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はじめてのおつかい 02

天使はそのまま旅立った







新たな君への祝福と








自分の欲望のために










clarity love  はじめてのおつかい02












最終チェックが行われている中香南の携帯が鳴った。

いつもどおり預かっていた雅が手に取ると着信は七海からだった。

「もしもし、雅です」

『あっすみません。七海です。えっとこれ香南さんの携帯ですよね…?』

「ああ、今チェック中なんだ。急ぎだったら伝えるけど…」

『そうですよねっすみません!あー…』

言おうか言わまいか悩んでいる様子の七海に雅はそっと口元がゆるむ。

「チェックには時間かかりそうだし…多分携帯渡せるのは1時間後ぐらいだと思うんだよね」

その後はメイクをして、最終リハーサルをしてとやることはたくさんあるのだ。

いくら自分も七海からの連絡を渡したくても渡すことができない。

『ではえっと…雅さんにも多分ご迷惑をおかけすることなので…』

「えなにかあったの?」

『実は今日のコンサートのためにとお弁当を作っていたんですけど、足をくじいちゃいまして…』

「ええ?!大丈夫?」

弁当作るのに足をくじくなど初めて聞いた出来事に雅は驚く。

『はい、今から病院行こうと思っているんですけど、そのお弁当双子に持たせてるんですよ。』

「え?双子ちゃんたちに?」

『二人が持って行くと聞かなくて…今二人で電車でそちらに向かってます。』

「ええええっ電車!?」

今まで双子が二人で出掛けたことなど聞いたことがない。

つまりこれはいわゆる『はじめてのおつかい』状態…あの有名なBGMまで流れてきそうである。

『私の携帯を持たせているので…多分、大丈夫だとは思いますが、万が一の場合お弁当がそちらに届かないのでそのことをお伝えできますでしょうか…』

「それは良いんだけど…」






本当に大丈夫なのだろうか?

と言うよりもこれはanfangにとって大事件。

あの大好きな双子が『はじめてのおつかい』

香南は心配するかもしれない。

他3人は双子の成長を見に行こうとビデオを持って電車へ駆け出すかもしれない。

つまりはコンサートに支障をきたす恐れがあるのだ。






『なにかありますか?あっ忘れものとか…!?』

昨日ちゃんと香南さんと確認しながら荷物をトランクに入れていたんですけど…と心配そうに七海は言っているがそんなことではない。

「いや、大丈夫だよ。ななちゃんはちゃんとお医者さんに診てもらってね。」

『はい!それでは失礼しますね。』

「うん」

雅は電話を切るとはあと大きく溜息を吐いた。











二人は線の看板を探しながら歩いていた。しかし見ようとするが大人たちが大きすぎてなかなか見えない。

辿り着けるはずもなく途方に暮れた。

「るい、おれたちどっちにいけばいいんだ?」

「…」

流石の美羽も泣きそうであった。瑠唯はもはや目じりに涙を浮かべている。

やばいと思った美羽は瑠唯の頭を撫でる。

「る、るい、だいじょうぶだって!」

「う、うん」

瑠唯は懸命に涙をぬぐう。

「あ、こういうときは、ななちゃんがえきいんさんにきけっていってたな!ききにいこーぜ!だからなくな!」

「うんっ!!」

大人の間をなんとか掻い潜り改札の近くへ行き駅員さんの方へ向かう。

「「えきいんさん!すみません!」」

「ん?どうしたんだい?」

若い駅員さんが反応してくれ2人の視線に合わせるために腰を折ってくれていた。

「ぼくたち、すいどうばしに、いきたいんですっ、けど、せがひくいから、かんばんみえなく、て…」

瑠唯が泣きそうな声で駅員に訴えかける。

「ああ、なるほど…」

たしかにこの人の流れの多さではいくら時間がたっても二人が看板を見ることは難しいだろう。

「わかった。なら駅のホームまで案内してあげるよ。」

「ほんとうか!?」

「ああ。」

「ありがとう、ございます!」

瑠唯の言葉に駅員は頷くと双子は大喜びで飛び跳ねる。駅員は一緒にいた他の駅員に事情を伝え再び双子の元へやってきて移動し始めた。

「しかし、小さい子たちだけでこんな大きな駅に来るのはちょっと危険だから次からなるべく大人の人たちとくるようにね。」

「きょうはどうしてもだいじなようじがあったんだ。」

「ぼくたち、にーちゃんに、おべんとうとどけなきゃ、いけないんです!」

「お弁当?」

「にーちゃん今日コンサートなんだ。力だしてもらうためにおれたちのおねえちゃんが作ったおべんとうたべてもらわないといけないんだ。」

「え、コンサート…?」

駅員が疑問に思っていると階段を上り終わりホームへ着いた。

「えきいんさん、どっち?」

「あ、ああ、左のホームだ。後は大丈夫か?」

「うんだいじょうぶ!ありがとう!」

「ありがとう、ございました!」

二人はちょうど来た電車に乗り駅員に手を振った。

駅員も手を振り返しふとそのホームに貼られていた紙を見た。

『anfangコンサート会場であるビッグドームへはこちらです』

「…え?!」

駅員はしばらくその紙を呆然と見続けていた。












乗った電車にはどうやらたくさんのanfangファンがいる様子だった。

「今日はなんかサプライズで歌ってくれるかなあ」

「毎回一曲はサプライズしてくれるもんね。schatzから歌ってくれないかなあ…」

「いやー無理でしょ。たまに昔の曲歌ってくれるけどあのCDからとさよならの瞳は歌ってくれないじゃん」

「そうだよねえ…」

混んでる中、ようやく捕まる場所を確保した双子は近くのゴスロリの服を着た女の人たちの会話を聞いていた。

他にも電車の中であるにもかかわらず化粧の確認をしている人、今回のライブTシャツを着た男の人たち、遠くから来たのかキャリーバックを持って来ている人など様々な人が混在していた。

「みう、すいどうばし、だよ」

「わかってるって!」

昼ごはんの時間も過ぎてきたため双子の焦る気持ちは大きかった。

にーちゃんにご飯を渡したい。自分たちもご飯を食べたい。

気持ちが高まる中、駅員のアナウンスが流れた。

『次は~水道橋~水道橋~』

「あっ!ここだっ!」

どうやら降りる人も多いらしく降りる準備をしている人が多かった。

美羽たちもその人の流れに沿って降りようと手をつなぐ。

ドアが開くと我先にと人々が下りていく。

先ほどの新宿の人ごみよりも何か勢いが違い双子たちは怖気ついてしまいなかなか出ることができない。

「るい、だめだ、でないと!」

美羽が瑠唯の手を引っ張りその人たちの中に紛れ込もうとする。

「ま、まって!みう!よこ!」

「え?うわっ!!」

途中で入ってきた人のキャリーバッグが美羽にぶつかり美羽は電車内で転んでしまった。

「みうっ!!」

それに気づかずキャリーバッグの人は立ち去ってしまう。







瑠唯と美羽たちにはただただプシューと言うドアのしまる音しか聞こえなかった。

双子の癒しが欲しいんです企画第二話です(笑

キャリーバッグって怖いですよね。




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