クローンを作った責任
クローンを作った。
自分とそっくりな存在。
だけども、それは自分とは似て非なる存在。
心の中に部屋を作った。
そこに自分に似た存在を閉じ込めた。
狭くて、簡単には出ることができない世界。
固く閉ざされ、暗くて暗くて。
自分に似た存在は、時々悲鳴を上げる。
でも、聞こえないふりをする。
『俺じゃない』『関係ない』
言い聞かせるようにして、耳を塞ぐ。
その世界が全ての彼は、涙して訴える。
『助けてくれ』『俺には君しかいない』
だけども、変わらず聞こえないふりをする。
『あいつは俺じゃない』『無視しよう』
自分を守るため、俺は犠牲者を出す。
クローンを作った。
自分に似た存在を作った。
自分の身勝手で。エゴ以外の何物でもない。
そいつは別に生まれたかったわけじゃない。
だけど、俺自身もこの世界に生まれたかったわけじゃない。
クローンを作った責任。 そんなもの必要だろうか?
もし、必要だとしたら、誰が責任を取ればいいのだろうか?
クローンを作った俺。クローンである俺。
鏡に映った俺は、本当の俺であるのだろうか?
何が嘘で、何が本当か。
誰が俺で、何処までが俺なのか。
認識して責任を取るのは大変そうだ。