雷
高校一年生のときの話
自転車小屋にビリビリとカミナリみたいな黄色とピンクのような色をしたイカズチが落ちた
長い前髪の隙間から
風で前髪が分かれる瞬間
真っ白で真っ黒で掴んで離さない
とにかくきれいなそれがみえた
ぶっきらぼうにチョコを掴み取ると
目も合わさずに去っていった
実は数日前からどうしても手作りのチョコが欲しいとお願いされていた
当時流行っていたSNSのショートメッセージのようなものだ何度かやりとりを重ねていた
あの人の送ってくる文章は
それはそれは退屈で
一行にも満たないなんて事の無い問い掛けや
少し失礼なからかいの文章がほとんどで
返さないことも多かった
返信をしなくてもマメに毎日メッセージがきて
今回のバレンタインのことも
義理でもいいからどうしても手作りチョコが
欲しいとお願いされて作ったものだった
それなのに約束の放課後に待ち合わせの自転車小屋の前で手作りの義理チョコを持って立っていた私に
まるで迷惑だと言わんばかりの態度でチョコを掻っ攫ってそのままの勢いでチャリを漕ぎ颯爽と立ち去ったあの人に驚きを隠せなかった
私のあの人の第一印象はあまりにインパクトが強くておかしくて変な人で
家に帰って届いた
おいしかったありがとう嬉しい!
のメッセージに
意味がわからないし変な人な上に
掴みどころがなくて
それから少し可愛いという印象を持った