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誰か



 世界の中で何かが終わりを告げた。席巻していた白の世界は砕け散る。ジャリジャリと。ギィンと。バリバリと。不細工なドレミを奏でて罅割れて、地に落ちて死ぬ。少年は白を知った。黒を知った。透明を知った。赤を知った。知らない色はまだまだ多い。しかし青であることを選んだ。少年は若い。人間の寿命は五十年を軽く越す。浅はかな時間の過ごし方をしなければ、まだなんでもできるだろう。少年には翼がある。本当はみんな持っている。幼児はもちろん、学生も大人も男も女もみんな翼を持っている。だけどそれを育てるすべを白い世界の中でみんな忘れてしまった。少年にはやりたいことができた。いまはまだ不恰好に奏でている、誰かの安いギター。何年かかるかはわからない。だけど少年は一つ、翼を広げる方法を知った。少年はやがて飛び立つだろう。壁は高く、いくつもある。何度も落ちるに違いない。その度に傷だらけになりながら、少年はさらに高く飛ぶすべを知る。やがて大空を羽ばたき、人々は彼の姿を見上げる。そしてそのときこそ少年は大空を地に墜とす。世界は青く染まる。少年は一つ完全になる。白は破壊される。灰色はさらに濁る。黒は染まらない。青とはその程度の色だ。わかるやつにだけ、わかればいいだろ?




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