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そうだ、プリクラを撮りに行こう!

幻に揺れる君は







ひどく穏やかで







移ろいゆく君は







ひどく眩くて








clarity love










仕事でスタジオにこもっていた昼休憩。

いつものように雅から携帯を受け取る香南。

「何か着信があったようだよ。」

そう伝えられた香南は携帯をチェックするとメールが一着来ていたようだった。

迷惑メールだろうとため息をつきながらメールチェックをするとなんと七海からだった。

何かあったのだろうか、それとも仕事の激励のメールだろうか。

何にせよ七海からのメールは今までほとんど無に等しかったためとても楽しみにメールを開いた。

しかし、それは意外な要件であった。





--------------------------------


件名:遅れてごめんね

本文:プリクラ送るの忘れてた!

   ちゃんと届いてるかな?



--------------------------------








そして添付ファイルについていたのはプリクラの画像だった。

琴乃と七海のツーショットで撮られていたプリクラ。

いつもよりどこか大人っぽく見え、なにより楽しげに笑っていた。

周りには自分たちで創作したのかスタンプが押されペンで様々なことが書かれていた。

このような年相応なことをして楽しそうにする姿は香南をも幸せにする。

しかし心のどこかで寂しさに似た感情があふれ出す。

香南は首を振り感情を遮ると七海へ送り先が間違えであるだろうということを返信した。

案の定すぐさまそのメールが琴乃宛てだったということ、仕事の邪魔をして申し訳なかったという旨が書かれた返事が送られてきた。

間違いのメールを削除しようか迷ったが、その無垢な笑顔のプリクラを消したくはなかった。

悪いと思ったが、プリクラの画像を携帯に保存すると次の仕事のためにご飯を食べ始めた。















「最近のプリクラは、大きいんだな。」

「へっあ、今日の見られたんですか?」

夜には無事に帰ることができ、4人で久々のご飯を食べていた。

双子の話をずっと聞いていたが、会話がなくなった頃気になっていたプリクラのことを聞き始めた。

香南が知っていたプリクラとは正方形に近い、しかもそれほど大きくない画質の悪い写真をシールにしただけのものだった。

それが今では落書きもでき、画質も良くなっていた。

「最近のはすごいんですよ!ああいう風に携帯にも画像を送ることができたり、はたまた待ち時間のクイズに正解をするとノベルティがもらえたりするんです。」

「気前がいいな。」

「あ、あと何やら整形レベルに目を大きくしたり、肌を白く見せたりもするんです。はじめ画像を見たときは自分なのかどうか一生懸命確かめました。」

「ああ…」

だからどこか違和感を覚えたのか、と香南は納得する。

すると双子たちが会話に入ってきた。

「プリクラってそんなにおもしれーの?」

「うーん面白いというよりも、その日の思い出づくりにとるって方が強いかな?すぐに完成するし、たくさん落書きもできるし。」

「らく、がきも?」

「そうよ。日にちやその日したことを書き込んだり。結構面白いのよ」

「「へえ…」」

「あ!もし良ければ今度みんなでプリクラ撮りに行きませんか?」

七海が提案すると双子は嬉しそうに前のめりになる。

「「いってみたーい!!」」

「そうだな。」

ふっと微笑みながら香南も承諾すると、さっそくスケジュール帳を取りに行き、取りに行く日程を話し合った。









双子にとって珍しいものばかりおいてあるゲームセンター。

もちろん興奮しないわけがなかった。入口を通るとさっそくUFOキャッチャーや音ゲームなど様々なものに興味を持ち駆け出す。

「わあ!ゲームセンター!」

「ななちゃん、ネズミーのぬいぐるみだよ?」

「ほんとだ!…じゃなくて!走らない!プリクラ撮れるのはこっちよ。」

