成長の欠片 後編その2
宝よ
雫が落ちないように
宝よ
どうか笑っていてくれ
clarity love 成長の欠片 後編その2
昼の時間になり瑠唯と美羽が七海たちのスペースへやってくる。
事前に教えてあったためすぐ向かうことが出来たようだった。
しかしやってきた美羽の顔は笑顔なのに瑠唯の顔はしょんぼりとしていた。
「ななちゃ!まっきーのかおだ!!」
「まっきー・・・」
そう、七海はキャラクター弁当を作ったのだ。
前から運動会の日にはいつもの違う弁当を作りたいと思っており思い切ってキャラクター弁当を作ったのだ。
「これはまた凄い。」
「ななちゃん本当に器用だね・・・」
「うーん、これは俺たちのツアーの時にも作ってきて欲しいものだねえ」
「次はマニーちゃんもお願いしたいね。」
メンバーも感動したようでシャメを撮ったり眺めていたりした。
そして食べ始めるが瑠唯の顔が段々暗くなっていた。
「瑠唯・・・?どうした?」
香南が声をかけると瑠唯はとうとう泣き始めた。
隣の美羽は心配そうな顔をするものの少し怒った声で話し始めた。
「るい!やくそくだろ!」
「だってみうのほうがはやいもん!!!」
「それはかんけいないだろ!」
とうとう喧嘩し始めた双子に七海と香南の仲介が入る。
七海が瑠唯を押え香南が美羽を抑える。
「ストップストップ!!どうしたの一体!」
「落ち着け、どうした?」
「ううう。」
「ないたってだめだろ!やくそく!」
「だからその約束はなんなんだ?」
香南が美羽を抱き上げ顔を同じ高さの位置までもって行きたずねる。
すると美羽も泣き出しそうになっていた。
「たいふうのめ、にーちゃんとするのかけっこのじゅんいできめるってやくそく」
台風の目とは一年生の父兄参加で子供と父兄のペア二組が何列かになり競う競技である。
確かに、組が違うので一人がどちらかに出るのが普通である。
それを瑠唯と美羽はかけっこの順位で決める約束をしていたのだ。
「るいもぼくもやくそくしてたんだ!」
「けど、だって!!」
とうとう二人して泣き始める。
七海が宥めても首を振るだけで出たくないと言い始めた。
香南は嬉しそうな、困ったような複雑な顔をしていたが、双子の方に向かって話し始める。
「わかった。二人とも頑張ってたし、先生に事情を話して出させてもらうから。」
その言葉に双子がぱっと顔を上げる。
「「ほんと?」」
「ああ。だから、泣くな。な?」
「香南さん・・・」
七海が心配そうにたずねる。
人が多いところに出るのだ。
しかし香南がにっこりと笑う。
「二人のご所望だ。やるしかないだろ?」
その顔はお父さんそのものだった。
ご飯を食べた後早速台風の目は始まった。
瑠唯のほうが順番が先だった為香南は瑠唯のほうに待機をしていた。
瑠唯のペアの親子はやっくん親子だった。(番外編カラオケに行こう参照)
「うちのぱぱかっこいいだろ!」
早速やっくんが自慢をしてくる。
しかし、今回は瑠唯も負けてないのだ。
「ぼ、ぼくのにーちゃんだって、かっこ、いい、よ!」
その言葉に香南は照れたのか顔が真っ赤である。
人ごみの中体調が悪くなると思っていたが、この言葉に全てが吹っ飛んだ。
小学生の親にしては若い人がサングラスに少しこじゃれたファッションをしているのだ。
やっくんパパはどうしたらいいものかと少し遠慮気味に話し始める。
「いつも息子がお世話になっております。。」
「いえ、こちら、こそ。お世話になってます。」
「頑張りましょうね。」
「はい。よろしくお願いします」
サングラスははずさないもののちゃんと礼が出来ているのにやっくんパパは安心した。
少し雑談をしているとあっという間に始まりの時間となった。
あれほど喧嘩をしていた二人も順番が近づいてくると緊張からか静かになってきた。
香南にもいつもと違う緊張感がただよう。
順番になると四人は一斉に走る。
香南にとってこんなにすがすがしく走るのは初めてだった。
今までの自分の運動会でもこんなに真剣に走ることはなかった。
こんなに気持ちいいものなのか
香南は初めて実感することが出来たのだ。
瑠唯のほうが終わると次は美羽の方へ行く。
すると今度は少し若いお父さんと女の子の親子がペアだった。
「みうくんがんばろうね!」
「もちろん!にーちゃんがきてくれたからもうだいじょうぶだよ」
笑顔でその女の子に伝える。
やたら美羽に近付き可愛く話そうとするその子に嫌気が差しそうだった。
お父さんの方も香南のことを知っているようにちらちらと見てくる。
香南はため息をつくと美羽に話しかける。
「美羽、お前は早いからお前が引っ張るんだぞ」
「わかってる!がんばる!」
美羽は気分が高揚しているのかテンション高く答えた。
そんな美羽に香南は思わず笑顔になり頭をなでてあげる。
美羽は余計嬉しくなったのか笑顔で香南に抱きつく。
香南も美羽を抱きしめるとにらみを利かせ女の子親子の方を向く。
親子は凍りつく。
「美羽が引っ張ってくれるので、それに、ついていってください」
「は、はい。」
美羽たちの順番になると美羽が駆け出す。
それについていくように他の三人はついていく。
大人でも少し疲れる速度なのに美羽はぐんぐんと進んでいく。
終わった頃には香南は激しい動悸息切れを感じていた。
来年の父兄参加の競技のために日々トレーニングをする。
香南は硬く決意した。
残りの競技全学年参加の綱引きでは激しい攻防戦が繰り広げられた。
瑠唯と美羽の一生懸命綱を引っ張る姿に七海、香南一同皆感動する。
そしてあっという間に全競技が終了する。
勝負は紅組が勝利。
二人とも正反対の顔をしていたが、来年また違う顔を見せるだろう。
メンバーも巻き込んだ運動会。
全員疲れはピークに達していたがそれぞれいつもの世界とは違うものを見れて新鮮な気分だった。
「来年も、頑張ろうね!」
「え?」
「・・は?」
「「「おー!!!!」」」
メンバーは来年も張り切って思い出を作ることを誓った。
~後日談~
香南が家に帰ってくると七海にDVDを2枚渡した。
「なん・・・ですかこれ?」
「あいつらの運動会のDVD」
七海は驚いて香南のほうをみる。
「なつさんたちが焼いてくださったんえすか?!」
「っていうか加藤さん。」
「加藤、さん?」
初めて聞く名前に七海は首をかしげる。
「anfangのライブDVDをいつも編集してくれてる人。編集してもらえるように頼んだんだよ。カメラがそんなにあるわけじゃねえから簡単にだけど。」
「・・・え」
メンバー他周りも巻き込んだ運動会。
まさかこれが双子の小学校六年間続くとは想像もしていない七海だった。
続きは今日か明日書きます!
追記ー
書きました!
一応これで完成です
大変お待たせしました!