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オリジナル

『貴様が新井をやったのか?』

多摩たま陽太ひなたは怒りを込めた声でそう言った。

「やったなら何だ?コイツが勝手に貴様、多摩陽太に遭遇させないために戦ったのだ、いや挑んできたのだ。」

『そうか…。』

多摩はそう言うと。

『倒させてもらう。』

一瞬で俺の目の前に来て裏拳を入れてこようとした。

「それは無理だな。」

裏拳を入れようとした多摩の体が俺から見て前の方向に押される。

『!?』

多摩はいきなりちょっとだけ飛ばされた影響で耐性を崩していた。

「貴様じゃ俺には勝てんよ。」

俺は新井あらい秀人ひでとの時と同じように殴る様なそぶりをする。

『がッ。』

多摩の腹部に一発殴る程度の打撃攻撃を与えた。

『な、何だその攻撃は…。』

床に膝を付いている多摩が訊いてくる。

「それは、秘密事項だ。」

『なら、無理やり押すしかないようだな…。』

多摩は次々と俺に殴りかかって、蹴りかかってきた、が全て先ほどと同じように一撃も攻撃を受けず撃退した。

『ぐ…。』

「あぁ、そうだ言うのを忘れていたが俺は貴様に付いてきてほしいだけだ。」

俺は当初の要件を思い出し言う。

『付いていく…?』

「そうだ、とある研究所にな。」

『それは『逝見ゆくみ研究所』か?』

そう、俺が付いてきてほしかったとある研究所は多摩陽太の能力を開発した『逝見研究所』だ。

「察しがいいな、で?どうするんだ?付いてくるのか?付いてくるならそこの新井秀人を助けてやらなくもない。」

『…。』

多摩陽太は一瞬黙り込んで考えた。

『わかった、連れて行け。ただし新井をしっかりと助けろ。』

「わかっている。」

俺は了承した。

「ところでなんだが――オリジナルいや永木ながき夏海なつみ、貴様にも来てほしい。」

「わ、私?」

永木は戸惑って聞き返した。

「そうだ、貴様も今回の件には関わっているのでな。」































逝見研究所―――

心哉しんやさん、連れてきました。」

男がそう言うと机に向かって何かを書いていた男が椅子を足で回転させ振り返る。

「おお、ご苦労だったな夜賀よるが。そして――久しぶりだね、多摩陽太君。」

『はい、お久しぶりです。』

心哉と呼ばれた白衣を着た男はニコニコとした顔をしながら陽太さんと接していた。

「ところでどうだい?陽太君、調子は。」

『はい、扱える程度までには。』

「そうかい、そうだそうだ、今日研究所に来てもらったのはちょっと息子の相手をしてもらおうと思ってね。あ、夏海ちゃん…だよね?は他に用事あるから少し待っててくれよ。」

「はい…。」

何故この男は私の名前を知っているんだ、一回も会ったことないのに。」

「心哉さん、その息子さんはどこに…?」

「あぁ心負しんまならあの実験室の中で実験中だ、ちょっと忙しいから…夜賀、連れて行ってくれ。」

「はい、わかりました。」

陽太さんは夜賀というさっききまで学校で新井さんと戦っていた男に実験室に連れて行かれた。

「で――夏海ちゃん。」

男は少し間を置いて私の名前を呼んだ。

「君はたぶん『何で私までこんな研究所なんかに』って思ってるよね?」

図星だ、何でこんな研究所に来なければならなかったのかと自分でも思っていた。

「それはね、君が全ての能力の元を持ってるからだよ。」

混乱した、全ての能力の元なんて自分が持ってるはずもないのに。

「驚いたかな?でもね、陽太君の『速度を操る』っていう能力も君から来てるんだよ、正確には君の髪の毛から作ったクローンだけどね。どうやら君は体の細胞一つ一つに能力を持ってるらしい、どうだい?自分に愕然としたかい?」

「細胞の一つ一つに…。」

「そう、そして私はね、能力者を生み出す研究をしている。」

「能力者を生み出す…?」

「この世界には生まれついて能力を持つ人間がいる、それは知っているね?私はね、そいつ等を見返してやりたいんだよ。無能なヤツが能力を持って能力者を覆す。素晴らしいじゃないか。」

