12, 夕刻 設楽家
設楽家に入ると すでにいい香りが漂っていた。ゆっくり食事ができるのが 久しぶりな気がする。とくに 家庭料理なんて いつから食べていないだろう。
隣の須田が ニヤついた顔を両手で抑えている。 優しくていい母親で料理上手な ゆりえは やっぱり須田のストライクゾーン ドンピシャだ。
「もうちょっとで ご飯できるからちょっと待ってて。」
須田は 息子に向かって声を掛ける。
「よーし 大斗! 一緒にゲームでもするか!」 妙に子供受けがいいのは 半年前の事件で 周辺の子供たち中心に聞き込みをして回ったおかげだろう。
私は設楽 いや 友人として ゆりえに向かった。
「なんかごめんね。須田が厚かましいお願いしたのに、私まで来ちゃって。 」
「いいのよ。大斗と2人で食事も味気ないしね。そうだ、疲れてるでしょ、お風呂沸いてるけど入る?」
「いやいや そんな事までは。」
「じゃー 須田さん お風呂入りません?疲れてるでしょ。」
「えっ、いいんですか。あーそうだ。大斗!一緒に風呂はいるか。男同士の付き合い方を教えてやる!!」
もう これ以上 この家庭に迷惑をかけるな、須田!
困った顔する大斗くん。そこに 設楽が助け舟を出した。
「もう、ごめんなさいね。大斗は お風呂嫌いで すぐ上がろうとするから私と一緒に入ってできちんと温まらせないと。寒いんだから風邪ひかないようにね。ご飯の後で ママと一緒に入ろうね。」
慌てて一気にまくし立てたゆりえに 普段から子育てと格闘する 母親の大変さを感じた。




