Artificial world
-T字路-
転校生「転校初日から遅刻とかーっ！？」
男 「おわっ！？」
転校生「きゃっ！ いったーい！ もう、なんなの！？」
男 「痛つつ……おいあんた」
転校生「ちょっと！ 今パンツ見たでしょ！？」
男 「はぁ？ 見てねぇよ！」
転校生「ああっ、食パンが……って、時間やばっ！」
男 「あ、おい待てよ！ ……なんなんだ、あいつ」
-教室-
友 「よう、いつもギリギリだな」
男 「先生は……まだか。助かった」
友 「なんでも今日、転校生がくるらしいぜ」
男 「転校生？」
先生 「全員席着けー。今日は転校生の紹介だ。喜べ男子、美少女だぞ」
転校生「はじめまして、転校生です。今日からこの学校に……って、あー！ 朝のパンツ覗き魔！」
男 「覗いてねぇよ食パン女！」
先生 「二人は知り合いか？」
男＆転校生「「違います！」」
先生 「息ぴったりじゃないか。なら、席は男の隣だな。男、転校生さんに色々教えてやれ」
男 「まじかよ……」
転校生「朝のこと、謝るなら許してあげてもいいわよ」
男 「ぶつかってきたのはお前だろうが」
転校生「むぅぅ……いいわ。一応、よろしく」
男 「はいはい」
転校生「なによその態度は！ あとで、学校の案内とかしてよね」
男 「……わかったよ」
-昼休み-
転校生「へぇ、結構大きな学校なのね」
男 「そうだな」
転校生「それにしては、生徒の数は少ないような気がするのだけれど」
男 「……ああ」
転校生「それで、次はどこを案内してくれるの？」
男 「……ついてこい」
-屋上-
転校生「ねえ、ここ、立ち入り禁止って書いてあったけど」
男 「ああ。ここなら誰も来ない。お前と、二人で話がしたかったんだ」
転校生「それって……」
男 「お前は…………人間、だよな」
転校生「え？」
男 「お前は、機械じゃない。そうなんだろ？」
転校生「なんで……”彼ら”は、そんなこと言うはずない……あんたは、何者なの？」
男 「俺は、今ではこの学校で唯一の、人間だ」
転校生「嘘……もう、私だけだと思ってたのに……」
男 「俺も驚いたよ。まだ生き残ってるなんて、思いもしなかった」
転校生「でも、どうして分かったの？ ”彼ら”と”私達”の違いなんて、普通分からないのに……」
男 「お前朝、食パン咥えてただろ。食物を経口摂取できるのは、俺達人間だけだからな」
転校生「他に、だれか知っている人はいないの？」
男 「三年前から……ずっと俺一人だったよ」
転校生「そう……これから、よろしくね」
男 「ああ。もしかすると、これが最後の出会いになるかもしれないからな」
転校生「でも、あなたに会えてよかった。私は生まれた時から、ずっと一人だったから。お友達に、なってくれる？」
男 「……もう行くぞ」
転校生「あ、まってよー！」
Artificial world
END
