4日目-3
おばちゃんの話しは、以下の様なものだった。
「私は後妻だよ。」
私はてっきり茂希さんがこの病院を開業した人だと思っていたが、この病院は茂希さんのお父様の建てたものらしい。鉢巻締めて、茂希さんはそれを継いだ。茂希さんのお母様は、控え目で上品な方だったらしい。
「私も若い頃はそうだった。」と、おばちゃん。
夫人はご病気で倒られ、後お父様が再婚なされたのが、おばちゃんらしい。だからマスターと茂希さんは10も年の差がある。
そしてこのおばちゃんは、この病院の元院長夫人。つまり婦長さんが言っていた「奥様」とは、奥様の事だったのだ。驚いた。
「何でこんな過酷な仕事してるの?」真面目に聞いた。
あははとおばちゃん。
「お父さんが亡くなってから、辛くてね。体動かしてる方が楽なんだよ。まだまだ、これからだからね。駄目になってなんかられない。聡子の子供見ないと。茂が心配して何回も手伝いを雇うんだけどね。」
「辞めちゃうのね。」切に思った。
「違うよ。別の棟なんかで働いてるよ。」ああ、はは。そうか。
「始めはここに来るんだけどね。」はは、やっぱり。
「ここは私が一人でもやれる範囲なんだよ。茂が考えた挙句そうしてくれてね。好きにやらせてもらってるよ。」
そうなんだ。
「この病院は良い方なんだよ。」
?
「精神科っていうのは、難しいんだよ。さっき閉鎖されているって、言ってたね。」
「・・・はい。」
「他の精神科と比べると締め付けは軽い方なんだよ。でも治療方針の方も茂は薬を嫌うからね。」
「ええ。」
「締め付けも軽くしたい。薬も重ねたくないで、はは。周りもよく付いて来てるよ。」
その中には、勿論婦長さんも含まれている。
「ここは良い病院だよ。」
頷く、私。
「あの子はね、ある意味患者さん次第だって言うね。最終的に治すのは、医者じゃないって。」
頷く。
「あの子はいつも全力よ。」
うん。うん。
「聡子も医者を目指したけどね、向かないのかね。頭は良かったんだけど、突然止めちゃってね。びっくりするくらい、突然。」
うん。
「理由は、本人にしか分からないさ。」
うん。・・・そうだね。




