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無理は禁物!

狂うように踊って






狂うように動いて







狂うように笑って








clarity love 番外編












7月は七海と夏流の誕生日が重なりたくさんご飯を食べる機会が多かった。

また、香南が先日ケーキをお土産に買ってきてすこぶる喜んだ七海を見て以来頻繁にデザートを買ってくるようになった。

七海はうれしくてもぐもぐ食べる。

するととあるとき、そう、女性なら一度は経験したことある光景に出ぐわす。

「うっ、もしかして、きつく…なった…?」

いつもはいているスカートのチャックを閉めようとした時、いつもは感じない苦しさを感じた。

七海は急いで洗面所へ向かい洗濯機の横の棚に掛けてある体重計を引っ張り出す。

そう、言うまでもなく日向七海は太ったのである。

「えっえっ?!どうしよう…」

今までになく増えた体重に狼狽える七海。

双子と3人で生活をしていた時はあまりの忙しさとお金のなさに太るということは絶対なかった。むしろ痩せていくのを琴乃に心配されたぐらいだった。

そして今7月、8月にはみんなでプールに行く予定がある。




そんな時にこんな体見せるわけにはいかない。





七海はダイエットを決意した。













「あれー?ななちゃんこんだけ?」

「おなか、いたいの?」

「…大丈夫か?」

「へ?!」

夜ご飯になり双子や香南もテーブルに着く。

するといつもと違う七海のご飯の量に気付いた。そう、定番のご飯の量を減らす作戦で行こうとしていたのだった。

しかし香南は本気で心配そうに七海の額と自信の額を合わせて熱を確かめる。

「…熱はねえみたいだけど…」

「いえっその…」

「ぼくのっ、ぼくのエビフライひとつあげるっ!」

「おれも!このやさいまきひとつあげる!」

「だっ大丈夫だからっ!さあ、食べましょう」

皆に気にしないように促していただきますを唱える。

「このやさいまきおいしい!」

「おい、しい!」

「ありがとう」

会話が弾んで楽しく食べているが最近食べて大きくなった七海の胃袋に少なくした夜ご飯はすぐ入ってしまう。あっという間に平らげてしまった。

「ななちゃん、ごはんおかわりは?」

「いっいいの、お腹いっぱいだから。」

笑顔で答えるがお腹はまだくれとぼやいているような感覚だった。

七海は自分のお腹を何度も頑張れとつぶやきながらさする。

そんな七海を双子と香南は心配そうに眺めていた。













あれから一週間、香南が見る限り七海はご飯を減らしていた。

そして確実に顔色が悪くなっていた。

何度も食べろと言っているが、頑なに首を縦に振らない。

七海の大好きなケーキを買ってきてもけして嬉しそうではなく苦笑いしているだけだった。

これではまた倒れてしまうのではないかと香南は心配になった。

香南はため息をつきながら雑誌の撮影に向かう。

現場へ向かうとまず衣装選びから始まる。スタッフとあれやこれやといっていると夏流の着替えのブースから声が聞こえてきた。

「あーん!太ったー!」

嘘泣きのような声が聞こえてきてスタッフがくすくすと笑う。

そして着替えから出てきた夏流は涙をぬぐうふりをしながらメンバーのもとへ来る。

「太った。明日からご飯減らさないと~」

「はあ?お前何女みたいなこと言ってんだよ。運動しろ運動。」

「そうだねえ。おいしいご飯を逃すよりも毎日散歩した方が効果があると思うよ?」

「そうかなあ…」

夏流が頬をふくらまして考えていた。

そして香南はふと思う。ご飯を減らす?太る?女みたいなこと…?

