No-00《ナンバーゼロゼロ》
『ふむ、倒しがいがありそうだな。』
「お、おう…。」
俺と陽太は体育館に来ていた。
体育館では体育の授業が行われていたようなのだが、その体育の授業を受けていた生徒、授業をしていた先生、とにかく体育館にいた人間が怪物へと変わっていた。
『ざっと…70匹ぐらいか?』
「匹なのかよ…。」
『まぁ――
陽太が何かを言おうとしたときに怪物3匹が陽太の背後から攻撃を仕掛けてきていた。
「陽太、後ろ!」
『わかっている。』
そう言って陽太はひょいと怪物3匹の攻撃を躱してしまった。
『貴様等、私の邪魔だ。』
陽太はデコピンで怪物3匹を吹き飛ばしてしまった。
「もう瞬間移動とか関係ねぇだろ…これ…。」
『瞬間移動?何を勘違いしている新井。』
「は?」
どういうことだ、陽太の能力は瞬間移動を利用した攻撃とかじゃあないのか。
『私の能力は恐らく速度を操作する能力だな。』
「速度?でも吹き飛ばすのとは関係なさそうなんだが…。」
『デコピンで吹き飛ばす速度×10000という速さでやってみたのだが?』
「その能力って掛けたりもできんのかよ…チートじゃねぇか…。」
『そうだな…だから――こうゆう芸当も可能だ。』
陽太は「だから」と「こういう」の間の瞬間に恐らく常人には見えない速度で動き、67匹居た残りの怪物を倒してしまった。
「な―――。」
さすがにコレは引く、時を止めるような速さで動くなんてどこの数年前の子供番組のヒーローだ。
『さて――隠れている貴様、出て来ていいぞ。』
陽太がそう言うと更衣室に隠れていた、女子生徒が出てきた。
「怪物じゃないヤツがいたのか…。」
俺はそう思うと同時によく隠れきれたな、とも思った。
「あ、あのぉ…。」
『どうした?』
「怪物はもういないんですか?」
『あぁ、いないぞ安心しろ。』
「よ、よかったぁ…怖かったから…。」
『そうか、確かに無力な人間一人じゃああの怪物は怖いだろうな。』
陽太は女子生徒を安心させようと優しく喋っているつもりなのだろう、なんだかいつもと口調が違うからだ。
『だが、まだ校内に怪物がいる可能性が高い、ここで隠れていては危ないだろう一緒に付いてきてはどうだ?』
「は、はいそうします。」
『よし、それでは別の場所に行くぞ新井。』
「へいへい。」
2F廊下――
「ところで――名前は何て言うんだ?」
俺はさっき行動メンバーに加わった女子に名前を聞いてみた。
「永木夏海です。」
「へぇ、夏海っていうんだ。」
とりあえず呼び方が定着しそうだ。
『新井。』
「ん?どした?陽太。」
『どうやら教室の中で待ち伏せしていたようだ。』
廊下には教室からぞろぞろと出てくる怪物で埋まっていた。
「うげぇ…」
『新井、お前は永木を連れて一階へ行け、一階なら怪物も出ないだろう。』
「お、おう!行くぞ!」
俺は永木の腕を掴んで一階に降りた。
一階――
「怪物だらけですね…。」
「ここにはいないけどな。」
そんな会話をして一階にたどり着いた。
「いないだなんて誰が証明した。」
俺はいつの間にか吹っ飛んで階段にぶつかっていた。
「ぐがッ!」
吹っ飛ばされた方向を見ると学ランの様な服を着た男が立っていた。
「新井さん!」
永木は俺の方へと駆け寄って来た。
「だ、誰だテメェ…。」
「知らん、貴様には答えない。極秘秘密隠密事項だ。」
男は言葉を並べてそう言うと。
「多摩陽太は何処だ?隠しているのなら潰すぞ、No-00《ナンバーゼロゼロ》。」
「は?隠してねぇよ、それにNo-00って何だ。」
俺は応答する。
「そうか悪かったな、では新井と呼ぶことにしよう、多摩陽太は何処だ?」
「二階だよ。」
「そうかでは通らせてもらうぞ。」
その男は俺と永木の横を通ろうとした。
「まてや、誰が通すって言った?」
「俺に反逆するつもりか新井秀人。」
俺は倒れてよしかかっていた階段から腰を上げた。
「テメェみたいな危険人物そうなヤツを陽太に合わすわけがねぇだろ。」
「オリジナルの前では戦いたくないんだがな…。」
「No-00とかオリジナルとか難しいこと言ってんじゃねぇよ…ぶっ倒してやるから、せいぜい良いセリフ吐いとけ!」