目覚めると
早速ブックマーク付けていただいてありがとうございます!(歓喜)大分空いてしまいましたがよろしくお願いします!
ふわふわと漂いながらも頭を縛られたかのような感覚を覚える。
次第に漂っているかの様な感覚が薄らいでゆきぼんやりと意識が浮上する。
「…んぁ…」
「っ!!…エリアーナっ!目が覚めたのね…!具合はどう?喉は渇いてないっ?お腹空いてないかしらっ!?」
目覚めたら美人で若い今世の母の顔が目の前にあった。安堵の表情のなかに疲労や憔悴の色が見える。とても心配させてしまったようである。
「おかあさん…」
「2日間も目覚めないからどうなってしまうのかと…!」
震える涙声で縋り付くように抱きしめられた。超心配かけてるぅ…!!
考えてみれば今世の父は私が物心つく前には亡くなっているし、ロイシュテル伯爵と母は姉弟で2人の母も…祖母だね!たしか祖母も母が幼い頃に亡くなっているとヒロ悪でロイシュテル伯爵が語っていた記憶がある。つまりは、母親と夫と身近な最愛の人を2人も亡くしていて、更には夫の忘形見でもある娘もそうなってしまうと考えれば、この反応になってしまっても仕方ないね…!
「ご、ごめんなさい。心配かけてごめんなさい。もう、大丈夫だよっ」
横になったままの私を抱きしめている母の頭と背中に腕を回し、宥めるようにゆっくりとさすった。
母をさすっている間、周囲へと視線を走らせる。寝室へと運び込まれ寝かされていたようであったが、この体になってから使用していた布団の感覚と違うことに気が付いた。まず1つ目、床に直接敷いているために少し硬く感じる敷布団がいつもより柔らかい。なんなら前世で寝ていたベッドよりも寝心地が良い。2つ目、いつもの床に直敷の布団で寝転がっている時よりも天井が近い。そして3つ目、頭上に今までなかった見事な彫刻が施されている木の板がチラ見えしている。
何故こんな豪華な木の板が…と思っていると、母が落ち着いてきたようで、頭と頬を優しく撫でて「お水をもって来るわね」と目元を赤くし、鼻を啜りながら微笑んで寝室を出て行った。美人は泣いても美人である。我が母ながら可愛いと思いました。
さて、母が部屋を後にしたところで寝転がったままもう一度寝室を見渡し、やはり頭上のこの一点へと視線は固定される。
今世の生活は酷く貧しくはないが裕福というわけでもない。ご飯も質素ながら三食食べることができている。しかしこんな高そうな彫刻の施された板を買う余裕などあるわけが無い。まさかと思い身体を起こそうとすると、なんだか全身が重く動かし辛い。そういえば2日間寝たままだったと言われたのを思い出した。ゆっくりと肘をつきながら上半身を起こすと、私の寝ている場所が床よりも大分高い位置にあった。
寝室自体は変わらない。目測4畳あるかないかの寝室に母娘共同で使用しているこじんまりとしたクローゼット(タンスみたいになっていて、上3段が母、下2段が私で使用している)、ダイニングから持ってきたらしき使い込まれた背もたれのないシンプルな椅子、そして見事な意匠が施されたヘッドボードが付随しているどでかいベッドーー。
そう、シングルサイズのベッドよりも明らかに大きいサイズのベッドが部屋の8割を占拠していた。