「なあ、女は太ったらご飯減らすのか?」

「え?」

メンバー一同首をかしげる。

「まあそういうやつ多いよな。ダイエットだ!とか言って。体に悪いからやめた方がいいと思うんだけどな。」

「結局そういうやせ方はいちばんリバウンドしやすいからねえ。」

「それがどうかしたの?」

一同の話を聞くと夏流の言葉を無視に香南は考える。

七海は香南の目から見てまったく太っていない。

ダイエットなんでする必要もないのにするものなのか?謎が深まるばかりだった。

「ねえ、香南聞いてるの?」

「は?」

夏流に大声を出され一気に覚醒する。

「もしかしてななちゃん?」

「いや…」

じっと下を向くが女の気持ちなど何一つわからない香南にとってもう考えるのは限界であった。

ここは一つ皆に聞いた方が早いだろうと話し始める。

「最近突然七海がご飯の量を減らし始めたんだ。俺や双子たちはなんか病気にかかったんじゃないかってすっげえ心配しているんだけど…」

「「「あー…」」」

3人同時に嘆く。

「それはな」

「つまりね」

「いうまでもなく」

「「「ダイエットです」」」

一瞬驚いたがなるほどと納得した後しかしなぜと疑問がわく。

「七海は太ってねえぞ。」

「うーんそこがわかってねえんだよなあ。」

「は?」

ちっちっちと人差し指を横に振られると子ども扱いされたようでいらっとしたが理由が聞きたいとスルーした。

「女の子はねもっと綺麗でありたい、もっと痩せたいっていう願望が強い生物なんだよ。だからたとえ痩せていたとしても1gでも太ったら痩せなきゃって義務感みたいなものが働くんだよねえ。」

「最近誕生日多くてパーティーばかりだったじゃん?それに香南もお土産買って行ってるみたいだし、それはいくらななちゃん痩せてるって言ってもちょっとは太っちゃうんじゃないかな?それで頑張って痩せようとしてるんだよ。」

「けど、そんなやせ方したら…」

「うん、間違いなくななちゃんだったら無理しちゃうよね。」

周の言葉に目を見開き雅のもとへ向かう。香南と七海をつなぐ現代機器、携帯を借りるためである。

雅は最初渋い顔をしていたが、ちょうど昼休憩にも近かったため仕方なく渡す。

香南は急いでメモリー0番を押すと携帯を耳に当てる。

「もしもし!」

『もしもーし、七海じゃないでーす。』

聞こえてきたのは琴乃の声だった。

「なんで柳田琴乃が?」

『今日七海と遊んでたんですけど、ついにとうとう倒れましたー。』

「…は?!」










お腹がすいた。

ケーキ、パフェ、ああ、和菓子でもいい。どら焼き、だんご。

頭の中にたくさんのおかしが並ぶ。








「ぜんぶ、たべたい…」

「ああ。いいぞ、食べて」

夢のはずなのに返事が返ってくる。どうしてだろうと目を開く。

すると七海の顔をのぞいて安心している香南がいた。

「香南、さん?へ?!」

急いで時間を確かめようとすると頭がふらふらしたため再びベッドに戻る。

香南は七海にちゃんと布団をかけながら説明を始める。

「柳田琴乃から聞いた。家でおしゃべりしている途中にふらっと倒れたって。」

「私、あ、すいま、せん…」

事の事態を把握したのか七海は反省した様子でつぶやく。

「お医者さんに来てもらってみてもらったらしいが、ちょっとした貧血だったみたいだ。」

「貧血…」

「ああ。その…」

香南はとても言いにくそうに、けれど意を決したように七海に話しかける。

「俺は、七海はとても綺麗だと思うし、太ってねえと思う。」

「へ?!」

「だからご飯を減らして無理なダイエットっていうのはやめてほしい。」

香南の真剣な目に七海はたじろぐ。

まさかばれていたとは思いもよらなかったのだ。

「けど女は痩せたい願望が強いと聞いたから簡単にうなずけない部分もあると思う。だから、俺も一緒にする。ご飯は減らさない分一緒に散歩をしたり、運動したり…もっと健康に痩せないか?」

香南が布団の中から七海の手を出してそっとつかむ。

「健康、的に…」

「別にご飯を減らすだけがダイエットじゃねえんだ。七海が満足するまでゆっくりダイエットしねえか?」

「けど香南さんは…」

「俺は運動がてらだ。ライブもあるし、体力つけておいて損はないだろ?俺のことは心配しなくていい。七海がご飯を減らしたいというならおれは反対する。けれどダイエットをしたいというならば俺ができうる限りサポートしてやりたいと思ってる。」

七海は握った手を見つめる。そして目をつむったと思うと香南の目を見つめる。

「よろしく、お願いします。」










それから日向家では一日一度近くの大きな公園を一周する散歩をすることとなった。

お喋りしながら歩いているとあっという間に時間が経ち、みんなの今日あった話をいろいろ聞けて一石二鳥なイベントとなった。

七海の体重は徐々に減り無事に元の体重の戻る。

そしてそれだけでなくどことなく持久力が付いたのだ。

健康面からもそれ以降散歩は続き七海は無理なくダイエットを成功させたのだった。

女の子は一度はしちゃいますよね。

無理なくが一番ですね!

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