敗北
どうやらコイツも陽太と同じ能力者、ということは無能力者の俺が敵うはずがねぇ。
ならどうする、この状況を打破する方法は…。
「どうした掛ってこないのか?」
男は言った。
「うるせぇ、黙ってろ。」
こうは言ってみたものの黙らせる手段も無い。
「ゆくぞ…。」
男は殴りの体制に入る。
「はッ!」
俺は防御しようとしたが。
「ぐはぁッ!」
男は俺を殴った訳では無く、ちょっとだけ拳を前に突き出しただけだった。
「どういうことだぁ…?」
俺は擦れ声で言った。
「貴様に教えるつもりは無い、新井秀人。」
次々に男は殴る体制に入り、拳をちょっとだけ前に突き出す動きをする、そのたびに俺はダメージを受ける。
「ぐッ…何か方法は…。」
「ない。」
男は蹴りの動作に入りちょっとだけ足を前にだした。
「がッ!」
俺は上空に吹っ飛んだ。
「新井さん!」
「終わったか…。」
俺は地面に打ち付けられた。
全身が痛む、吐血するぐらいの攻撃を三回も受けてその後に地面に、いや床に落ちたからさすがに仕方ないだろう。
男は倒れている俺に向かって歩いてきているのがぼんやりとした視界でも見えた、そして。
「まだやるか?」
低い脅すような声で言った。
「な…めんな…。」
俺は声を振り絞って言った、そして痛む全身の体をさらに痛めながらもフラフラとヨロヨロと立ち上がった。
「―――」
男は驚いていたようだった。
「驚くなよ…能…力者、ぶっ倒してやる…から…よぉ…。」
俺がそう言うと男はすぐさま後ずさるように後ろに下がった。
何だ?コイツは何なんだ、確かにNo-00《ナンバーゼロゼロ》ではある。
だが、こんな異形なオーラを纏えるのか?No-00の能力は戦闘タイプでは無かったはずだ。
なら、何だ?今コイツが放っている異形な雰囲気は。
俺は全速力だがフラフラと男の元へと走って殴りかかろうとした。
「う…らぁぁぁぁ…。」
俺の殴りかかりは男に触れたところで俺の意識が切れてダメージを与えることは無かったらしい。
何故「らしい」なのかは、この事実を俺に教えてくれた人物がいるからだ。
「おい貴様!」
階段から少年の声が一階の廊下に響く。
その少年は階段を下り、こちらの方へと向かって来た。
「貴様が新井をやったのか?」
その少年は、多摩陽太だった。