「「はーい」」

着いた先にはたくさんのプリクラ機が並んでおり、そこに女の子たちが所狭しと賑わわせていた。

香南はぎゅっと双子の手を握る。

「待ってくださいね。そんなに並んでいない機種を探してきます!」

七海はその女の子たちの中に入っていった。

「七海はすげえな…」

双子たちも女の集団に圧倒されているのか香南の手をぎゅっと握りながらうなずいた。

「ななちゃんもおんなのこだってことだよ。」

「そ、そうだ、ね」

なるべく目立たないところで待っていると七海が帰ってきた。

「ありましたよ!二つ目のちょっと隠れたところはあんまり並んでいませんでした!」

「「…このなかにはいるの?」」

「うん、ななちゃんがちゃんと手握ってあげるからついてきてね」

香南とつないだ逆の手を七海が後ろ向きでつなぐ。

そしてなるべくすいている道を選び先頭きってその場へ連れて行った。

それでもメイクをしながら並ぶ女の子、馬鹿笑いをしながら彼氏のことを話す女の子など様々な人物が目の前に現れそれを見ているだけですでに男性群たちは疲れていた。

「おんなってこええな…」

「う、うん…」

400円をコイン機に入れさっそく音声案内が流れた。

「えっと…皆白い肌しているから美白効果はいらないっと…」

「?美白効果ってなんだ?」

「なにやら肌を白く見せるようにしてくれるらしいですよ。琴乃と撮る時なんか琴乃も肌白いのに一番白肌モードで取ろうとするのでびっくりしてしまいます。」

「なるほど…」

目の大きさも変え、肌の色も変える。もはや整形に近いのでは、と香南は思わざるを得なかった。

『それじゃあいっくよ~ん』

「あ!はじまります!!」

「お、おう」

「「はっはいっ!」」

『はい、チーズ!』

パシャリ

『今度はちょっと怒ったように』

パシャリ

「おい、これ、」

「なんですか?」

『みんなでいえーい!』

パシャリ

「なんか本当にカメラマンみたいだぞ」

『ほっぺでたこ焼きを作って~』

パシャリ

「そうなんですよ~」

こんなふざけたカメラマンいるかと思いそうな香南だったが双子の楽しそうな笑顔、七海の嬉しそうな姿を見るとこんなのもありかと写真を撮られ続けた。





「にーちゃん!たこさんできてない!」

写真選びをしていると美羽が写真を見て笑っていた。

「?俺はやったぞ?」

「ほっぺふくらまさねえとだぞ!」

「そういう美羽も、この写真変顔よ?」

「ほんと、だっ」

くすくすと瑠唯が笑うと美羽はほっぺをふくらます。

それを香南がじっと見ているととっさにほっぺに手を丸にして押さえた。

「これがたこさんか?」

瑠唯と七海は思わず笑ってしまった。

「香南さ、だい、せいかいですっ!」

「もー!ななちゃん笑いすぎ!」

落書きは4人交代交代で行った。

「これはどういうことを書けばいいんだ?」

「プリクラ取りに来たよーとかでいいんですよ。日付のスタンプもありますしそれ使ったりしてもいいです」

「ななちゃんみてみてー!みんなサングラス!」

「あっいいじゃない!」

「くるくるスタンプ、きれい!」

「あ、ほんとだ。そのスタンプ可愛い。」

各々自由に落書きを終え携帯に赤外線通信を使って携帯にプリクラを送った。

双子たちは出てきたシールを見て大満足のようだった。

香南も少し恥ずかしそうにほっぺにたこさんを作った四人のプリクラを待ち受けにした。それはプリクラの笑顔同様、どこかあたたかい気持ちにしてくれる大切な宝物となった。







☆おまけ☆

「なにこれ」

「なにって、昨日4人でプリクラ撮りに行ったんだよ。」

「で、何のポーズをしているんだい?」

「なにって、たこさんのポーズだよ」

「で、なんて落書きしてあんだよ」

「なにって、『にーちゃんのたこさんしっぱい』だよ。お前それも読めねえのか」



「「「…ぷっははははは!!!!」」」




メンバーに笑われたのは言うまでもない。

久々に行こう!シリーズです(笑)

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