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天使と紳士の攻防 前編

七海と香南が結婚したばかりのころの話です。

人を左右する感情は





消えたその者に





祝福の鐘を鳴らして





ゆっくりと






刻み込む








clarity love 天使と紳士の攻防





それは日向家で久々のパーティをしていた日のことだった。

「ねえ、ななちゃん…やっぱり変じゃない?」

雅と香南と燎がお酒とおつまみを買いに行き、七海と夏流が片づけをしていた時だった。

机を拭きに行こうと思った夏流がリビングへ行ったかと思いきやすぐに戻ってきた。

七海は何かあったのかと夏流の方を振り向くと何とも言えない顔をした夏流がそこにいた。

そして先ほどの言葉をヒソヒソと話し始めた。

「えっ何がですか?」

「だから、あれ。」

「あれ?」

リビングを指さしながらぽつりとつぶやく。

リビングに何があるのかと皿洗いを一度中断し手を拭きながらリビングへ向かう。

否、向かおうとした。






なに、あれ?







先ほどまでは皆でわいわいおしゃべりをしており、瑠唯や美羽も楽しそうに仮面Xマンの見どころを話していた。

それが今リビングにあった光景は仮面Xマンをソファに優雅に座りながら鑑賞している周の姿と、正座をしながら緊張した面持ちで見ている双子の姿だった。

先ほどの楽しそうなみんなはどこへ。

呆然と見ていた七海に気付いたのか周がこちらを向いた。

「ん?七海ちゃんどうした?」

その声で七海がリビングへ来たのに気付いたのか双子がこちらを向く。

明らかに安心したかのように。

「い、いえ…」

苦笑いをしながら再びキッチンへ戻る。

「な、夏流さん…やっぱり、変です。」










翌日、angfangでは緊急会議が行われた。

「で、周、お前何考えてんだ?」

「ん?何って?」

「決まってんじゃん!双子ちゃんたちのことだよ!」

「なつと七海に聞いたぞ。お前、双子がっちがちに緊張してたみてえじゃねえか。」

燎の発した言葉に驚いたのは周の方だった。

「え、そうだったのかい?」

「「「え、」」」

一瞬間を置くと燎と夏流は香南を引っ張り隅の方へ寄る。

「おい、どうなってんだよ。あんな鈍感なやつだったか?」

「ああ。ナツとの件もその鈍感さが原因だった。」

「ひどい!そりゃ鈍感だけど…」

そして三人は思い返す。







まずは最初の出会い。

『『ふえっおばけええええっ』』

明らかに怯えられている。


香南と七海が再びヨリを戻し、会った時。

『はい。久しぶりだからね。お土産を持ってきたよ。』

明らかにお菓子で釣っている。


先日の夏流の家で騒動の時。

『では私がインターホンに出るので双子が周さんを止めてね。』

『『えっ…』』

一瞬恐怖に慄く顔をしたが二人はうなづき真剣な眼差しになる。

『ぼくたち、あまにーちゃんとめる!』

『が、がんば、る!』

それはまるで魔王へ立ち向かう勇者が命を懸けて戦いに行くかのような真剣な目で話していた。








「まとめてみればあきらかじゃねーか!」

「…確かに」

「うむむ…否定できなくなってきた…」

「歓談中のところ悪いけど」

「「ひっ」」

ヒソヒソと話していると気配が全くなかった後ろから突然周が話しかけてきた。

驚いた燎、夏流そして香南は周の方を向く。

「俺別に双子ちゃんたちをどうにかしようなんて考えてないよ。普通に興味ありカテゴリに入っているし。むしろ俺が嫌われているんじゃないか?」

「そっそんなことない!…よ…」

さすがに弁解の余地もなくなってきた気がした夏流がガクリと落ち込む。

「まあ、周も受け身系男子だしなあ…子供相手は自分から話しかけねえと仲良くなれねえぞ?」

「俺なりに話しているつもりなんだけどねえ…」

「そこをなんとかしろ。これで徐々に険悪になって双子がライブに来てくれなくなったら困る。」

主に香南のテンションが、である。

「周の興味ありカテゴリに入るって結構なことだもん。頑張ろうよ。僕も手伝えること手伝うし。」

「うーんけれど何をしたらいいんだい?」

「「「うーん…」」」







「「いただきます!」」

「どうぞ、召し上がれ。」

小学校から帰ってきて双子たちは本日のおやつ、七海特製ホットケーキを食べていた。

七海は七海で昨日の周に対する二人の態度が気になっていた。

美味しそうに頬張る双子を見ながら七海は尋ねた。

「ねえ、二人は周さんのこと嫌いなの?」

「「え?」」

そして上を向きながら考え始めた。

「きらいってゆーか、」

「こわ、い?じゃない、けど…」

「たぶん、おれたちあまにーちゃんに、きらわれてる。」

「え?!」

突然の言葉に七海は思わず驚いた。

「はじめてあったとき、おれたちないちゃったし…」

「あっても、うれしそう、じゃないし…」

ホットケーキを食べるのをやめ俯いてしまった双子。

そんな二人の頭を七海は優しくなでる。

「そうじゃないわよ。周さん、ちっとも嫌ってないと思うわよ?」

「「なんで?」」

泣きそうな眼をした双子が七海を見つめる。

「周さんは香南さんに似てて感情表現が苦手なのよ。それでね、多分周さんって人を好きとか嫌いとかで見たことがないんじゃないかなって思ってるの。」

「「?」」

頭にはてなを浮かべながら双子たちは七海の話を聞いている。

「うーん、要は難しい人なのよね。だから周さんもきっと二人と何話せばいいのかわからなくて困っていると思うの。」

「「…うん」」

「大丈夫。嫌ってないから。もし周さんが双子のこと嫌いって言ったら…」

「「言ったら??」」

「anfangのファンやめちゃいましょ!」

「「ええええ?!」」

笑顔でいう七海に双子たちは本当に心配そうな顔をする。

「だからね。まず二人がゆっくり質問してご覧?何が好きなの?とか、そしたらきっと周さんもたくさん話してくれるよ?」

「「うん」」

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