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天使の悪戯 03

君の隣





僕がずっといた場所






ぽかりとあいた穴







僕はどこへ行けばいいの?








clarity love 番外編 天使の悪戯









翌日も朝から香南は仕事だった。

あまり料理をしたことがない香南も美羽のためならとパンをオーブンへセットし、スクランブルエッグとサラダを作った。

もちろんパンはこげこげでスクランブルエッグも塩コショウが利きすぎてしょっぱかった。

しかし美羽はおいしいと食べてくれていた。

朝は雑誌の取材、昼からはテレビ番組の収録だった。

美羽は雅に宿題を見てもらいながら時には香南の仕事見学もしていた。

夜には休憩時間にテレビ電話をすることになった。

「もしもーし!」

『もう、そんなに大きな声で言わなくても大丈夫よ。』

美羽が嬉しそうに手を振りながら大きな声で電話に話しかける。

『どう?香南さんや周りの皆さんに迷惑かけてない?』

「うん!おれちゃんとしゅくだいもしてるよ!けんがくもしずかにしてるよ!」

『えっ見学?』

七海は香南が仕事場に美羽を連れて行ってることを知らされていなかった。

美羽の後ろから香南が美羽の頭を撫でながら補足する。

「皆が許可くれたんだ。美羽は静かにしてくれてるし、皆を癒してくれてるから全く問題なし。」

『よかった。ありがとうございます。あっ、それでは次瑠唯にかわりますね』

七海はほっとした表情で話すと瑠唯が写るように携帯を移動させた。

「るい!」

『みう…』

瑠唯が見えるようになると美羽は一生懸命手を振る。

瑠唯も最初は微笑みながら手を振ろうとしているが徐々に目に涙が浮かんでいく。

「るい?」

『みううう』

手で必死に拭っているが拭けども拭けども涙は止まらない。

『瑠唯大丈夫?』

近くに置いてあったハンカチを瑠唯に渡しながら七海がなだめる。

「るい…」

「美羽?」

ふと美羽は手を伸ばそうとしたが途中で止める。そして止まったままの手を見つめていた。

ぎゅっと手を握ると美羽は携帯に向かって叫ぶ。

「るい!おとこならなくな!」

『うっうん』

「もうしょうがくせいなんだぞ!にーちゃんなんだぞ!」

『うん、ひっく』

「おれがインフルエンザやっつけてやるからなくなっ!いいな!」

『うん、わかったあ!』

泣きながらも必死に返事をする瑠唯に美羽はよしと頷いた。

それから少し話をしてテレビ電話は切られることとなった。










それから美羽は少しずつ考え事をする時間が多くなった。

雅と宿題をしていても皆でゲームをしていても、ご飯を食べていてもここに意識あらずと言った感じであった。

美羽、と呼びかけるとすぐに笑顔で返事をしてくれるが、すぐに元に戻ってしまう。

それは瑠唯と七海が関係していることはわかっているが会わせてあげられない分何もしてやれなかった。

そうして3日目も過ぎ、4日目となって行った。

4日目は昼からテレビの収録だった。

朝は香南と一緒に宿題をしたり美羽の好きなDVDを見たりしてすごした。

しかし調子は変わらずそのまま連れていくこととなった。










「うーん、みうみうやっぱり寂しいのかなあ…」

テレビ収録リハーサル時、話題は美羽のことだった。

「だろうなあ。ずっと一緒だった家族から一人離れたわけだしな。」

「美羽くんは瑠唯くんよりお兄ちゃんだしね。言えないんだろうね。」

このテレビ番組は司会者からのインタビューがありその後歌うこととなっていた。

インタビュー内容を確認し歌う場所や楽器の確認、そして最後に一度すべてを流すこととなっていた。

気になるとは言え仕事は仕事、集中して取り組んでいた。

ようやくリハーサルが終わったのが1時間後。

少し休憩が入ってすぐに本番が待っていた。

香南たちは美羽を寂しがらせないようにと急いで楽屋へ戻った。

しかし楽屋付近へ行くとスタッフが深刻そうに走り回っていた。

「ど、どうしたんだ?」

燎が近くのスタッフに声をかけると焦った声で答えてくれた。

「み、美羽君がいなくなっちゃんです!」

詳しく聞くと美羽を女のスタッフがトイレに連れて行き外で待っていた。

しかし一瞬目を離したすきにどこかへ行ってしまったらしい。

遅いと思いトイレに呼びかけるが出てこなかったため男のスタッフに確認してもらうとすでにいなかった。

人間驚くと言葉が出ないとはこのことだと後にメンバーは思った。












美羽は自分がどんな位置にいるかを分かっていた。

死んだ両親の代わりに自分の姉が一生懸命世話をしてくれている。

そして姉と結婚して兄も本当の兄弟のように可愛がってくれている。

それに自分は感謝しなければならない。だからわがままは言ってはいけない。

今回もそうだった。自分の傍らである瑠唯がインフルエンザにかかった。

だから兄についていって瑠唯が早く治るのを待たなければならない。

しかし電話をしていて瑠唯が泣き出した。







るい、なかないで?







