4日目-5
帰宅して、ゆっくりお風呂に浸かった。
何だかんだ言って、私はこの場所が好きだった。
ここに来てから、私はよく眠る。睡眠時間が長いという意味では無く、熟睡している。
湯船に浸かりながら、ウトウトと夢を見た。濃紺の海の中を、沢山の人が揺れる。怒った顔、笑った顔、マスター、おばちゃん、健太郎、知った顔、知らな無い顔も。あの人とこの人はそっくり。何やらそこの人は隣の人の物真似ばかりしている。病院の、子供達。婦長さん、看護師さん、先頭には茂希さん。笑った顔、怒った顔。知った顔、知らない顔。荒宗も。それらは皆一つの円となってゆらゆら揺れていた。濃紺の海の中、あの辺は緑味を帯び、こちら側は赤く染まる。そんな風にして、皆が一つの円で揺れる。
静かに細い糸を手繰りながら目が覚めた。そろそろ上がろう。
何か飲み物が欲しくてキッチンに降りた。コーヒーが残っていたので、眠れなくなるかなと思いつつカップに注ぐ。
夜の静寂に虫の音。テーブルの上に病院のパンフレットが、ポンと置かれていた。院内にもある普通のやつだ。読んでも構わないかと、パラパラ捲りながら部屋に上がった。




