肉球って香ばしい臭いするよね
あれ……?思ったより長くなりそう
「あ、アン=ブレッド男爵令嬢よ。なぜそのような世迷言を?」
「な、何故わたくしと王子が婚約破棄しなければならないのですか?」
罪深きむっっちりぼでぃ争奪戦からの話の突然の方向転換。
俺様王子も公爵令嬢も困惑の色を隠すことが出来なかった。
……まぁ、ある意味婚約者である二人の間にすでに亀裂は走っているが。
「世迷言ではありません!ロゼッタ様は私をいじめているんです!
そんな人が将来の王妃になる資格なんてないからです!」
あんぱん令嬢は無礼にも格上の公爵令嬢に向けて、ビシッと人差し指を突きつけながら彼女を批判したのだった。
「なっ……!?」
たかが男爵令嬢ごときが、公爵令嬢の資質に物申すとは…余りの無礼さに公爵令嬢は、ショックで何も言い返すことが出来ずに固まってしまった。
こらこら人を指さすもんじゃありません。
「……ほぅ、いじめとは聞き捨てならないな」
「学園長!ほんとなんです!」
「ぼくの学園にそんな品位を落とす輩がいるとは思えないが」
教育者として、いじめは見過ごすことはできません。いじめ、ダメ、絶対。
でも学園長、貴方真面目な顔して膝の上にいるコロネのほっぺたを限界まで、もにーんと伸ばしながら話すのはちょっと……。不真面目ですよ?
『きゃうーん(やめてー)』
まるでほっぺたが餅のようだ。
「信じてください!私、ロゼッタ様に大事な母の形見のネックレスを盗られて、さらに卒業パーティーに着る予定だったドレスもぐちゃぐちゃにされて、挙げ句の果てに階段から突き落とされたんです!」
「そんな……!わたくしではありませんわ」
「……わかった。ならば学園に配置してある監視カメラ(魔法動力製)を確認してみようではないか」
本当にいじめが行われているのか、それは実際の映像を確認するのが一番である。
学園長は右手でコロネの肉球をもちもち触りながら、左手を会場の壁へと振りかざした。
『わひょわひょ(くすぐったーい)』
するとなんということでしょう。
天井からするするとスクリーンが降りてきて、そこに学園内の至る箇所に設置されている監視カメラの映像が映し出されたではありませんか。
まるで料理番組でレンジの中に出来上がった料理が入っていたかのように、会場は一瞬にしてモニタールームに早変わり。