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不完全少年


 白い天井を見上げながら目を覚ました。ベッドの感触。硬い枕。ゲーム機。ぬいぐるみ。涙目の妹の顔。さようならをしたモノたちがいっぺんに目に入る。死んだのかなと一瞬思った。だけどすぐに気がついた。

……ああ、帰って来たんだ。

 そして気づいた。これらみんなが青色の僕を構成していたモノなんだと。離れてみなければわからなかった。僕は他でもない、ここにいたのだ。

「にいちゃん」

「うん。にいちゃんだ」

 答えてやると飛びついてきた。お腹の辺りに膝が乗ってとても苦しい。

「にいちゃんにいちゃんにいちゃんにいちゃん」

 妹は僕の胸でしゃくりあげる。膝が乗ってるので僕は苦しいままだ。母さんが入ってきた。

「……心配したんだからね」

「ごめ、ん、な、さい」

 妹が僕の頭をポカポカと叩き出す。手加減してない。めっちゃ痛い。母さん止めてよ。

「父さんもいるから、落ち着いたら降りてきなさい」

「ちょ、っと、待っ、て」

 妹の手を掴んでなんとか食い止める。

「母さん、ギターは?」

「右側見てみなさい」

 見てみた。何もなかった。

「あ、ごめん。母さんから見て右だった」

 逆を見た。あのギターがあった。一緒に貰った音楽関係の本もそのままだ。

「あんたが保護されたとき一緒にいた女の人が『彼にあげたんです』って言い張って、折れなかったから、仕方なく貰ってきたわよ」

 母さんがドアを閉めて出て行く。

「みい。退いて」

「やだ!」

「お願いだから」

「……むう。仕方ないなぁ」

 まったくこいつ、いったい誰に似たんだろう。

 僕は起き上がってギターを取った。でたらめに掻き鳴らすとでたらめな色が世界に広がった。


 その時だけ、不完全な僕の世界は完全に見えた。




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