手を伸ばした瞬間目の前にはただの通話機材。

その瞬間現れた感情。

心はもやもやしたまま電話は切られていった。

それから何度も何度も忘れようとするがこの感情が無くなることはなかった。

テレビ局へ来て色々と案内してくれても同じだった。

途中でトイレへ行き美羽は手を洗い前の鏡を見る。






おれは、るいのおにーちゃん。

るいをなかせたくない。

げんきにしてやりたい。

けど、どうやって…?







トイレから出てくると案内してくれたお姉さんは電話をしていた。

声をかけようか迷っているとanfangの控室とま逆の奥の通路に変身後の仮面Xマンの恰好をした人が通った。

美羽は考える暇もなく走り出した。















仮面Xマンは映画の公演の宣伝のためにテレビ局中を回っていた。

そして変身前を演じている俳優も一緒に宣伝していた。

二人が周りのスタッフと次の番組での打ち合わせをしながらエレベーターに乗った時だった。

俳優の方の足に何かが絡まった。

「うっえ?!」

思わず前かがみになりそうなのを必死に耐えた。

後ろを向いて確認すると小さな男の子が自分の足にしがみついていた。

「え?えっと…」

スタッフも前しか見ていなかったため気付かなかったのだろう。

「誰この子?」

「こんな子役頼んでないよな…?」

周りのスタッフがざわざわしているが男の子が話しだす。

「仮面Xマン!るいをたすけて!!るいのインフルエンザやっつけて!!」

「るい?」

「るいずっとたたかってるんだ!たすけて!おねがい!」

俳優はどうしたらいいかわからずとりあえずエレベーターから一緒に降りることにした。

そして男の子を見つめるが男の子の懸命な目を見て足を離してもらい膝をつく。

「俺は幸田ヒロキ。仮面Xマンになって戦ってる。君、名前は?」

あくまでも仮面Xマンにふんして戦っている幸田ヒロキという役を演じながら話し始めた。

「ひむかい、みう!」

「そうか。みう、お前のその大切な”るい”のこと、まかせて。必ず助けるよ。」

「ほんと!?」

「けれどね、それにはみうの願いも必要だよ。」

「ねがい?」

「うん。一生懸命お願いするんだ。早く治りますようにって。その気持ちが俺を強くする。いいな?」

「はやくなおりますように、うん!わかった!」

美羽が頷くところを確認すると今度は変身後の仮面Xマンが美羽の頭を撫でてくれた。

「今はわけあって変身した姿と分離している。今度はお前を救う番だ。みう、お前はどこから来たんだ?」

「え?」

変身後の仮面Xマンが質問すると美羽はあちこち見渡す。

「あれ、おねえさん…」

「おねえさん?」

「みやびさん…りょーにーちゃん、あまにーちゃん、なつにーちゃん…にーちゃん…」

自分の知っている人が誰ひとりいないことに気付いたのだろう。

そしていつも以上に溢れだすあの感情。




「うっうえっ…ふえっうわああああああんん!!!!!!」




わかった途端緊張の糸が切れたように泣き始めた。

「にーちゃあああああ!!!」

「ちょっ!!」

「これ以上はやべえ!とりあえず部屋に入れよう。」

収録している番組もあるのだ。

防音が完備されているとわかっていても気にしてしまうほどの大声だった。

俳優はちょうど近くにあった俳優の控室へ一緒に連れて行くことにした。

「うわあああっにーちゃああ!ななちゃ!!!」

大泣きは一向に直らない。

「みう、なくな。俺がにーちゃんさがしてやるから。」

「Xマンっふえええっ」

「みう、俺を信じろ!お前は独りじゃない。そうだろ?」

「うっうんっ…」

ようやく少し落ち着いてきたのか美羽も涙を拭き始めた。

「みう、お前ここに来る時何か首に下げる物もらわなかったか?」

そう言って首を確かめるとカードホルダーが首から下げられているのが見えた。

美羽に見せてもらうが一時的許可ということと名前しか書かれておらず急きょ許可をもらった人物ということしかわからなかった。

「うーん、お前のそのにーちゃんの名前は?」

思い出してまた泣いたらどうしようとも思ったがこれを聞かなければわからないと質問する。

「かなん、かなんにーちゃん。」






かなん…?







俳優は目を見開いた。








はい、運動会のようにまたもや入りきりませんでした。

まだ続きます。

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