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不完全少年


 隣街まで歩いても、似たような風景ばかりだ。なんだ、どこにいても世界ってあんまり変わらない。僕は落胆し、バッグを開けた。チョコレートを齧ると口の中が甘くなる。どこまでも地続きな世界ではこのチョコレートもコンビ二に入れば買うことができる。この世界は複製品ばかりだ。物もそう。人もそう。同じような家に同じような物に同じような人ばかりがいる。そして濡れたそれらはみんな透明だった。僕は青い。だけどそれは僕が青だと自分が決めたからだ。いつか僕も雨に濡れると透明な、白になる。

「白くなんてなってやるもんか」

 呟くと勇気が出た。でも寒いので公園に逃げ込む。大きめの滑り台の下に身を隠す。

さあさあさあさあさあさあさあ。と、雨の音だけが耳を切り裂き続ける。同じようでほんの少しだけ違う音が流れていく。どんな声よりも冷たく、どんな音より心地いい。僕の体は凍り付いていく。濡れた服が重たい。バッグの中まで濡れていた。何もかもが冷たい中ですべて投げ出すために僕は目を閉じて眠ろうとした。だけど石で出来た壁はゴツゴツしていて寝心地が悪い。眠れない気がする。

 音に雑音が混じった。喉を無理矢理傷つけて歌っているような声だ。僕は外を見た。風で歪んだ雨が顔に吹きつける。その向こうには灰色の女の人が風に立ち向かっていた。傘を差している。透明な世界の中で彼女は灰色だ。服も傘も声も髪も灰色だ。ついでに振り返った時の瞳も灰色な気がしたが、それは黒だった。


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