 こうなってしまえば、フィリスだけ服を着たままでいることは出来ない。

 仮病を使うというのも考えたが、それは不誠実で躊躇われた。

 それでも躊躇っていると――。


「ああ、そうだ。着替えのことでしたら、ご心配なく。私の服はサイズが合わないでしょうから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「今、脱ぐわ」


 とある事情から、フィリスはあっさりと陥落した。



【読んでいただいた方へ】

 ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

 この物語を読んでいただき「面白い」「笑える」

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