「は、はぁ…。」

「そこでだよ、君のクローンから能力を作り出していては能力の品質がどうにも落ちてしまう。それならオリジナルから能力を作り出せばいいと思ったんだよ。」

「それって…。」

息を何故か飲んでしまった。

「そう、君をぐちゃぐちゃにするのさ。」

明るい口調で男はそう言った。

「ぐちゃぐちゃ…。」

怯えた声で私は言ってしまう。

「そうだよぐちゃぐちゃにするんだよ、加速の能力を持つ陽太君は心負しんまと遊んでる、夜賀と精一杯戦った新井君は所員たちにより別室で治療中、これなら逃げ場もどこにも無い。」

私は陽太さんたちが出て行った扉を急いで開こうとした、だが扉は固く閉ざされ開かなかった。

「あぁ、逃げようたって無駄だよ、夜賀に鍵をかけてもらうように頼んでおいたからねぇ。ほらその身体の細胞をおくれよ。」






















別室 実験室――

「こっちだ。」

『ふむ、見たところ本当に研究室みたいだな、本当にこんなところで子供が遊んで――

その時部屋に銃声が鳴った。

『何だ!?』

「あぁ、気にするな心負が受けている実験だ。」

夜賀はガラス越しに見える、頭から血を垂れ流した幼い見た感じ小学校二年生ぐらいだろうか、を指さしていた。

『なッ…。』

「まぁ、驚くな、これが実験なのだ。」

落ち着いた口調で夜賀は言った。

『これの…。』

「ん?」

『これのどこが実け――

私はどこが実験なのか聞こうとしたが、その言葉を言おうとした瞬間に周りにいた、研究所の所員から歓声があがった。

「おお!耐えたぞ!」 「これで107回目だぞ!」 「すごいな…。」

所員等はそんな歓声をあげていた。

『おかしい…。』

「おかしい?これは心負のための実験なのだ、まぁ後一人のための実験でもあるが――因みに心負の実験コードはNo-02だ、貴様の次だ。」

『……。』

呆れてなにも言えなかった。

「それに貴様はあの子供、心負と遊ぶのだ。」

『!?』

驚いてしまった、こんな頭に鉛の弾を撃ち込まれた子供が遊べる訳が無い、むしろ今すぐ病院に行った方がいいくらいだ、いや病院に行くも何も普通の常人なら死んでいるはずだ、いや死んでなくてはおかしい。

「気を付けろよ、心負は元々能力者だ、能力名称は『負加速マイナスアクセル』内容は不幸、そうだな、ささくれでもいい、それが死に至る怪我になるまで不幸になってしまう。そんな能力だ。」

『なッ…』

研究室のガラスの部屋の中にいた男の子が出てきた。

「あ、夜賀にーちゃん!」

「おう、心負、実験お疲れ。」

その時だけ夜賀のいままでまったく変わらなかった無表情が笑顔になった。

「うん、あれ?そっちのおにーちゃんは?」

どうやら私のことに気が付いたらしい。

「あぁ、コイツは今から心負と遊んでくれるお兄ちゃんだ。」

「ホント!?」

その心負と呼ばれる子供は嬉しそうに喜んでいた。

そして私の方に近寄り、笑顔で。

「お兄ちゃん何して遊ぶ?」

その子供はそう言った、そう言った瞬間に何かが崩れ去るようなそんな感情に見舞われた。

正直子供とは思えない謎の不気味さがこの子供にはあった。

『えーっとそうだな…。』

だが私は何をして遊ぶか考えた。

「あ!お兄ちゃん、戦いごっこでもしよーよ。」

『戦いごっこ?』

内容は普通に喧嘩様に戦うのであろうが、自分は年上なので、この場合にはすごく手加減をしなくてはならなかった。

「うん、戦いごっこで戦うんだよ。」

『んまぁ、やるとするか。』

「あ、でも――

その子供は何気なくルールとして言ったのかもしれないが、これは後々恐怖になる言葉だった。

「能力を使うのはアリね!」

「あ、あぁ…。」


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