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そうだ、コンビニへ行こう!

本編一年後の夏の話。

夏の暑い中、日向家ではお風呂上がりにアイスを食べるのが恒例になっている。

今日もお風呂からあがり、ドライヤーをかけ気分は上々。

さて、食べようと冷凍庫を開けると、




アイスが一つもなかった。








「あれ…?」

「アイスがない!!」

「アイス…」

3人で覗き一生懸命探すがないものはなかった。

そして必死に昨日を思い出す。



確か昨日は香南さんもいて双子を風呂に入れてもらった。

そしてその後私が一人で入って…

さっぱりした後にアイスを食べて

あ、



「ごめん、昨日私が食べたので最後だったの忘れてた…」

「「えー!」」

双子の不満爆発。

今食べれると思っていたものが食べられない。

ごめんね、私がちゃんと用意しておかないから。

それがどんなにショックなことか、もちろん今実感していた。

時計を見ると8時。

「…コンビニ行って買ってこようか?」

歩いて5分ぐらいの場所にコンビニがあった。

そこならきっと好きなアイスが選べるはず。

「コンビニ!?」

「いく、の?!」

途端に双子の目がきらきらし始める。

これは嫌な予感だ。

「絶対、他のものは買わないからね?」

人差し指を立てながら忠告するが聞いているのか聞いていないのか双子はのんきにはーいと返事するだけだった。

外に出れるようなジャージに着替えさて行こうと言う時に玄関のカギが開く音がした。

「あ、にーちゃんだ!」

「にーちゃん!」

ばたばたばたと走り出していく。廊下からはうおっと言う声と共におかえりなさい!と言う双子の声が聞こえてくる。

急いで行くと、双子たちと戯れていた香南さんが不思議そうな顔をしていた。

「おかえりなさい!」

「ああ、ただいま。どこか行くのか?」

「うんあのね!アイスかいにいくの!」

「なくなったの。だからかいにいくの」

途端に香南さんが眉をひそめる。

「今からか?女子供たちだけで危ないだろ。」

「うっ、けど近くのコンビニですし。」

おもわず唇を尖らせ反論する。

5分ですよ?いいじゃないですか、と心の中で呟く。

「その間に何かあったらどうするんだ。」

「さ、さけぶとか…?」

「・・・頼むからこれからは俺がいる時に行くようにしてくれ。」

荷物を廊下の端に置くと玄関先に置いていたサングラスを再度かける。

途端に自分の顔が先ほどの暗い顔から明るい笑顔に戻るのがわかる。

「ほら、早くいくぞ。」

「はっはい!」

こんな時、小さな幸せを感じる。








ぴんぽーん




「いらっしゃいませー」

店員のやる気のない声が聞こえてくる。

そして中へ入ると一斉に双子は駆け出す。

「こらっ!二人とも!!駄目でしょ!アイス見るよアイス。」

「「はーい」」

七海たちを暮らして以来毎日新しい発見をするようになった。

それが今回のような光景だ。

双子が元気に駆け回る。親代わりの七海が子供を叱る。

自分の子供時代にはなかった当たり前の光景が今自分の前で繰り広げられている。

そこにはあたたかさがあり、愛がある。

一緒にいて幸せだ。何度思ったことか。

七海を見るととても真剣にアイスを選んでいた。

きっと高いものを奮発して買うか、安いもので我慢するか彼女の中で葛藤が行われているのだろう。

クスッと思わず笑みを浮かべると横からクイクイと服を引っ張られる。

みると双子だった。

「あのね、おにーちゃん、こっちにいいものがあるの。」

「あるの」

「?なんだ?」

一緒についていくとお菓子売り場だった。

「あのね、これすっごくおいしそうなの!」

「こっちもね、このあいだたべたときおいしかった」

指されたものを見てみると駄菓子屋で売っているような安いお菓子だった。

「買うか?」

とたんに嬉しそうな笑顔を見せる。

この笑顔がどれだけ俺を幸せにさせるのか、二人は知らないだろう。

かごを取ってきて4つずつ入れる。

そして他のものを二人は紹介してくれる。

最近のお菓子はいろいろあるんだなと感心してしまう。

二人が紹介してくれるものを次々にかごに入れていく。

そして次は小さなおもちゃ売り場だった。

「これかっこいー!」

「かっこいいね。」

よくわからないがキャラクターものだった。

子供たちは次から次へと新しいキャラクターを好きになるなと思いながら双子の説明を頷きながら聞く。

そして最後の買って?と言わんばかりの上目遣い。

ついつい笑顔になってしまう。

「よし、ならこのかごにいれ」





「いれません」





言葉を重ねてきたのはアイスを決めた七海だった。

仁王立ちをしており、いつもより何か怖くないか…?

七海はちらっとかごを見ると双子たちを睨む。

「美羽くん、瑠唯くん、私コンビニに行く前なんて言いましたか?」

「う、」

「ほかのものはかわない」

双子たちが恐る恐る答える。

「瑠唯くん正解です。」

正解と言いつつも顔が全く直っていない。

「かごの中のもの、ちゃんと戻してきなさい」

「「ええー!!!」」

「はやく!!」

二人がしょぼんと悲しそうな顔をしながら棚に商品を戻していく。

思わず双子の立場になり七海に言及してしまう。

「おい、欲しいって言ってるんだから、安もんだし買ってやっても…」

途端に怒りの矛先は俺の方に向かってきた。

「香南さんも!なんではいはいって買っちゃうんですか!駄目です!子供は何でも欲しがるんです!簡単に買ってあげたら駄目なんですよ!」

「けど…」

「いいですね!!」

「…ハイ」




それ以後双子と俺だけで買い物に行く時には使用金額の制限がなされた。

うちの財務大臣は主婦のおばさんさながらお金にはとても厳しいと言うことを実感させられた。





コンビニへ行く話です。

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